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連載

#9 小さく生まれた赤ちゃんたち

33週2037gで生まれた次男 安田美沙子さんが語る出産・育児

「産後2日目、NICUの保育器の前で涙が止まらなくなりました」

安田美沙子さんの次男は、2037gで生まれました
安田美沙子さんの次男は、2037gで生まれました 出典: 安田美沙子さんのインスタグラムより

目次

小さく生まれた赤ちゃんたち
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突然の入院に、陣痛、緊急帝王切開――。2020年、タレントの安田美沙子さん(40)は予定日より1カ月半ほど早く、妊娠33週(妊娠9カ月)で2037gの息子(2)を出産しました。「こんなに小さくて大丈夫?」と不安で涙したという安田さん。NICU(新生児集中治療室)に通った日々やいま次男の成長をみて感じることを聞きました。(聞き手:withnews編集部・河原夏季、沼田千賀子)

出典: 株式会社four o five提供
安田美沙子(やすだ・みさこ)さん: タレント。1982年、京都府出身。2児の母。2020年、妊娠33週で2037gの次男を出産。食育インストラクターや健康食コーディネーター、ランニングアドバイザーの資格を取得し、著書『安田美沙子の Run から始まる笑顔な暮らし 美・食・走るーーー私のゆる楽しい日々 の習慣~』(小学館)が発売中。>

救急搬送され切迫早産で入院

<2020年2月、安田さんは妊娠32週のときに早産の一歩手前に当たる「切迫早産」で入院しました。赤ちゃんの多くは37〜41週(正期産)で生まれ、22~36週は早産となります>

朝起きたら何分かおきに陣痛のようなおなかの痛みがありました。「これはまずいのでは……?」と思って夫にかかりつけのクリニックに電話してもらいました。

「すぐに来てください」と言われて家族でクリニックに向かいましたが、診察の結果そこでは対応できないということで、夫と長男に見守られながら救急車でNICUのある総合病院に運ばれました。

最初に行ったクリニックは不妊治療で通っていて、産科もありました。長男を産んだところで信頼していましたし、次男もここで産むと決めていたので、突然のことに頭がついていきませんでした。

総合病院では、切迫早産のため1カ月入院が必要と診察されました。でも、5日目に破水して陣痛がきました。陣痛は痛くてつらすぎましたね。逆子だったので、緊急帝王切開になりました。

手術前、病室でひとり待機する時間があったのですが、「赤ちゃんは大丈夫なのか」と考えてしまって、とても孤独でした。予定日より早く産むことになって、何が起きているか分からないし、でも何もできません。放心状態です。

夫も駆けつけてくれましたが、手術室に入る直前だったので「大丈夫?」「大丈夫じゃない」しか言葉を交わせませんでした(笑)。

「本当に私の子ども?」

<緊急帝王切開で生まれた次男は2037g。産声も聞くことができました>

目の前に連れてこられた次男を見た瞬間、「かわいい」と声が出ました。ただ、うれしい半面、喜びきれていないというか、早く生まれたことへの不安はありました。

その時は、タオルにくるまれていたので大きさはよく分かりませんでしたが、あとからNICUに面会に行くと「ちっちゃい!」と思いました。手足が細くて折れそうで、しゃっくりをすると胸が「べっこんべっこん」上下するのが分かるんです。鼻の下には酸素を送るチューブをつけていました。

早産で生まれた次男
早産で生まれた次男 出典: 株式会社four o five提供

産後2日目、面会中にNICUの保育器の前で涙が止まらなくなりました。

「早く産んでごめんね」「何がいけなかったんだろう」という気持ちもありましたし、ホルモンバランスの乱れもあったのか、ひとりでずっと泣いていました。

急な出産で心の準備ができていなかったので、「本当に私の子ども?」とふわふわした、不思議な感じでした。

自分の体調もすごくしんどかったんですが、会いにいかなきゃという思いがあり、点滴を引っ張って面会にいきました。本当にひたすら泣いていて、看護師さんには「大丈夫ですか?」「顔真っ青ですよ、休んでください」と心配されました。

