連載
#20 特別じゃない日
試食コーナーのいつもの店員さん 女の子が浮かない顔をしてた理由は
「特別じゃない日」をテーマにした単行本が発売された漫画家・稲空穂さん。ツイッターで発表して注目を集めた漫画「一緒に食べよう」に込めた思いを聞きました。
スーパーの試食コーナーが好きなお母さんと女の子。
同じ店員さんが日替わりで、ステーキ、ウィンナー、ドーナツと提供していました。
2人はドーナツを買いましたが、女の子はどこか浮かない顔。
次の日、女の子は買ったドーナツを可愛くラッピングして、試食コーナーの店員さんに手渡し、こう言いました。
「一緒に食べよう!」
子どもの頃から試食コーナーが大好きでした。
じゅうじゅうと音を立てるホットプレート、小さな容器に入った一口サイズの食べ物たち。
じいっと見ていると「どうぞ」と笑顔で声をかけてくれる店員さん。
ぱくりと食べるとたまらなく美味しくて、親に「買ってほしい」とねだりました。
最近は感染症対策からか、スーパーで試食コーナーを見ることがなくなってしまいとても寂しいです。
またあの美味しそうなにおいが店内に広がる日を楽しみに待っています。
◇
〈稲空穂=いな・そらほ〉 静岡県出身・在住の漫画家。会社員を経て2017年に「おとぎ話バトルロワイヤル」(KADOKAWA)でデビューし、「特別じゃない日」で日常をテーマにした作品に挑戦中。老夫婦や女子高校生、主婦、バイトの青年……それぞれの小さな幸せがつながっていく物語を描いていて、実業之日本社から第1集が書籍化され、7月に第2集「特別じゃない日 猫とご近所さん」が発売された。Twitterアカウントは@ina_nanana
withnewsでは原則隔週水曜日に、稲さんの漫画とともに作品に込めたメッセージについてのコラムを配信しています。
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