近隣住民も読めない“時計”
このデザインが施されているのは、東京都江東区にある有明清掃工場の、高さ140mの煙突です。その形から、ネットには「何やら時計のようなものがある」「この時計はどう見ればいいのか」など、近隣住民からの書き込みが。そこで、都の清掃工場を運営する東京二十三区清掃一部事務組合を取材しました。


一方、同工場の煙突は、1995年の竣工からこのデザイン。約30年、有明の地で時を刻んでいたことになります。竣工時、同組合は設立されておらず、当時清掃行政を担当していた東京都清掃局の資料によれば「外部に基本デザインを依頼した」旨の記載があるそうですが、詳細は不明ということでした。
さて、本題の読み方はどうでしょうか。同組合によれば、丸い(円の)部分が一般的なアナログ時計の短針に、縦の(線の)部分が長針に相当しているということです。
丸い部分は、0時から1時間ごとに色がついていきます。色のついた部分がなければ、0時ということです。例えば、色が4つついていれば、午前4時または午後4時となります。
縦の部分は、下から5分ごとに色がついていきます。色のついた部分がなければ、「0分00秒から4分59秒」までの間ということです。例えば、色が5つついていれば、25分00秒から29分59秒までの間ということになります。
つまり、冒頭の写真の時間は「8時25分00秒から29分59秒までの間」ということになります。
有明には96年に東京国際展示場(東京ビッグサイト)が開業、お台場には97年にフジテレビ本社が移転するなど、同時期に建設されたさまざまな建物が、同工場の巨大煙突とともにベイエリアの景観を形作っています。
臨海副都心開発の名残りとして、見かけたときにはぜひ、スマートフォンに表示される時間に照らして、“謎解き”の答え合わせをしてみるのはいかがでしょうか。
【連載】#ふしぎなたてもの
何の気なしに通り過ぎてしまう風景の中にある #ふしぎなたてもの 。フカボリしてみると、そこには好奇心をくすぐる由縁が隠れていることも。よく見ると「これなんだ?」と感じる建物たちを紹介します。