マンガ
実家に「人ならざるもの」が?秀逸すぎる母の対応に目からうろこ
「気楽な受け止め方の参考に」
9月を迎えたものの、まだまだ残暑が厳しい昨今。肝を冷やしてくれそうな漫画が、ツイッターユーザーの注目を集めています。ある女性が、かつて実家で経験したという、不可思議な出来事がテーマです。背筋が凍る物語……かと思いきや、予想外の結末が話題を呼んでいます。体験談の詳細について、作者に聞きました。(withnews編集部・神戸郁人)
「夏の終わりに私が経験した『人ならざるもの』との思い出をどうぞ」
8月24日、そんな文言と共に、4ページの漫画がツイートされました。主人公は小学2年の女の子。「あんた いまなにしてた?」。突然、ものすごい形相で姉に問われ、たじろぎます。
自室のいすに座り、漫画を読んでいたと伝えると「そんなはずない……」。聞けば、隣の部屋に、自分と同じ姿の人物がたたずんでいたというのです。
姉妹は戦慄(せんりつ)しつつ、事の次第を母に話します。すると意外な提案を持ちかけてきました。
「じゃあ うちは4人家族だから 『第5の人』って名前にしよっか!」
このネーミングによって、「怖い」存在が、「ちょっと楽しい」隣人に。不意に誰かから声をかけられたと思ったときなどは、「ま~た第5の人か~ しょうがないやっちゃな~」と、受け流せるようになりました。
「おばあちゃん家で似た体験をしたことを思い出し、ほっこりした」「何かあってもお母さんのように対処したい」「こわ……くないw」。読者からは、好反応が寄せられています。
作品を手がけたのは、東京都在住で30代の漫画家・みちこさん(@michiko_fever)です。愛猫との暮らしについて描いた『完全室内飼いのねこにノミがついた話』などの著作を、ネット上で公開しています。
みちこさんいわく、小学生の頃から10年以上、漫画で描いたような経験を重ねました。その場にいないはずの親戚や知人の声で、名前を呼ばれた気がするなど、奇妙な出来事が続いたのだそうです。
「起こる頻度は1、2カ月に一度くらいでしょうか。忘れた頃にやってくるという感じだった気がします。自分のドッペルゲンガー的な存在が現れたことも、インパクトがありましたね。姉妹ですぐに情報共有するので、割と意識したと思います」
母が「第5の人」という名前をつけてからは、家族の中で落としどころを見つけたような感覚が持てたとのこと。「怖さ40%・受け止め60%」(みちこさん)の割合で、不思議に思える体験を受け入れられたといいます。
夏の終わりに私が経験した「人ならざるもの」との思い出をどうぞ。(後日談あり)#漫画が読めるハッシュタグ pic.twitter.com/u8EqxkXM2p
— みちこ@まんが描くよ (@michiko_fever) August 24, 2022
大人になって一人暮らしを始め、久々に帰省したみちこさん。誰もいないはずの2階で、物が落ちるような異音が聞こえ、その正体を確かめに行く……という筋書きです。
「確か20代前半頃のことだったと思います。第5の人より、人間の方が怖いと考えるようになっていたので、恐怖心は子供の頃よりなくなっていました」
みちこさんによると、この一件以降、同じようなことは起きていません。理由は分からないものの、一連のエピソードは、今なお家族の中で語りぐさになっているそうです。
「漫画に対して、読者の方々から、私と似たような体験談がたくさん寄せられました。皆さん、個性ある呼び方をされていて面白かったです。色んなケースがあると思うので、一概には言えませんが、気楽な受け止め方の参考になれば幸いです」
客観的に意味づけづらい経験に名前を付け、うまく付き合う。そんな知恵の尊さを実感させてくれる漫画でした。
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