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6本足の「微生物こけし」?〝ツッコミ待ち〟アート生み出し30年

「駄美術」作り続けるユニット・現代美術二等兵

現代美術二等兵の作品「微生物こけし」=筆者撮影
現代美術二等兵の作品「微生物こけし」=筆者撮影

目次

胴体から6本の細い足が生えている「微生物こけし」は、なんともシュールな見た目。背中のチャックに足が届かず、「ちょっと誰か……」と助けを求める脱皮中のセミを見ると、切なくて、手を貸したくなります。

思わず笑ってしまう「脱力系」作品を作っているのは、アートユニット「現代美術二等兵」の2人。「お菓子の世界に駄菓子があるように、誰もが楽しめる『駄美術』があっていい」と作り続け、今年で活動30周年を迎えました。

どんな思いで作ってきたのか、聞きました。

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「こんなの美術じゃない」批判され……

「現代美術二等兵」は、籠谷シェーンさん(54)とふじわらかつひとさん(54)の2人からなるアートユニット。2人とも大阪出身で、京都市立芸術大で彫刻を学んだ同級生です。

大学時代から現代美術に堅苦しさを感じ、作家や作品を格付けするような権威主義的風潮に反発を覚えたといいます。

「せっかく作品を見に来てもらうなら、せめておもしろいと思ってほしい」(ふじわらさん)と、卒業1年後の1992年から作品を発表してきました。

過去には「こんなの美術じゃない」と批判されたことも。でも、「駄美術と名付け、二等兵と名乗るようになってからは気にしなくなりました」(籠谷さん)。

現代美術二等兵の作品「ちょっと誰か…」
現代美術二等兵の作品「ちょっと誰か…」 出典: 筆者撮影

「常識破り」な発想のユニークさ、ダジャレも

籠谷さんは印刷会社のデザイン担当。ふじわらさんはフィギュアの原型をつくる仕事と、普段は別々の仕事をしながら、創作しています。それぞれが作品を作っては持ち寄って発表します。

こけしの「常識」をさまざまに打ち破る、発想のおもしろさが光る作品。70年代のヒット曲のタイトルと豆腐の種類をかけて、ハンカチに豆腐の刺繡をした「木綿のハンカチーフ」「絹ごしのハンカチーフ」のようなダジャレ作品。

ときにはブラックユーモアや風刺も交え、展覧会やホームページ(http://www.g-b-2.net/gb2/)で発表してきました。
「手羽先天使」
「手羽先天使」 出典: 現代美術二等兵提供

世の中や技術は進歩したけれど

この30年、技術の発達で、制作や発表を取り巻く環境は大きく変わりました。素材や新しい加工技術の情報は簡単に手に入るようになりました。かつてはギャラリー展示の案内はがきを手書きで出していましたが、いまはSNSに作品画像をアップすれば、あっという間に拡散されます。

時代は変わりましたが、「気持ちも作ってるものも、変わってないです」と2人は語ります。

「作品を見て『そんなアホな』とつっこんだり、単純に笑ったり、一緒におもしろがってくれたら」(ふじわらさん)。

「世の中や技術は進化してるけど、僕らは進化してへんよな(笑)。しようとしないのかな。僕らのやってることは毒にも薬にもならない。イノベーティブでもないし、利益も出さない。真面目に考えなあかんこともあるでしょうけど、不真面目でもいい分野やジャンルもあるんだ、と見た人に思ってもらえたらいいかなって思います」(籠谷さん)

現代美術二等兵のふじわらかつひこさん(左)と籠谷シェーンさん(右)
現代美術二等兵のふじわらかつひこさん(左)と籠谷シェーンさん(右) 出典: 筆者撮影

現代美術二等兵が出展しているグループ展「愛の秘密工作室~東京編~」が、東京・白金台の東京妙案ギャラリー(http://www.tokyomyoangallery.com/)で開かれています。11月13日まで。

12月には、京都で30周年記念の個展を開く予定だそうです。

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