壁やドア、床など、家のあらゆるところを子どもに「キャンバス」にされたーー。そんな経験がある方もいるのではないでしょうか。筆者の家でも、〝小さな画伯〟がドアや壁に落書き……いや、作品を残していました。落書きはどのように落とすとよいのか、掃除のプロに聞きました。
ボールペンでグルグルと…
カツカツ、コンコン、ザッザッザッ。ある日、筆者の家で子ども(3)が遊んでいる部屋から、そんな音が聞こえてきました。
「おもちゃでドアをたたいてるのかな?」と思い様子を見てみると、ボールペンを片手に笑う息子の姿が。部屋のドアや壁紙は立派なキャンバスと化し、ボールペンでグルグルと描かれた線を「やまのてせーん(山手線)!」と指さしていました。
思わず叫びそうになりましたが、悪びれる様子もなく「東京なんだ。いっぱい電車が走ってるから、これが中央線で、これが快速なんだ」と説明してくれる息子に、絶望や怒りの感情はしぼんでいきます。むしろそばにいなかった私が悪かったのです……。
大きなスペースにのびのび絵を描くことは楽しい以外の何ものでもない。達成感や充実感にあふれていたのかもしれません。とはいえしっかり言い聞かせ、もうしないように約束をしました。

重要なのは「落書き場所の素材」
大変なのは後始末です。こんなとき、どうやって壁やドアの汚れをきれいにしたら良いのでしょうか? 家事代行サービスを展開するダスキン(本社・大阪府吹田市)に取材しました。
対応してくれたのは、メリーメイド事業部の阪口さおりさんです。
「何で落書きしたかよりも、どこに落書きをされてしまったかです。対処できるかどうかは『落書きした場所の素材』が重要になります。
落書きの場所が壁紙など水を吸う素材の場合は、対処方法がかなり限られてしまいます。
水拭きや洗剤を使用する掃除は行うことができませんが、鉛筆でごく薄く書かれた落書きのみ、プラスチック消しゴムで、壁紙が破れないように気を付けながら優しく動かすことで薄くなったり、消すことができます」

目立たないところから取りかかる
「落書きの場所がビニールクロスなど水を吸わない素材の場合は、まずカット綿にベンジン、またはマニキュア除光液をつけ、落書きの部分を拭き取ります。
凹凸のある所に入り込んでいるものはブラシで円を描くようにこすってください。爪ブラシや歯ブラシなどを使うと効果的です。
くもりが残る場合は、その部分にガラス用洗剤をスプレーし、ブラシで円を描くようにこすります。
水に浸し固く絞ったぞうきんで汚れや洗剤分を拭き取り、最後に乾いたぞうきんで水気を拭き取ってください。
塗装面の素材によっては脱色、変色、ツヤがなくなることがあり、注意が必要です。あらかじめ目立たない所で変化がないことを確認してから行ってください」

てっきりボールペンや油性ペン、クレヨンなど筆記用具の種類によって消し方が違うのかと思っていましたが、落書きされた場所の素材がポイントということです。
阪口さんは、「素材と筆記用具の種類の見極めと、まずは目立たない所で変化がないことを確認してから対処(掃除)することが大切」と教えてくれました。
筆者は早速、ドアの下の方に残るボールペンの落書きをマニキュアの除光液で拭き取ってみました。すると、ボールペンのインクはきれいに消え、落書きされていたとは分からない状態に戻りました。
一方で、消えていく「作品」を見てちょっとした寂しさも。これも成長の記念として、一部残しておこうと思います。