連載
#21 特別じゃない日
お父さんのビールにあこがれて… ペットボトルを振り始めた男の子
「特別じゃない日」をテーマにした単行本が発売された漫画家・稲空穂さん。ツイッターで発表して注目を集めた漫画「いつか自分も」に込めた思いを聞きました。
お父さんが飲んでいるビールがうらやましい男の子。
せがんでも当然、飲ませてもらえず、むくれてしまいます。
そこで男の子は、オレンジジュースが入ったペットボトルをジャカジャカと激しく振り始めます。
たっぷり泡立たせてビール気分を味わい、「いつか自分も」と思うのでした。
この「ビールに憧れる」という経験はかなり多くの方が通った道だと思っています。
私の子どもの頃に持っていた水筒は、ふたがコップになっていて、そこに麦茶を注いで飲むタイプでした。
遠足の時などリュックの中で揺られた水筒の麦茶を注ぐ時は、「ビールはうまいなあ!」と心の中でひとり悦に入っておりました。
今は好きなだけビールを飲めるようになりましたが、あの水筒の中のビール(仮)もとても美味しかったです。
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〈稲空穂=いな・そらほ〉 静岡県出身・在住の漫画家。会社員を経て2017年に「おとぎ話バトルロワイヤル」(KADOKAWA)でデビューし、「特別じゃない日」で日常をテーマにした作品に挑戦中。老夫婦や女子高校生、主婦、バイトの青年……それぞれの小さな幸せがつながっていく物語を描いていて、実業之日本社から第1集が書籍化され、7月に第2集「特別じゃない日 猫とご近所さん」が発売された。Twitterアカウントは@ina_nanana
withnewsでは原則隔週水曜日に、稲さんの漫画とともに作品に込めたメッセージについてのコラムを配信しています。
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