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夢しかない!クリスマスグッズ3千点超販売、銀座の書店が貫いた意地

売り場縮小でも守った「お客様本位」

東京・銀座の街中に建つ老舗書店では、驚くほど多種多様なクリスマスグッズを販売しています。本屋さんが、どうしてこだわりのアイテムを販売し続けるのでしょうか。
東京・銀座の街中に建つ老舗書店では、驚くほど多種多様なクリスマスグッズを販売しています。本屋さんが、どうしてこだわりのアイテムを販売し続けるのでしょうか。 出典: 神戸郁人撮影

目次

日に日に寒さが厳しくなり、冬の足音が聞こえてきました。この時期に楽しみなのが、クリスマスです。室内を彩る関連グッズを、10年以上にわたって販売する書店が、東京・銀座にあります。数多くの商品を取り扱い、そのほとんどをスタッフが海外から買い付けるこだわりぶりです。反面、世界との結びつきが強いゆえ、新型コロナウイルスやウクライナにおける戦争により、運営上の打撃も受けてきました。それでもなお、貫き続けているということとは? 関係者を取材しました。(withnews編集部・神戸郁人)

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クリスマス気分を高めまくる品ぞろえ

銀座の中心地に建つ書店の名は、教文館(東京都中央区)。1885(明治18)年、米国から派遣された宣教師たちが創業しました。キリスト教系書籍を中心に販売し、店内には児童書専門のコーナーを備えるほか、一般書も多く取りそろえています。

主にクリスチャン向け商材を扱う店舗ゆえ、2008年から続けているのが、クリスマスグッズの販売会「ハウス・オブ・クリスマス」です。毎年秋~冬の約2カ月間、店内の一部区画に関連商品を陳列。今年の会期は10月28日~12月25日です。

バレエの演目などでもなじみ深い、くるみ割り人形。様々なサイズや見た目のものが、ずらりと並ぶ。
バレエの演目などでもなじみ深い、くるみ割り人形。様々なサイズや見た目のものが、ずらりと並ぶ。 出典: 神戸郁人撮影

3階の一角に並ぶのはクリスマスカードやぬいぐるみです。くるみ割り人形といった定番アイテムに、はがきに貼る北欧製のイラスト入りシールや、すずを鋳造したドイツの伝統的な壁掛けオーナメントなど、個性豊かな品々が棚を埋め尽くします。

フロア全体が会場となっている4階に上がると、リースやタペストリーが出迎えてくれます。イエス・キリストの降誕がテーマの人形セット、聖書のエピソードを象徴的に図像化したアクセサリーもあり、見ているだけで心躍る風景です。

新約聖書につづられた、イエス・キリストの降誕場面がモチーフの人形セット。クリスマス当日に飾る。
新約聖書につづられた、イエス・キリストの降誕場面がモチーフの人形セット。クリスマス当日に飾る。 出典: 神戸郁人撮影

さらにシュトレンやレープクーヘン、全国の修道院で生産されたチョコレートといったお菓子まで購入でき、いやが上にもクリスマス気分が高まります。3千点超の商品が一堂に会するさまは、まさに壮観の一言です。

11月上旬、売り場を写した画像がツイッター上に出回ると、大きな反響を呼びました。「なんと愛らしいお店」「全然知らなかった、親子で行くしかない」。現在に至るまで、そのように好意的な感想が飛び交っています。

教文館3階のクリスマスグッズ売り場。クリスマスツリー用のオーナメントを中心に、個性あふれる商品の数々が顔をそろえる。
教文館3階のクリスマスグッズ売り場。クリスマスツリー用のオーナメントを中心に、個性あふれる商品の数々が顔をそろえる。 出典: 神戸郁人撮影

目が肥えた客に〝本物〟届けたい

「クリスマスは、日本社会に最も浸透している、キリスト教のメインイベント。特に気合を入れて臨もうということで、販売会を始めました」。そう言葉に力を込めるのは、教文館の小松譲治店長(58)です。

