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連載

#63 「きょうも回してる?」

多様化するガチャガチャの〝カプセル〟 「エコなのに捨てたくない」

バイオマス素材、カプセルレス…

ケーツーステーションの「ecoポン」
ケーツーステーションの「ecoポン」

目次

地球温暖化、気候変動対策、SDGs……。地球環境にまつわる言葉が多く広まり、環境保護団体のニュースも頻繁に目にするようになった昨今、足元をみると、気軽に遊べるガチャガチャにはプラスチック製品が多いことに気づきます。そんなガチャガチャ業界が、空カプセルの回収以外にも進めている取り組みがあるといいます。ガチャガチャ評論家のおまつさんが取材しました。

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ガチャガチャ評論家おまつの「きょうも回してる?」

小さなカプセルで樹脂削減、「カプセルレス」も

カーボンニュートラルや脱炭素社会への実現に向けて、社会全体が動き出しています。国内では、2020年7月にプラスチック製買物袋が有料化され、2022年4月に「プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律」が施行されました。私たちの身の回りも少しずつ変化してきています。
エジプト・シャルムエルシェイクで18日まで開催されている、国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP27)での議論の行方も注目されています。

では、ガチャガチャ業界での環境対策はどうなっているのでしょうか。

最もよく知られているのは、メーカーや専門店による空カプセルの回収です。

他にも、業界の最大手バンダイでは21年9月から回収した空カプセルからリサイクルペレットを生産して、カプセルに再生する取り組みを始めています。また、タカラトミーアーツでは、商品サイズにあわせてカプセルを小さくすることでプラスチック樹脂の使用量の削減に努めてきました。

さらに、プラスチックのカプセルに商品を入れずに、カプセルレスとする商品も最近では増加傾向です。

業界全体としてプラスチックのカプセルの市場提供個数を明らかにしているわけではありませんが、個数を公表しているバンダイは1億個、その他の企業の販売個数などを合わせると、概算で年間2億個程度が市場に出回っていると予測されます。

マプカ…?

そのなかで、バンダイは今年、ガシャポン45周年プロジェクトの一環で、紙製のカプセル「マプカプセル」を一部の商品において提供を開始しました。

マプカプセルは、プラスチックのカプセルを環境に優しい素材「MAPKA(マプカ)」に置き換えて開発しました。

マプカは紙をパウダー化し、紙パウダー51%、ポリプロピレン(PP)49%を混成させたバイオマス素材。製品の製造工程を変更することなく石油化学原料の使用量を削減できるといいます。また、このコラムでも紹介したダンボールのカプセル「ぺパポン」も環境に配慮したカプセルです。このような紙カプセルの動きに、いち早く注目した企業がありました。

キャラクターグッズや玩具の企画・製造・販売を手掛けるケーツーステーションです。

バンダイの「マプカプセル」=日本ガチャガチャ協会提供
バンダイの「マプカプセル」=日本ガチャガチャ協会提供

「でんぷん」と「パルプ」でできたカプセル

ケーツーステーションは昨年、プラスチックを一切使用しない、でんぷんとパルプのみで製造された環境に優しい紙のカプセル「ecoポン」を作りました。

このecoポンは、ケーツーステーション、ダンボール製造企業のレンゴー、「パルプ射出成形(PIM)技術」の特許を有する大宝工業の3社で共同開発されました。PIM技術は、主成分にでんぷんとパルプを用いた成形材料を射出成型し、3次元立体構造を実現した技術です。

ecoポンは、分別して資源ごみとして回収すれば、再資源化につながります。また、一般ゴミとして焼却しても有害物質が発生しません。

プラスチックのカプセルはPPの材料で作られていますが、PIM技術による成形は、製造時のCO2排出量はPPの約3分の1。プラスチックを用いないため、マイクロプラスチックの原因にはなりません。また、生産拠点を鳥取県に構えているため、国外で製造した場合に比べ、輸送に伴う環境負荷も軽減するそうです。

ケーツーステーションの「ecoポン」
ケーツーステーションの「ecoポン」

訪日外国人にもウケそう…

ケーツーステーションの常務取締役の足立光弘さんは、ecoポンについて「プラスチックのカプセルにはない、紙の暖かさを感じさせるのがecoポンです。エコのカプセルなのに、捨てたくない。持って帰りたい要素があり、ecoポン自体に可愛らしさもあります」と話してくれました。

また、活用方法として、「紙カプセルのため、メッセージも書けます。ecoポンは小さいギフト包装としても使えます」。他にも、イヤリングケースとして使うことも提案してくれました。。

実際にecoポンを持ってみると、想像したよりも軽く感じたほか、コミュニケーションツールとして、プレゼントの包装としても活用できるカプセルだと思いました。また紙の質感が和紙のように思え、今後、訪日外国人にもウケそうなカプセルではないかと思います。

ガチャガチャの「商品」作りにも参入

ecoポンはくら寿司のガチャガチャ「ビッくらポン」でも導入されています。足立さんは今後、ecoポンをもっと広めたいといいます。

その第一歩として、今年のはじめにはガチャガチャ業界にカプセルのみならず、「中身」にあたる商品でも参入することを決意しました。

まずは、ケーツーステーションの認知度を高めるため、10月に実際の小学生が書いた書道をガチャガチャにした「りきさく」を発売。この商品はプラスチックのカプセルですが、今後は、ecoポンに商品を入れた、東京の浅草限定の商品「お土産カプセルasakusa」など、順次、ecoポンを使用したガチャガチャを発売する予定です。

足立さんは「ecoポンを広めるとともに、メーカーとして、将来的にヒット商品を生み出していきたいですね」と、今後の抱負を話してくれました。

ちなみに、現在のECOポンのサイズは直径50㎜のワンサイズのみですが、ガチャガチャ業界では直径65㎜サイズのプラスチックのカプセルが多いため、ecoポンの直径65㎜サイズを企画しているそうです。

「ecoポン」は、メッセージを書き込んでもかわいい。
「ecoポン」は、メッセージを書き込んでもかわいい。

「すべて脱プラの必要はないと思う」理由

最後に、私はすべてのカプセルが脱プラスチックになる必要はないと思います。なぜなら、ガチャガチャ業界は中小零細企業が多く、薄利多売の業界だからです。
現状の円安に加え、カプセルにコストをかけすぎると、商品コストと商品のクオリティとのバランスを取ることが難しくなってきます。

お客さんにワクワクや驚きを手軽に提供できるのが、ガチャガチャの良いところ。

そのため、メーカーは身を削りながら、切磋琢磨しています。

その中で、バンダイの紙カプセルの取り組みや段ボールカプセルのぺパポン、そしてecoポンなど、環境に配慮した商品もあることで、メーカーやガチャガチャを購入したお客さんが、環境に対する意識を高めることにつながることも大切だと思います。

ガチャガチャ評論家おまつの「きょうも回してる?」
この連載は、20年以上業界を取材しトレンドをチェックしているおまつさんが注目するガチャガチャを紹介していきます。

     ◇
ガチャガチャ評論家・おまつ(@gashaponmani
ガチャガチャ業界や商品などをSNSで発信中。著書に「ガチャポンのアイディアノートーなんでこれつくったの?ー」(オークラ出版)。テレビやラジオなどのメディアへの出演や素材提供も多数ある。
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