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ウクライナ情勢、正確な情報はどこに…「両方うそつき」ではない答え
「大多数の支持」=「信頼」?
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「大多数の支持」=「信頼」?
日々、事態が刻々と変化するウクライナ情勢。10代から「そもそも」の疑問を募ると、実は見落としていたかもしれない根本的な疑問が集まりました。「正確な情報を入手するには?」。前モスクワ支局長の、駒木明義論説委員が答えます。
これはなかなか難しい問いです。
なぜ日本の報道機関はウクライナの情報ソースを多く使っているかというと、基本的にはロシアのソースがうそばっかりだからです。もちろん、ウクライナもうそをつきます。例えば、ロシア兵の死者数は、多分実際よりも水増しして発表し、ウクライナ軍ががんばっていることを見せようとしているし、一般市民の犠牲者だって、盛っているところはあると思います。
でも、そもそもロシアが一方的に侵略しているという構図があります。
その構図を踏まえ、さらに一例を挙げて考えます。
ロシアは「ウクライナが核を開発している。だからいまのうちにつぶさないといけない」と言っています。このことについて、他の国の核開発に関するケースを考えてみましょう。
北朝鮮もイランも核開発はしていますが、誰も攻めません。核開発に関しては、国際原子力機関(IAEA)という、原子力がどういう目的で使われているかを監視する国際機関があり、多国間の枠組みで事実を調査して解決策を見つけようとしています。そこにはロシアの専門家も加わっています。
北朝鮮の場合は北朝鮮の核開発問題を解決するための「6者協議」、イランの場合は、国連安保理常任理事国の5カ国にドイツを加えた枠組みで話し合いをしてきました。いずれもロシアが入っている枠組みです。
ですが、ウクライナの場合はそのようなことを一切やらずに、いきなり攻めていきました。
もしロシアがウクライナの核開発を指摘するのであれば、調査のために会議を開くのが筋です。ですが、今回は証拠も示さずいきなり言いがかりをつけて攻撃をしています。これはおかしいでしょとなりますよね。そういうところで信頼性を判断していきます。
一つ一つを見ると、ロシアもウクライナも、うそを言うことはあります。でも、「だから両方うそつきです」ではなくて、全体を見て、どちらに言い分があるかを考えることも大事です。
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