ゴージャスな花束の正体は、実は6分の1の量…。「一輪でも、お得な感じにしたかった」と、プロダクトデザイナーが生み出したフラワーベース(花瓶)が話題を呼んでいます。
寂しい部屋…でも花束には気恥ずかしさも
特徴的なフラワーベースは昨秋、「部屋を少しでも明るくしたい」とプロダクトデザイナーの高橋良爾さんが考え出しました。2枚の鏡を使って反射させることで、本来の6倍にみせることができるというものです。
きっかけはコロナ禍。都内で一人暮らしをする高橋さんは、在宅勤務が続いたり、これまでのように気軽に外出もできなくなったりする中で、「部屋が寂しい」と感じることが増えていました。
部屋に花を飾ることを思いつきましたが、「ちゃんとした花瓶も持っていないし、そんなにお金もかけたくない」という思いがよぎったといいます。また、花束を自宅に持ち帰る気恥ずかしさのようなものも、個人的には感じていたそう。
そんなとき、鏡を使って、花の数を多く見せることはできないだろうかと思いついたのが、今回の花瓶です。
7月、高橋さんの友人、明円卓さんがツイッターでこの花瓶を紹介すると、1万2千件以上の「いいね」がつき、「素敵」「すごいアイデア」などの反響が寄せられました。
《友人が作った花瓶をオフィスに持ってきてくれたんですが、これ初めて見た時、天才だと思いました。数本のお花が花束に変わる。1輪させば6輪に(明円卓さんのツイッターアカウントより)》
友人が作った花瓶をオフィスに持ってきてくれたんですが、これ初めて見た時、天才だと思いました。数本のお花が花束に変わる。1輪させば6輪に。「Non Flower loss Base」と言う名前の花瓶だそうです。 pic.twitter.com/tXrEWrRppd
— 明円卓(ミョウエンスグル) (@sugurumyoen) July 17, 2022
「物足りなさ」感じていたけど、反響受け心境の変化
これまでもプロダクトデザイナーとして活躍してきた高橋さん。
今年6月には、イタリア・ミラノで行われる国際家具見本市「ミラノサローネ」にも出品。
これまで作ってきた決済ブレスレット・リングなどと並べて、フラワーベースも展示しましたが、バイヤーやインテリアショップ、ミラノ在住のインフルエンサーなどから反応があり、いずれも「きれい」だったり「かわいい」だったりと、見た目の美しさが好評だったといいます。
これまでは決済リングを始めとする「テック系」でのデザインを得意としていた高橋さんは、フラワーベースについては「イノベーションになっていないので物足りない」と自己評価していたそうです。
しかし反響を受け、「みんなが喜んでくれているということは、これでもいいんだ」という新たな境地に至りました。

「その時代にしか生まれないものを」
「その時代にしか生まれないもの」という点で今回の作品は、フラワーベースの器の部分を3Dプリンターで作っています。「(器の外側の縁から中心に向かう)曲線の部分などの調整は、3Dプリンターがない時代だったら、急に陶器で作ることは難しかったかもしれない」と高橋さん。
また、コロナ禍で生まれた今回の作品は「2年間閉じ込められた人間だからこそ生み出せたもの」と話します。
21日には、商品化に向けてクラウドファンディングを開始しました。
クラウドファンディングを開始してから寄せられた声の中には、「高齢者施設に置きたいが、万が一落として締まったときに割れないように、鏡の部分はステンレスミラーにしてほしい」といった意見も届いたといいます。
高橋さんはこの作品について、「自分が普段から見に行くようなインテリアショップに置かれるようになるのが理想です」と話しています。
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「Non Flower-loss Vase」のクラウドファンディングページはこちらhttps://www.makuake.com/project/non_flower-loss_vase/