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連載

#57 「きょうも回してる?」

現金払いの「未来のガシャポン」…開発費は1億円 苦境の業界に光

自分の手で操作して、キャラクターを生み出して、商品が出てくる――。

「GASHAPON ODYSSEY(ガシャポンオデッセイ)」
「GASHAPON ODYSSEY(ガシャポンオデッセイ)」

目次

急激な円安の影響は、低価格で物作りを続けるガチャガチャ業界にも――。ガチャガチャ評論家のおまつさんは「現在の価格が何とか継続できるかどうかの瀬戸際」と表現します。そんな中、明るい話題も。ガチャガチャ業界参入45周年を記念した大手メーカーのプロジェクトについて、おまつさんが取材しました。

「カッコいい年のとり方」を考えたら、見えにくいモノが見えてきた(PR)
ガチャガチャ評論家おまつの「きょうも回してる?」

円安の影響受け、ガチャガチャ専業メーカー苦境

子どもが初めて自分のおこづかいで買えるおもちゃの一つがガチャガチャです。

そのガチャガチャ業界は今、最近の円安の影響もあり、厳しい環境に置かれています。日に日に、円安のニュースが多くなってきましたが、4月28日時点で、約20年ぶりの円安水準となる1ドルが130円台をつけました。

商品を作る原材料の高騰をはじめ、物流費やユーティリティーコストの上昇により、ものづくりの現場は苦境に立たされており、現在の価格が何とか継続できるかどうかの瀬戸際です。

さらに、物流の混乱や遅延により、商品が発売時期通りにお店に並ぶことが難しくなってきています。

商品の発売時期がずれ込んだ結果、中小零細企業のメーカーは、売上が立たなくなります。ガチャガチャだけを専業にしているメーカーにとって、自己資本が潤沢であれば問題ないのですが、この円安が続けば、資金ショートをしてしまうメーカーが出てくる可能性があるくらい、厳しい状況になっています。

そして何よりも、こだわりを持って作った商品がお客様に届けられないかもしれない…という、メーカーのじくじたる想いが日々の取材の中で、ひしひしと伝わってきます。


「商品が来ない…」悲痛なツイート

ニッチな分野の商品作りでクオリティが高いメーカーのトイズキャビンも、ツイッターの公式アカウントで物流遅延の影響による苦い思いを吐露しています。

《商品が来ない・・・GW間に合わないかもしれない・・・待ってくれてるお客様に申し訳無い・・・売上も当然無い・・・》

参入45周年、巨大なガシャポン1億円

この厳しい環境に置かれているガチャガチャ業界で明るい話題もあります。
2022年はバンダイが業界に参入して45年。 ガシャポン45周年プロジェクトとして、様々なイベントを開催しています。

約400億円市場と言われるガチャガチャ業界で、市場の約6割はバンダイが占めており、バンダイは過去から現在までずっと、ガチャガチャ業界を牽引しています。

45周年記念の大きな目玉は、「GASHAPON ODYSSEY(ガシャポンオデッセイ、以下、オデッセイ)」です。オデッセイは、未来のガシャポンの筐体のコンセプトモデルとして開発した、世界初の立体映像を搭載した筐体です。

サイズは高さ2.1メートル、幅2メートル、奥行き2.3メートルの巨大な筐体です。

また、正面から側面につながる約3.9平方メートルの大型LEDディスプレイは135枚のLEDパネルで構成されています。
そのLEDパネルには映像が映し出され、自分の操作によって、まるで筐体の中でガシャポンの中身が作られ、その完成形が実際に手元に出てくるかのような体験ができます。

この筐体は世界で2台だけ。4月28日から、「ガシャポンのデパート」の池袋総本店とキャナルシティ博多店で「回す」体験が可能となっています。

そして、注目すべきはその開発費。なんと1億円以上です。
業界でトップを走り続けているバンダイだからこそ、開発可能にした筐体だと言えます。

出典: バンダイのYouTubeチャンネル

オデッセイの開発を担当したバンダイのベンダー事業部事業開発チームマネージャーの近藤創さんは、「構想は2018年から立ち上がり、本格的な開発は昨年3月から始まりました。どのようにしたら立体感を出すことができるのかが大変でした。ガシャポンオデッセイは、コンセプトである『自分の手で操作して、キャラクターを生み出して、商品が出てくる』という体験ができます」と話してくれました。

