連載
#148 ○○の世論
ことしは帰省する?しない? コロナ禍、年代別に見えてきた傾向
「旅行支援」実施 第8波への懸念も
いよいよ師走。当初12月下旬までとされてきた政府の観光支援策「全国旅行支援」が、年明け以降も実施されることになりました。一方、新型コロナウイルス感染の第8波の到来が懸念されています。こんな年末年始ですが、あなたは帰省や旅行を計画していますか?(朝日新聞記者・四登敬)
朝日新聞社は2020年11月以降、大型連休前の4月、夏休み前の7月とともに、「今度の年末年始に」など時期を明示して、「帰省や旅行を計画していますか」と全国世論調査(電話)で質問してきました。
今年11月12、13両日の調査を含む7回の結果を見ると、全体として「計画している」は11%(20年11月)→20%(22年11月)と増え、「計画していない」は88%(20年11月)→79%(22年11月)と減る傾向にあります。
「計画している」が最も少ないのは、第4波に入った21年4月調査の6%、最多は3年ぶりに行動制限のない夏となった今年7月調査の23%です。
「計画していない」は21年4月の調査が最多で93%、最少は今年7月の76%でした。
こうした変化を年代別に見ると、ほかの年代が全体結果とほぼ連動するなかで、30代には異なる傾向が見えます。
第6波のピークは過ぎたものの、多い日は1日に約6万人の新規感染者がいた今年4月の調査で、「計画している」と答えた他の年代は前回の21年11月調査から減少していました。
その中で30代の「計画している」は、26%から33%に増加。今年11月の調査も、前回の7月調査より「計画している」がやや増えています。
子どもを連れて帰省したり、家族で旅行に出かけたりしたい、という気持ちでいる人が多いのかもしれません。
帰省や旅行に前向きな変化が目立つ30代と比べ、「計画していない」が依然として高い割合を占めるのは高齢層です。
60代は90%前後を行ったり来たりしており、70歳以上は21年11月の調査で88%だった以外は、毎回90%台を占め、どの年代よりも高い割合になりました。調査ごとの増減の変化も他の年代ほど大きく振れておらず、高止まりしています。
感染した場合に重症化するリスクがあることが、帰省や旅行に出かけることに二の足を踏ませているのかもしれません。
「計画している」が増え、「計画していない」が減る傾向にあることを踏まえると、コロナ禍の中でも帰省や旅行に対する抵抗感は弱まっているようです。
しかし、「計画している」の全体結果が最多だった今年7月の調査後にピークを迎えた第7波では、ウイルスの変異株の影響もあって、1日の新規感染者が過去最多になりました。
第8波の展開は見通せませんが、年末年始に帰省や旅行をする場合は、慎重に計画を立てる必要がありそうです。
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