連載
ロシアは「何が起きるかわからない国」、「ソ連崩壊」今回も起きる?
小さな兆し
日々、事態が刻々と変化するウクライナ情勢。10代から「そもそも」の疑問を募ると、実は見落としていたかもしれない根本的な疑問が集まりました。「『ソ連崩壊』今回も?」「経済制裁に意味ある?」。元モスクワ支局長の、駒木明義論説委員が答えます。
なかなか難しいとは思います。ですが、ロシアも旧ソ連もとんでもないことが起きる国です。ロシア革命もソ連崩壊も誰も起きると思っていなかったことですので、今回同様のことが起きるかどうか、こればっかりはわかりません。
いまはプーチン大統領にみんなついていっていますが、プーチン大統領に近い人や国民が、いつ「もうついていけない」となるかわかりません。いろんなシナリオが考えられますが、デモが起きて収拾がつかなくなるとか、力ずくでプーチン大統領を止めようとする人が現れるとか、そういう兆しはいまのところありません。
一方で、小さな予兆はあります。
クリミア半島併合の際は、国をあげて喜んでいましたが、最近ではロシア国営テレビの番組中に、戦争反対を訴える編集者が映り込みました。
小さいけれど、兆しがまったくないわけではありません。
ロシアの通貨であるルーブルがとても安くなっていたり、クレジットカードが使えなくなっていたりします。効果が無いということはまったくありません。
中でもルーブル安は大きいです。物価が高くなり、国民生活は苦しくなっています。
ただ、ここには抜け道があります。
ロシアは石油やガスの産地で、それらを買う国はまだまだあり、日銭を稼ぐことはできますし、外国からものを買おうと思えば、中国が売ってくれます。
また、今後さらなる制裁を受けたとしても、品物によってはロシア国内で自分で作ってしまうこともできます。
ですが、いまのところは経済制裁は効いてはいます。
ただ、この制裁が先の質問にあったロシア革命などのように政権を転覆させるほどの国民の不満にまでつながるかというと、わかりません。
というのも、ソ連が崩壊したとき、国民は苦労が多かったからです。欧米のようなきらびやかな生活ができるはずだと夢を見て国を壊したら、もっと苦しくなった。このときの悪夢のような経済的な苦労を覚えている国民もいるので、国を壊すことへの警戒感や恐れはまだ根強くあると思います。
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