次男はNICUで保育器に入っていました
次男はNICUで保育器に入っていました 出典: 株式会社four o five提供

医師や看護師の優しさに救われた

私は、病院の先生や看護師さんたちの優しさにすごく救われました。

陣痛が痛すぎて泣いてしまったときも、看護師さんが手を握って「大丈夫ですよ」と励ましてくれて余計に泣けました。

どうしても早産になった自分を責めてしまいましたが、先生や看護師さんは「お母さんのせいじゃないですよ」「自分のことを責めなくていいんですよ」と声をかけてくれました。

私が先に退院したあとも、毎日NICUへ面会にいきました。コロナ禍で面会は1人のみという制限があって、夫婦で行けなかったのはつらかったですね。

次男の手足は細く、折れそうなほどでした
次男の手足は細く、折れそうなほどでした 出典: 株式会社four o five提供

搾乳して母乳を持っていくことしかできませんでしたが、正直、ダメージは回復しきっていないし、寝不足で自分の体力もつらかったです。夜中にうとうとしながら搾乳していて、搾った母乳を倒してしまったこともありました。

病院で子どもにミルクを飲ませていても意識が飛びそうになって、先生には「休んでいいですよ」と声をかけられました。

一般的な出産なら、新たな命をみんなで迎えて喜んで、祖父母がお祝いにくることもあると思います。子どもを病院に残して私だけ退院したので、なおさら「本当に産んだのか」という実感が薄かったのかもしれません。

次男はNICUとGCU(回復治療室)に約1カ月入院して、2655gで退院しました。それでもまだ小さくて、この状態で家に帰っていいのかと心配でした。

長男と次男
長男と次男 出典:安田美沙子さんのインスタグラムより

長男と比べてしまうことも…

2歳になった次男はいま、幼稚園入園を控えプレスクールに通っています。

いまも細くて小さいですし、言葉が出るのが遅いと感じています。しゃべってはいても語彙(ごい)が少なかったり、赤ちゃん言葉だったり、発達がゆっくりなんだと思います。

でも、5歳の長男が使う言葉は言えるんです。お兄ちゃんが大好きで全部まねをします。お兄ちゃんが好きなことを自分も好きになって、学んでいるんでしょうね。

成長発達は、39週(正期産)で生まれ、体重も3200g以上あった長男と比べてしまうこともあります。

長男はしゃべり出すのも早かった。次男は友達とうまくやっていけるかどうかも不安です。

一緒に眠る兄弟
一緒に眠る兄弟 出典:安田美沙子さんのインスタグラムより

ママ友や子どものいる知り合いに、「次男は全然しゃべらなくて、幼稚園でやっていけるか心配なんだよね」と、しょっちゅう相談してしまいます。でもみんな「うちの子も遅かったよ」とか「個人差があるから大丈夫だよ」と励ましてくれるんです。

確かに、2語文(二つの単語からなる文)を話せるようになったり、自分で靴を履けるようになったり、ゆっくりだけど少しずつできることは増えていて、夫婦で「うれしいね」と話しています。

お兄ちゃんと追いかけっこをしたり、おもちゃの取り合いをしたりしているのもすごい成長だなと感じます。生まれたときの大きさの差を考えたら、兄弟で一緒に遊べるようになるなんて思っていませんでした。最近は一緒にパン作りもしていますし、今後の関係性が楽しみです。

次男は次男なりに少しずつ成長しているので、周りと比べず、次男のできることに目を向けていきたいと思っています。のびのび育ってくれるといいな。

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日本では、およそ10人に1人が2500g未満で生まれる小さな赤ちゃんです。医療の発展で、助かる命が増えてきました。一方で様々な課題もあります。小さく生まれた赤ちゃんのご家族やご本人、支える人々の思いを取材していきます。

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