連載
#103 コミチ漫画コラボ
バレンタインの思い出は? マンガで描く「異次元の自意識過剰」時代
悲喜こもごも、いろいろあります
受験生にとって、バレンタインデー前後は気の抜けない戦いのまっただ中です。「2月14日、世間はバレンタインで浮足立つが…進学校の3年生にそんな日は存在しない!」。マンガはこんな一文から始まります。
受験生の頃を振り返ってみると、確かに年明けからピリピリムードで勉強や試験のことしか考えられていなかった気がします。
バレンタインは意中の人や友達との思い出をたどりがちですが、家族のあたたかさがしみるマンガでした。(選評:河原夏季)
こっそり片思いの相手にチョコを渡すかどうか悩む高校生。「周りのみんなにバレたら」「恥ずかしくて生きていけない」と悩みます。そんな〝異次元の自意識過剰〟にさいなまれるお年頃だったなぁ…と、学生時代を甘酸っぱく懐かしく思い返しました。
でも、そんな「一歩踏み出した勇気」が、何年後かの自分を励ましてくれることもありますよね。自分にとっての「てんとう虫のチョコ」のような思い出は何だったかなぁ、と、ほっこり思いをめぐらせるマンガでした。(選評:水野梓)
古傷を全開にして見せつけてくるかのような、強烈な作品でした。「スライディング土下座」というネットスラングがありますが、自分が同じ立場だったら、「ジャンピングドリル土下座」くらいのことはしてしまうでしょう。
思春期には、自意識が肥大化してしまうもの。周囲の眼差しに、行動が支配されるのもしばしばです。チョコをもらったときの作者の胸の内は、痛いほど理解できます。
描かれたエピソードは悲劇に他なりません。しかし忘れがたい記憶だからこそ、時が経った今、チョコに込められた真心を何度もかみ締めているのではないでしょうか。
その真心に、素直に感謝しつつ応答できることが、大人になった証なのかもしれない。そんな風に思いました。(選評:神戸郁人)
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