【大賞】子どもに“初めて本当に負けた”ときの話(水谷アス著)
負けず嫌いだった娘が大きくなり、「そろそろ強い母を見せてやろうか」と本気で神経衰弱に挑んだら――。
ゲームや遊びで負けると悔しくて泣いていた自分の子どもの頃を思い出して、「親や姉もこんな気持ちだったのかなぁ」とじーんとしながら読みました。
あたたかい絵柄と色合いにもほっこり。いつかハナちゃんも、お母さんの秘めた思いに気づくときがあるんじゃないかな……と思わず想像をめぐらせました。(選評:水野梓)
【入賞】棒(雨吉著)
よしよしよしよし、その「棒」!それを待っていたのよ!! このお話、経験したことのある人なら誰もが共感できるのではないでしょうか? つい激しくうなずきたくなるオチで、スカッとしました。
ビシッと他者に切り込む「理想の自分」ではなく、身近な「スカッと」を探した雨吉さん。それを端的にテンポ良く描いています。多くを語らずとも1枚で伝わる画力にも魅せられました。
初投稿ということですが、最初からこの切れ味です。次回以降も楽しみにしています!(選評:河原夏季)
【入賞】そんなにスカッとしたかったっけ?(ヘケメデ著)
SNSのタイムライン上に、「復讐」がテーマの漫画を宣伝するアカウントが随分増えたな、と感じます。
苦手なためブロックするのですが、つい試し読みしてしまうことも。結果、当てどころのない真っ黒な感情が血管を巡るようで、疲れてしまうのです。
怒りの解放は、短絡的なエンタメだと思います。ストレスを手軽に引き出して、放り投げられるけれど、効果は一瞬。その源は残ったままです。
翻って、日常を大切に過ごす、今回の漫画の主人公たちは対照的です。心のわだかまりは、現実の暮らしを紡ぐ中で、少しずつ解消していくしかない。そう感じさせてくれます。
嫌な記憶は、時々思い出すくらいでいい。そして、あったかい麦茶と共に、いつのまにか飲み干してしまえたら最高だな――。目を通し終えて、そんなことを思いました。(選評:神戸郁人)
今回ご紹介できなかった応募作品は、コミチのサイト(https://comici.jp/stories/fe7a7a4bbdbc4)でご覧ください。ご応募いただき、ありがとうございました!
withnewsは2018年10月から、マンガのSNSを運営する「コミチ」とコラボ企画を始めました。お題に沿って、身近な出来事や思い出をストーリーにした作品を募集しています。
次回のお題は「#わたしのハッとした話」です。締め切りは5月29日です。