この話をするとき、よく言われるのが「海外では生後の早くから親と赤ちゃんが別室で寝ている」というものです。最近もこんなツイートが話題になりました。
<今日ベイビーを連れたママ友と話していたら「赤ちゃんとは当然寝室は別だよ。じゃないと私が夜眠れないじゃん」と言っていてアメリカってガチでそうなんだと割と本気でびっくりした。>
実際にどうなのか、少し古いものになりますが、2010年に世界17カ国の0〜36カ月の子どもを持つ家庭を対象に行われた
調査では、「親と同じ部屋で赤ちゃんが寝ている」ケースが日本では約88%でした。日本ではほとんどの場合、親と赤ちゃんは同室という結果です。
一方、アメリカは約22%、イギリスは約26%。カナダやニュージーランドではさらに少なく、それぞれ約15%と18%という結果に。この辺は本当にお国柄というところでしょうか。一方、アジア諸国は軒並み8〜9割前後と同室が多くなっています。
なお、2017年のオランダの
調査ではベッドシェア(日本で言う「添い寝」、後述するように推奨していない国もある)の各国の割合が明らかになっており、そこでも欧米では低く、アジアで高いという傾向は同じでした。
ただし、アメリカでも実は、SIDSのリスク減のために、米国小児科学会は親子の「ベッドシェアでないルームシェア」を推奨しています。親子別室は医学的に推奨されているわけではなさそうです。
<(筆者訳)乳児は、理想的には生後1年間、少なくとも生後6カ月間は、両親の部屋で、両親のベッドの近くに置かれた、乳児用に設計された別のところで、寝ることが推奨されます。>
【参考】SIDS and Other Sleep-Related Infant Deaths: Updated 2016 Recommendations for a Safe Infant Sleeping Environment - American Academy of Pediatrics
ここで添い寝も推奨されていないのは、大人用の寝具は赤ちゃんにとって柔らかすぎて、SIDSや事故のリスクになるから。日本でも前述の複数の調査によれば、一定の割合でベッドシェアをしているので、寝具の硬さや親の体による物理的な圧迫などに十分注意する必要があるでしょう。
いずれにせよ、もともと文化や住宅事情が違うことに加え、基本的にはやはり「何かあったときにすぐに駆けつけられる」ことが大事であるというのは、あらためて言えそうです。