小松さんによると、ハウス・オブ・クリスマス向けの商品は、ほとんどが欧州などからの輸入品といいます。4階で買えるもののうち、全体の半分ほどが、3階に限るとほぼ全てが該当するそうです。

サンタクロースをモチーフとした、クリスマスツリー用のオーナメント。
サンタクロースをモチーフとした、クリスマスツリー用のオーナメント。 出典: 神戸郁人撮影

少しでも、質の高い品を提供したい。そんな思いから、ドイツ南部のニュルンベルクなど、欧州で行われるクリスマス市に書店スタッフを派遣。現地で直接買い付けたものを中心に取り扱っています。

売れ線なのは、アドベントカレンダーや、クリスマスツリーに飾りつけるオーナメントだとか。冬の街並みや民家の食卓をかたどり、柔らかな光を放つ電球を備えたドイツの木彫りおもちゃ・シュビップボーゲンといった、珍しい品も人気です。

ドイツで親しまれている、すず製の壁掛け用オーナメント。鋳型に液状のすずを流し込み、固めて作る。
ドイツで親しまれている、すず製の壁掛け用オーナメント。鋳型に液状のすずを流し込み、固めて作る。 出典: 神戸郁人撮影

「ドイツ以外にイタリアやメキシコ、バルト三国のラトビアなどを含めて、100を超える事業者から仕入れています。銀座のお客様は目が肥えていますから、やはり〝本物志向〟を大切にしなければいけません。そのことは常に意識していますね」

このほか、店内のギャラリーで自作品を公開しているアーティストからも、手製バッジといった商品の提供を受けています。クリスマス期間中は、平時以上に需要が高まるため、作者の売り上げに貢献できる側面があるそうです。

旧約聖書に登場する「ノアの方舟」由来の造形物。
旧約聖書に登場する「ノアの方舟」由来の造形物。 出典: 神戸郁人撮影

ウクライナ市民援助の機会も

小松さんいわく、販売会は元々、店舗9階にあった大ホールで開かれていました。しかし経営上の理由から、ホールの維持が困難に。昨年、会場を3・4階に移し、売り場を縮小した上で継続する運びとなりました。

その後、新型コロナウイルスが流行。客足が減った上、今年はロシアによるウクライナ侵攻のあおりを受け、国際的な物流コストが高騰しています。増加分を商品単価に転嫁せざるを得ないこともあり、コロナ禍前と比べ、平均して2割ほど高値となっているそうです。

それでも従来並みの品ぞろえを保てるよう、取引先と密に連絡を取り合い、販路の確保に奔走しました。「規模は小さくなったけれども、どこにも負けないくらいの量のアイテム数を誇っている」と、小松さんは胸を張ります。

4階の一角を占めるクリスマスリースコーナー。
4階の一角を占めるクリスマスリースコーナー。 出典: 神戸郁人撮影

今回、初めて輸入元となった国もあります。戦禍が続くウクライナです。西部の都市・テルノーピリで、熟練職人たちが手がけた、木製のアドベントカレンダーや降誕祭がテーマの人形を取り扱っています。

「2~3年前、ドイツのクリスマス市で、ウクライナの商品取扱店と交流を持ちました。同国の工芸品は素朴な作りですが、色鮮やかで美しいんです。少しでも地元民の方々を援助できれば、という気持ちで販売しています」

ウクライナの職人が手がけた、イエス降誕の場面を描いた造形物。
ウクライナの職人が手がけた、イエス降誕の場面を描いた造形物。 出典: 神戸郁人撮影

努力のかいあって、今年もお客さんからの反応は上々だといいます。現状は幼稚園や学校からの注文が多く、これから会期末にかけて、個人客の訪問者数が増える見込みということです。小松さんは、最後にこう語りました。

「ネットショップでもグッズを購入できますが、実際に来店してこそ、品質の良さを分かって頂けると思います。地方にいらっしゃる方も、上京の折には足をお運びください。そして、平和で良いクリスマスを迎えてくださればうれしいですね」

【関連リンク】ハウス・オブ・クリスマスの特設ページ(教文館公式ウェブサイト内)
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