オデッセイの開発を担当したバンダイのベンダー事業部事業開発チームマネージャーの近藤創さん
オデッセイの開発を担当したバンダイのベンダー事業部事業開発チームマネージャーの近藤創さん

「未来」イメージなのに、現金

4月28日から始まった一般体験の前に、このオデッセイを体験しましたが、大きな円形のハンドルで舵を切るように回転させることで、自分の手で映像を操っている感覚は今まで味わったことがない不思議な経験でした。

そして、自分が商品を誕生させているかのように見せてくれる立体映像を通して、ものづくりしている「ワクワク感」を、コロナ禍で実体験が少なくなっている今だからこそ、子どもに味わってほしいと思いました。大人の私でさえ、この体験を味わってしまうと、もう1回体験したくなり、再度、一般体験をしにいくほどオデッセイは魅力ある筐体です。

オデッセイから出てくる商品は「MATERIALS of the EARTH(マテリアルズ・オブ・ジ・アース)」というオリジナルキャラクターで火・水・空・風・地がモチーフになった5種類のフィギュア。1回1000円です。ただ、オデッセイは未来の筐体をイメージしているので電子決済と思いきや、決済方法は、コイン投入口に500円硬貨2枚入れるというアナログ感も残している点も、なかなか良いのではないかと感じました。

「MATERIALS of the EARTH(マテリアルズ・オブ・ジ・アース)」
「MATERIALS of the EARTH(マテリアルズ・オブ・ジ・アース)」

歴史を変えた筐体が1/12スケールで

また、ガシャポン45周年の他のプロジェクトには、ガシャポンの筐体「1/12ガシャポンステーション」が4月29日からガシャポンのデパート池袋総本店ほか全国9店舗で先行発売しています。5月中旬より順次全国販売です。

ガシャポンステーションは最新型ガシャポンの筐体であり、その筐体を1/12スケールの高さ約6cmで再現しました。本物同様にボックスが開き、カプセルを入れ、ハンドルを回すことができ、実際に付属のカプセルもでてきます。

特徴は何といっても、バンダイが1977年に市場に参入した当時の初代ガシャポン自販機「BVM100」がラインナップにある点。

BVM100はガチャガチャの歴史を変えた筐体であり、当時20円が主流だった市場に100円機で参入した筐体だからです。

「1/12ガシャポンステーション」
「1/12ガシャポンステーション」


ガシャポンのデパート池袋総本店には、BVM100も展示してあり、大人も子どもの頃の思い出が蘇るのではないでしょうか。

プレゼントキャンペーンとして、この商品を3個購入した方に、1977年から現在までのガシャポン自販機の進化を約5cmの小さな本にまとめた「ガシャポン自販機45周年の歩み豆本」を数量限定でプレゼントしており、歴史を知る上では貴重な1冊になっています。

ガチャガチャ業界はいま、厳しい状況に直面しています。
ですが、オデッセイをはじめ、バンダイの45周年プロジェクトには、業界をリードしてきた会社の「新たな挑戦で市場を支える」という強い想い が感じられ、この状況をなんとかできるかもしれない希望が見えました。

     ◇
1/12ガシャポンステーションは、「1/12ガシャポンステーション(白)」、「1/12ガシャポンステーション(オレンジ)」、「1/12ガシャポンステーション(黒)」、「1/12ガシャポンステーション(青)」、「1/12ガシャポンステーション(黄)」、初代ガシャポン自販機「1/12 BVM100」の6種類。1回300円。

※ガシャポンはバンダイの登録商標です。

ガチャガチャ評論家おまつの「きょうも回してる?」
この連載は、20年以上業界を取材しトレンドをチェックしているおまつさんが注目するガチャガチャを紹介していきます。

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ガチャガチャ評論家・おまつ(@gashaponmani
ガチャガチャ業界や商品などをSNSで発信中。著書に「ガチャポンのアイディアノートーなんでこれつくったの?ー」(オークラ出版)。テレビやラジオなどのメディアへの出演や素材提供も多数ある。
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