連載
#100 コミチ漫画コラボ
「バレないと思ってもバレる」中2の春、病院で気付いた〝やらかし〟
友達とネタにもできなかった話を、時を経てマンガにしました
学生時代は、ときに理由を説明できない行動をとってしまうものかもしれません。ある女性が中学生のころ、風邪を引いて学校を休んだときのやらかしをマンガにしました。そのエピソードは、いま思えば人生の教訓になっています。
エッセイマンガ家のカゲワサビさん(27)が、中学2年生の春、風邪を引いて学校を休んだ日のこと。37度台の熱はありましたが、ただ寝ているのはつまらないと、ある行動に出ました。
それは、腹踊りのごとく「お腹に顔を描くこと」です。
もともと絵を描くことが好きで、小学生のころから漫画家を目指し毎日ノートにマンガを描いていたカゲワサビさん。
テーブルの上の赤いペンが目に入り、とっさにお腹に絵を描こうと思いつきました。
近くにノートがなかったからなのか、ただ楽しさを追い求めていたのか。「『中二病』ではありませんが、当時は変なことをしてしまう時期だったのかも」と振り返ります。
しかし、その日は午後から病院へ行く予定でした。カゲワサビさんは「病院の診察でお腹を見せる必要があること」をすっかり忘れていました。
病院に到着したカゲワサビさんは、医師に聴診器を当てるため「お腹見せて」と言われてハッとしました。
「お腹、必須ですか…?」とためらいながらも上着をあげると、そこには大きく描かれた顔が。
医師にはしっかり見えていたはずです。しかし、無反応で何もなかったかのように粛々と診察が続けられました。
「お腹の絵に無反応…!? 逆になんかすごく恥ずかしい」
カゲワサビさんはそう心の中で思いながら、気まずくて医師の顔を直視できませんでした。
「せめて何か言ってくれて、笑いになることがあれば救われたかなと思いますが、無反応は逆にきつかったです(笑)」
お腹に絵を描いたときは、今までにない体験で「新しいことをやった!」と楽しさがありました。
お腹をのぞき込んで描きましたが、完成した絵を鏡で見ても、「左右対称に描けたし、腹踊りみたいでおもしろい」と満足していました。なぜ腹踊りのようなイラストにしたのかは、「なぞ」です。
病院から帰宅後、いつもより早い時間帯におふろに入って絵を洗い流しました。ペンは水性で、「書いても落ちる」という認識はありましたが、その後1日、2日ほどはうっすら残っていたといいます。
お腹に絵を描いたのは、あのときが最初で最後です。「もう二度とお腹に顔を描いて診察に行かない」と誓ったとともに、人生の教訓としても心に刻んでいます。
「バレないだろうと変なことをするのはやめよう、バレないと思ってもバレる危険がある、と学びました」
友達との話題にもしていませんでしたが、あれから十数年、時間が癒やしてくれ、マンガにしました。
「インパクトの強いエピソードですが、思い切って描きました。『うわーこれはやらかしちゃったなw』『なんで病院行くのに書いちゃったんだw』と、楽しんで読んでもらえると幸いです」
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