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連載

#43 どうぶつ同好会

コバンザメの集団が、きれいに整列!?閉館間近の姿がまるで「干物」

〝サメ〟ですが〝サメ〟ではないのです

話題になったコバンザメたち
話題になったコバンザメたち 出典: 夢海さん(@YUMEUMI27)のツイッターより

目次

サメやエイ、ウミガメなど大きな生き物にくっつき、外敵から身を守りつつ、食べこぼしを狙って生きるコバンザメ。SNSで7匹のコバンザメが並んでいる姿が話題になりました。くっついている先はーー。

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「仕事終わりのぼくら」

話題になったのは、関東地方に住む夢海さん(23)が投稿したツイートです。

閉館間際にみんなで揃って同じところで眠るコバンザメ好き
夢海さん(@YUMEUMI27)のツイートより

添えられた写真に写っているのは、同じ壁できれいに並ぶ7匹のコバンザメ。閉館時間に近い、午後6時半ごろに撮られた1枚です。

ツイートには「こんなことあるんですね!」「仕事終わりのぼくら」「ヒモノかと思いました」「整理整頓された工具みたい」「絵に見える」といったコメントが寄せられ、いいねは26万を超えています。

夢海さんによると、撮影したのは大阪市港区にある水族館「海遊館」のコバンザメです。

撮影した日、じっくり時間をかけて館内を2周したところ、1周目見たときは泳ぎ回っていたコバンザメが、2周目にはそろって壁にくっついていたそうです。

「海底で休んでいる姿などは見たことがありますが、ここまで集まっているところは見たことがありません」と夢海さん。

反響の大きさに、「大変驚いている半面、おもしろくかわいらしい姿を多くの方に知っていただけるきっかけになりうれしく思います」と話します。

「仕事終わりのぼくら」というコメントには、共感して思わず笑ってしまったそうです。

夢海さんがツイートした写真
夢海さんがツイートした写真 出典:夢海さん(@YUMEUMI27)のツイッターより

実は家の中にくっつけたことが…

水産業に携わっている夢海さんは、関東を中心に水族館8カ所の「年間パスポート」を持ち、週に1回以上水族館へ行ったり、ほぼ毎日魚介類で料理を作ってブログに載せたり、魚の骨で標本を作ったりするほどの魚好きです。

実は昨年、鹿児島県坊ノ岬でとれた約63センチ、1068グラムほどのコバンザメを魚屋で買い、部屋のドアやまな板などにくっつけてみたそうです。

「以前より小判の強度に興味があり、材質の異なるものにはろうと考えていました。『魚臭くなる』と家族に言われてしまいましたが(笑)」

一通り楽しんだ後は自らさばき、お刺し身や塩焼き、お寿司、しゃぶしゃぶなどにして味わいました。「脂が乗っていて非常においしい魚でした」と振り返ります。

「コバンザメは自分で泳がず、おこぼれをもらってばかりの悪い印象がある方もいらっしゃるかもしれませんが、今日まで生き残ってこられた唯一無二の生態を持つすごい魚ということを多くの方に知ってもらいたいです」

まな板にくっつけて持ち上げてみたことも
まな板にくっつけて持ち上げてみたことも 出典: 夢海さん提供

海遊館に聞きました

海遊館でコバンザメの飼育担当をしている喜屋武樹(きやたけ・いつき)さんに、生態について聞きました。

ーーコバンザメとはどのような生き物なのでしょうか?

頭の背中側に吸盤があり、サメ、エイ、ウミガメ、クジラなど、大きな生物にくっついて生活しています。吸盤は、背びれが変化してできたと考えられています。

吸盤の形が小判に似ていることが名前の由来ですが、「サメ」とついていてもサメの仲間ではありません。マダイやスズキ、カワハギなどと同じ硬骨(こうこつ)魚類です。ちなみに、サメはエイなどと同じ軟骨魚類に分けられます。

くっつくメリットは、外敵に襲われにくいこと、エサの食べ残しなどおこぼれをもらうことなどです。大きな生き物のおしりの穴の中に入るコバンザメや、エラの中、口の中にいることもあるようです。

ただ、ずっとくっついているわけではなく、単独で暮らしていることもあります。

どんなタイミングでくっついて、いつ離れるかは明らかになっておらず、謎が多い生き物です。

ーー大きさはどのくらいですか?

大きいものでは体長1メートルくらいになります。その場合、小判の大きさは10センチくらいのイメージです。

海遊館にいるコバンザメは、40~80センチほどになります。
正面から見たコバンザメ
正面から見たコバンザメ 出典: 海遊館提供
ーー海遊館ではいつも写真のように寝ているのですか?

難しいのですが、寝ているかどうかははっきりと言えません。コバンザメは日中の明るい間でも、ツイートの写真の場所、「クック海峡」水槽の角に集まっていることがあります。エサの時間以外は集まっているかもしれません。

「クック海峡」水槽にはところどころ水流が出ている場所がありますが、コバンザメが落ち着いている場所は流れがゆるやかな場所です。

壁の上のほうにはアクリルガラスがありますが、そこにはくっつかず壁にくっついています。アクリルガラスにくっついているときは吸盤を見ることができます。

壁にくっつくと、必然的に写真のように垂直になります。野生では、コバンザメの集団が海底に腹ばいで集まっていたことがあるようです。

ーーコバンザメを鑑賞するとき、注目するポイントはありますか?

いろんな水族館で展示されているので、目をこらして見ると魚についている姿を見られるかもしれません。

海遊館では、「クック海峡」水槽に7匹、「太平洋」水槽に1匹コバンザメがいます。「クック海峡」水槽ではアカウミガメ、「太平洋」水槽ではジンベエザメにくっついている姿が時々見られます。

個人的にはくっつく姿だけではなく、大きな魚と並んで泳いでいるところに興味があります。大きな魚にくっつかず少し離れていて、ひれを動かしていないときでも進んでいるのですが、大きな魚が作る水流にうまく乗ってついていけているのだろうと考えられます。

体力を温存して移動する、そのような生き方で繁栄していったのではないでしょうか。

また、吸盤に関しては研究対象になっています。肌がざらざらしているサメにもしっかりくっつくことができる吸盤は、人間界にも還元できるような特徴を持っているのでおもしろいです。


夢海さんが副管理人を務めるブログ:https://nullowlife.com/
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