連載
世界中がウクライナを応援、なぜ? 10代の疑問に「柵」の例え
やりたい放題した方が得になる世の中にしないためにも
連載
やりたい放題した方が得になる世の中にしないためにも
日々、事態が刻々と変化するウクライナ情勢。10代から「そもそも」の疑問を募ると、実は見落としていたかもしれない根本的な疑問が集まりました。「ウクライナが正義だと言い切れるのはなぜ?」。前モスクワ支局長の、駒木明義論説委員が答えます。
国を家の敷地に例えるとしましょう。
いまの世界は、家の敷地は柵(国境)で分けられていて、その柵の中にはお互い勝手に入りませんという仕組みになっています。
「隣の家の庭にきれいな花が咲いているからとっちゃえ」とか、「井戸からおいしい水が湧いているからとっちゃえ」とか、そうやって勝手に隣の敷地に入ってしまうと世の中がグチャグチャになってしまいます。
だから怖い番犬(武力)を飼って侵入を防ぐ人もいれば、柵しかない家もあります。ですが、とにかくその柵は越えないという決まりは守りましょう、となっています。
もし誰か一人がそれを勝手に破ると、「破っていいんだ」となり、柵が意味をなさなくなります。そうすると、強い人が弱い人の家をどんどん荒らしてしまうことになります。
このルールは、基本的には第2次世界大戦を反省して作られたもので、「武力で脅して他の国の土地や意思を変えようとしたりするのはダメですよ」ということが1945年に発効した国連憲章に書かれています。
次に、ロシアが今、やっていることについて説明します。
現在のロシアは、その柵を勝手に越えてウクライナを攻めている状況です。
ロシアは色んな理屈を言って、隣の家に入って好き放題し、人も殺しています。これはどんな理屈があっても、いまの世の中では許されません。
「ウクライナがかわいそう」というだけの話ではなく、そもそも、国連憲章に書かれているようなルールを破ってはいけないし、破った人は罰せられないといけないという話です。
やりたい放題した方が得になる世の中にしないためにも、世界はウクライナを応援し、ルールを破る国はいけないことをしていると示さないといけません。
ですから、世界の多くは、ウクライナを応援し、家の例えに戻ると、番犬を貸したりしてロシアを追い出そうとしているわけです。
1/9枚