連載
#30 SDGs最初の一歩
のんさんがめざす「とっつきやすいSDGs」 衣装をアップサイクル
プロデュースブランド「OUI OU(ウィ・ユー)」に込める思い
SDGsは、楽しいことや自分が幸せになれることとセットだと、もっととっつきやすくなる――。お気に入りの洋服をリメイクして服や雑貨としてよみがえらせる「アップサイクル」に取り組んできた、俳優・創作あーちすととして活躍するのんさんはそう語ります。自身がプロデュースするアップサイクルブランド「OUI OU(ウィ・ユー)」を始めた理由やSDGsへの思いを聞きました。
洋服が好きで、一目ぼれして買った服を着なくなってからも捨てられなかったというのんさん。以前から、衣装や普段着を組み合わせて新しい服を作っていました。
「『のん』として活動するようになってから創作することに意欲がわいていきました。洋服たちをリメイクして、かわいくすることにはまっていました」
2020年7月、SDGs実現につながる活動をする「SDGs People」第1号に選ばれました。そのときに「アップサイクル」と、SDGsの12番目の目標である「つくる責任 つかう責任」とのつながりに気づいたといいます。
「私もそうでしたが、SDGsはお金のある人や、企業を動かせる人じゃないと実現できないんじゃないかと思いがちですよね。やらないといけないけれど実感がわかないというか、大げさに考えてしまう人もたくさんいると思うんです」と指摘するのんさん。
「でも、自分の生活の中で共感できる活動がSDGsとつながっていれば、すごく得した気分になりますよね」
どうすれば多くの人が共感する活動になるか……。「チームのん」のスタッフと議論を重ね、アーティストが着ていた衣装や私服をアップサイクルする「OUI OU」のアイデアが固まっていきました。
ブランドのコンセプトは「ライフ with 推し」。アップサイクルしたアイテムを身につけることで、好きなアーティストを身近に感じながら生活できる。そんなブランドです。
のんさんも、ライブや美術展に行くとTシャツやグッズを買うのが好きだそうです。
「疲れていても嫌なことがあっても、私は『推し』のこんな特別なものを持っているんだと思うだけで勇気づけられるし、悩んでることが吹っ飛ぶぐらい幸せになります。『推し』のことを考えると楽しくなりますよね」
第一弾では、のんさんに加えて、のんさんの「推しアーティスト」2人の衣装や私服を生まれ変わらせました。
1人は、2009年に亡くなったミュージシャンの忌野清志郎さん。もう1人はRCサクセションで忌野清志郎さんと一緒に活動したギタリストの仲井戸麗市さんです。
のんさんにとって忌野さんは、ステージでの歌い方やギターの弾き方を研究するほど憧れの存在。仲井戸さんはのんさんの楽曲のレコーディングに参加し、ライブでも共演しています。
今回、3人のカラフルな衣装と私服は、アップサイクルを手がけるクリエイターたちによってポーチやブックカバーなどに作り替えられ、新たな命が吹き込まれました。「いつでもどこでも、かばんにしのばせて持ち歩けるように」と、小さめのアイテムが中心です。
たとえば、のんさんの私服はブックカバーに、大学の学祭でライブを行ったときの衣装はトートバッグに、といった具合です。
アイテムを販売して手元に置いてもらうことで「たくさんの人が幸せになれるSDGsの取り組みにしたい」と願っています。
「SDGsは以前に比べて、だいぶ当たり前になってきたとは思います。でも、楽しいことや自分が幸せになれることとセットだと、もっととっつきやすくなるはず。『OUI OU』がSDGsに向き合うきっかけになればいいなと思います」
第1弾アイテムの抽選販売への応募は、1月10日まで特設サイトで受け付けています。
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