MENU CLOSE

連載

#64 「きょうも回してる?」

税の書道展に「不思議な違和感」 クリエイターがたどりついた表現

「私の企画中たぶん今年1〜2を争う」

「りきさく〜税に関する書道展〜アクリルバッジ」
「りきさく〜税に関する書道展〜アクリルバッジ」

目次

オリジナリティーが光るガチャガチャは、時にただならぬ魅力を発揮します。「書道展」の展示作品がモチーフのガチャガチャが誕生した背景を、ガチャガチャ評論家のおまつさんが取材しました。

◆鍛えすぎは禁物?!スポーツ科学が解き明かす効率的なトレーニング法(PR)◆
ガチャガチャ評論家おまつの「きょうも回してる?」

「くだらない」は重要要素

オリジナルのガチャガチャは大きく分けると、メーカーの企画、クリエーターの企画、作家の企画に分類されます。

ガチャガチャでは、7割以上がアニメや漫画などのキャラクター商品が占める中、オリジナルの商品は売り場でお客さんの目に留まる企画であるかが、カギになってきます。特にクリエーターの商品は、企画が何よりも重要になってきます。

その企画のなかに、心をくすぐるような「くだらなさ」が重要です。「くだらない」という言葉の意味を辞書を引くと、つまらない、馬鹿馬鹿しい、俗っぽい、無意味、無価値などの言葉がでてきます。
どこか排他的なイメージが湧く「くだらない」という言葉。しかし、時としてオリジナルのガチャガチャでは「くだらない」は重要な要素になってくるのです。

この「くだらない」という要素をうまく表現してガチャガチャに落とし込んでいるクリエイターがいます。妄想工作所の代表の乙幡啓子さんです。
乙幡さんは工作家の顔を持つ一方で、WEBサイト「デイリーポータルZ」で連載もしています。

『どうかしてるガチャ』

乙幡さんがガチャガチャの商品企画に携わった数は、累計32種類。今年は新規で13種類の企画の商品が誕生しました。クリエイターとしては、今年もっとも多くガチャガチャの商品企画に携わった、まさにガチャクリエイターとも言えます。

そんな乙幡さんがSNSでつぶやきました。
「私の企画中たぶん今年1〜2を争う『どうかしてるガチャ』が10月発売ですよ」

書道展で感じた、違和感や可笑しみ

今回は、乙幡さんが企画・原案を担当した書道アクリルバッジ「りきさく〜税に関する書道展〜アクリルバッジ(以下、りきさく)」を紹介します。

この商品は、秋ごろに、全国で「子どもに税について関心を持ってもらう」ことをテーマに開催されている、「小学生の税の書道展」をガチャガチャにしてしまったものです。

りきさくを作ったのは、このコラムでも触れた、環境対策として見出した紙のカプセル「ecoポン」を作っているケーツーステーションです。

【ecoポンの記事はこちら】 多様化するガチャガチャの〝カプセル〟 「エコなのに捨てたくない」

企画のきっかけは、乙幡さんが常日頃、アイデアをメモしている中から生まれました。

乙幡さんはこう話します。
「毎年、税に関する子どもの書道展が開催されていますよね。税金のことを知ってもらおうという大人側の考えと、小学生が書道で字をうまく書きたいという思いで、なぜか税金テーマで書かされている」

「その風景を想像したら、面白くかつ、不思議な違和感がありました。この思いを表現したい。それは、デイリーポータルZで表現するのか、自分の雑貨で作り出すのか。その時は答えはでず、モヤモヤしたまま、アイデアをしまっていました」

そして今年、ケーツーステーションからガチャガチャの企画を持ちかけられたとき、「子どもの書道展を思い出し、子どもの書道展で感じていた違和感や可笑しみをガチャガチャで追求できる。今まで持っていたモヤモヤ感が解消されました」と乙幡さん。

サイズ感はこんな感じ
サイズ感はこんな感じ

実際の小学生が筆をとり

りきさくの特徴は、実際の小学生が書いていること。リアルさを追求したケーツーステーションの思いが伝わってきます。

また、6種類のうち、スペシャルは、先生の添削入りのダブルアクリル仕様になっています。これは、ケーツーステーションが今まで培ってきたキャラクターグッズや玩具の企画から生まれたアイデアだそうです。

サンプルを初めてみたとき、乙幡さんは「ケーツーステーションさんが私の想いを汲んでくれていて、感動しました。ケーツーステーションさんのアイディアで作られた先生の添削入りのダブルアクリル仕様を見たときには、正直、負けたと思いました」と笑って話してくれます。

先生の添削入りのダブルアクリル仕様(左下)
先生の添削入りのダブルアクリル仕様(左下)

ダブればダブるほどいい

また、りきさくについて、乙幡さんにはひとつ思いがありました。
「今までガチャガチャの商品を作ってきましたが、複数回買ってくれたお客さんの商品がダブってしまったら、申し訳ないなと感じていました。しかし、りきさくだったら、いっぱいダブっていい。ダブればダブるほどいい。そういうガチャガチャがあったらいいなと常々思っていました。それがりきさくで実現しました」(乙幡さん)

乙幡さんなりのりきさくの使い方として、こんなアイデアを披露してくれました。
「黒いトートバックにりきさくをたくさんつけると、(展示会の雰囲気を再現できるので)書道展ができます(笑)。1回200円なので、1000円で5枚も買えば、自分の書道展が開催できます。ただ、これこそ、ほんと、どう使っていいかわかりませんよね(笑)。買った方がどう楽しむのか興味深いです」と教えてくれました。

今後について乙幡さんに尋ねると、「自分だけのキャラクターを生み出していきたいですね。そして60、70歳になっても、ガチャガチャの企画を考えられ続けられたらいいなと思います」と話してくれました。

乙幡ワールドで誕生するガチャガチャが今後も楽しみです。


書道アクリルバッジ「りきさく〜税に関する書道展〜」は、「ぜい」、「ぜい金」、「税金」、「納税」、「ふるさと納税」の全5種類と、「スペシャル」の1種類。1回200円。

ガチャガチャ評論家おまつの「きょうも回してる?」
この連載は、20年以上業界を取材しトレンドをチェックしているおまつさんが注目するガチャガチャを紹介していきます。

     ◇
ガチャガチャ評論家・おまつ(@gashaponmani
ガチャガチャ業界や商品などをSNSで発信中。著書に「ガチャポンのアイディアノートーなんでこれつくったの?ー」(オークラ出版)。テレビやラジオなどのメディアへの出演や素材提供も多数ある。
CLOSE

Q 取材リクエストする

取材にご協力頂ける場合はメールアドレスをご記入ください
編集部からご連絡させていただくことがございます