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大雪でプレゼント遅れそう…サンタからおわびの手紙 遅配地域の子へ

「ヤキモキしているサンタさんの一助となれば」

サンタクロースのサインは、手書きできるように空けてあります
サンタクロースのサインは、手書きできるように空けてあります 出典: 宗のりこさんのツイッターから

目次

「サンタさんから大雪で贈り物が間に合わなくてごめんというお手紙を作りました」――。
現在、大雪の影響を受けている新潟県などの地域。そこに住む子どもたちと、その「サンタさん」たちを思った、優しさあふれる手紙を作った女性に話を聞きました。

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新潟から「優しさに感謝」

「新潟のこども達にクリスマスプレゼントが届かないのではないかと勝手に心配しています。サンタさんから大雪で贈り物が間に合わなくてごめんというお手紙を作りました」

こんな文言とともにツイートされた画像は、少し古めかしく見えるデザインの紙にプレゼントが遅くなることを詫びる内容が英語で記された、PDF印刷が可能な手紙。
作ったのは刺繡作家の宗のりこさんです。

ツイートには、実際に新潟に住んでいるという人から「優しさに感謝です」とリプライがつくなどし、リツイートは1万件、「いいね」は2万件を超えています。

出典:宗のりこさんのツイッターから

発送作業で「シビアな現状」に直面

宗さんは、刺繡グッズを販売するオンラインショップ「ちいさいおみせ」を運営しています。
数日前、新潟県を中心とする大雪の被害が報じられる中、オンラインショップで購入された商品を発送しようとするため郵便局に行くと、「新潟へのクリックポスト(自宅で運賃支払い手続きや宛名印刷を行い、全国一律料金で荷物が送れるサービス)の受付を停止している」と伝えられました。
※21日現在、郵便局では新潟県全域宛ての「ゆうパック(保冷扱いを含む)、ゆうパケット(クリックポストを含む)およびゆうメールの引き受けを一時的に停止」

他の配送方法を使ったとしても「かなりの遅延が見込まれる」との返答を受け、「そこで新潟のシビアな現状を知った」といいます。

「お客様にクリスマスまでに商品が届けば、クリスマスプレゼントみたいで嬉しいだろうな」と思いながら発送作業をしていたという宗さん。郵便局からの帰り道、ふと「新潟の子どもたちにクリスマスプレゼントが届かないのでは……」と心配になりました。さらに、荷物が届かなかったときの親の気持ちを考えたことで、手紙の作成を決めました。

20日午後3時の新潟県長岡市内。国道8号で全く動けないでいるトラックの列=2022年12月20日午後3時34分、新潟県長岡市新組町、友永翔大撮影
20日午後3時の新潟県長岡市内。国道8号で全く動けないでいるトラックの列=2022年12月20日午後3時34分、新潟県長岡市新組町、友永翔大撮影 出典: 朝日新聞社

随所に「本物っぽく」見せる工夫

帰宅後、3時間ほどで手紙を完成させ、必要な人に届くようツイートしました。

心がけたのは、「なるべく大人っぽく、本物の外国からのお手紙に見えるように」。

「豪雪で出かけられず、お手紙風の紙を用意できないことを考え、羊皮紙風の地色(じいろ)にして、白いA4用紙にプリントアウトしただけでも『年代風』の感じが出るようにしました」と話す宗さんからは、いま困っている地域に住む「サンタクロース」たちへの配慮を感じます。

手紙の内容にもしっかりとこだわりました。
プレゼントが遅くなってしまう理由は当初、「エルフたち(サンタクロースと一緒に住んでいるとされる妖精)が新型コロナウイルスにかかってしまった」なども考えたそうですが、「ストレートに『エルフやトナカイもびっくりするほどの豪雪で届けられなくてごめん』と書くことで、子どもたちが『自分たちの住む場所のことをわかってくれている』と安心し、仕方ないと思ってくれるのでは」と、大雪が理由であることを正直に伝える内容にしました。

また、遅れて届いたプレゼントを「そっと枕元に置けるように」、「準備ができたら、君のプレゼントを届けるために特別なエルフを送ります。特別配達を待つ間、しばらく待っていてください」とも記しています。遅れたとしても、いつかちゃんと届くと伝えることで安心させたいという気持ちがこもった、優しい一文です。

手紙の最初と最後には大きめの空白。「自分に宛てた特別なお手紙」と思ってもらえるよう、手書きで子どもの名前とサンタクロースのサインを書くためのスペースです。

子どもの名前を手書きできるように空けてあります
子どもの名前を手書きできるように空けてあります 出典:宗のりこさんのツイッターから

〝サンタさん〟としても「夢のある楽しいイベント」

宗さんがここまで思いを込めた手紙を作成したのは、「クリスマスの贈り物は本当に特別」という考えがあるからです。

「日本人にとってクリスマスは『輸入された商業的イベント』と考える方もいるかもしれませんが、私にとってはとても夢のある楽しいイベントの一つです」と考える宗さん。

その思いは、自身が親になり、我が子たちにとっての「サンタさん」になってからも変わりません。

「子どもの頃は『サンタさんを信じてプレゼントを待つ』のがとても楽しかったし、大人になってからは『サンタさんを信じて楽しみにしている子どもを思ってプレゼントを用意するのが嬉しく、サンタさんが来たことを喜んでくれる我が子の笑顔が私にとってのプレゼント』なのです」

子どもたちにばれないようにプレゼントを用意し、子どもたちが寝静まってから枕元に置く。そして、「朝、目が覚めたときの子どもたちの幸せな時間を分けてもらえる『わくわく感』が何とも言えないくらいたまらない」のだといいます。

その幸せな時間を味わえるタイミングが、今年は大雪の影響で少し先延ばしになる可能性のある地域があります。
今回の手紙が「大雪でプレゼントが届かなくてやきもきしているサンタさんの一助となれば嬉しいです」と宗さん。

そして「プレゼントのことだけではなく、豪雪による生活のご不便も出てくると思います」と慮(おもんぱか)り、これから続く雪のシーズンを無事乗り越えられるように、「がんばってください」とエールを送っています。

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