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ネットの話題

「現代的な姿にしてやった」ちょいデカ〝金印〟風グッズの仕様に驚嘆

伝説の印文、最新技術でまさかの変貌

教科書にも載っている国宝を、テクノロジーによって、想定外の形で再現したアイテム。その紹介動画が人気です。
教科書にも載っている国宝を、テクノロジーによって、想定外の形で再現したアイテム。その紹介動画が人気です。 出典: まこさんのツイッター(@MakoTr_315)

目次

学校の授業で、その歴史的意義について教わる国宝「金印」。現代にふさわしい形で再現したとして、とある人物の手に成る創作物が、ツイッター上で話題を呼んでいます。確かな技術力と、ひとさじのユーモアが結実した逸品は、どのような思いから生まれたのか。作者の大学生に聞きました。(withnews編集部・神戸郁人)

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デジタルなはんこ(アナログ)

福岡市博物館によると、金印は後漢の光武帝が倭奴国王(わのなのこくおう)に与えたと言われています。蛇をかたどったつまみと「漢委奴国王(かんのわのなのこくおう)」の印文が有名です。江戸時代、現在の福岡・志賀島から出土しました。

11月10日、その外観を模した造形物にまつわる、23秒の短尺動画がツイートされました。

冒頭、軍手を身につけた人物が、造形物を持つ様子が映し出されます。つまみのデザインはややシンプルですが、金色でしっかりとした光沢があるなど、実物そっくりな仕上がりです。

注目すべきなのが、脇に置かれた朱肉をつけ、真っ白な用紙に押印するシーンです。あの五文字が刻まれているのかと思いきや、意外にも、QRコードが現れます。

これだけでは終わりません。続いて、スマートフォンでQRコードを読み取ると、こんな一文が画面に表示されます。「漢委奴国王」。そう、印面の文字をデータ化していたのです。

動画に添えられた「3Dプリンターの力で金印を現代的な姿にしてやりました」という文言通りのアイテム。度肝を抜かれた視聴者たちは、「デジタルなはんこ(アナログ)だ」「テクノロジーの無駄遣い」と驚き、6万近い「いいね」もつきました。

作品の肝は印面にあり

今回の作品は、千葉県在住の大学生・まこさん(21・@MakoTr_315)が手がけました。電気電子工学を専攻し、現在は休学の上、国産3Dプリンターメーカーでインターン中です。最新技術を応用した独自プロダクトの開発にも注力しています。

まこさんによると、3Dプリンターの活用法について思案中、金印のことを思い起こしました。印面が正方形である点に着想を得て、「もし凹凸部がQRコードになったらどうなるか」と考え、3日間で完成させたのだそうです。

「まずはウェブ上のツールで、『漢委奴国王』の一文をQRコードに変換しました。その図形データをコンピュータ上に取り込み、金印の3Dモデルを作成。さらに専用ソフトを用いて、自宅の3Dプリンターにデータを読み込ませ、造形しました」

「QRコードをスマホで読み取ると、本来のテキストが表示されるギミックが、一番重要な部分です。デジタルデータの情報が実物と変わらないなら、印面を読めるかどうかに関係なく、意味内容は同じとのコンセプトに基づいています」

素材に金色の発色があるPLA(生分解性プラスチック・植物由来の樹脂材料)を採用しており、サイズは4.2センチ角です。実物の2.3センチ角より大ぶりなのは、外観のインパクトや、印刷の精度を担保するためなのだといいます。

「一目見てすぐに、『これは金印だ』と分かるビジュアルを目指した」と振り返る、まこさん。いわく、最も苦労したのが、QRコードの成形です。凹凸部の形状が細かくてもろいため、何度も試作を重ね、最適な形状を追求しました。

金印型造形物の印面。QRコードが彫り込まれている。
金印型造形物の印面。QRコードが彫り込まれている。 出典:まこさんのツイッター(@MakoTr_315)

「産業イノベーションの原点」

まこさんはこれまでにも、製菓材料のアラザンに電気を流し、LED電球を点灯させる「電気回路チョコ」といった、遊び心満載の発明品を多数生み出しています。ものづくりに、どうやって親しんできたのでしょうか。

技術者の片鱗が見え始めたのは、小学生の頃のことです。電気好きが高じて、電子工作に興味を持ち、独学で回路設計やはんだ付けのスキルを身につけました。高校時代には授業の課題用として、木製セグウェイを作るなどしてきたといいます。

「自らの発想を具現化できたときの達成感や喜びは、ものづくりの醍醐味だと考えています。近年は3Dプリンターが低価格で流通し、従来より活動しやすく、いい時代になったなと若者ながら感じています」

「SNSを通じて、いわば〝独り言〟感覚で自分の活動をアピールできるのも、現代特有の面白さです。今回のように自分の作品を広く見てもらえますし、創作に関わる人々が、大きく羽を伸ばせていると感じます」

そして、金印モチーフの制作物が好評を博したことについては、「デジタルであり、アナログでもあるという作品の旨みが伝わって、とてもうれしい」。また、こんな風にも語りました。

「私だけでなく、多くの人々が、色々な思い付きから、様々な工作や創作活動に取り組んでいます。産業のイノベーションの原点として、作り手の皆さんを、ぜひ応援して頂ければと思います」

【関連リンク】まこさんが制作中の「木製ステレオポータブルスピーカー」紹介ページ(今年12月末開催の同人誌即売会・コミックマーケットで頒布予定)
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