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お金と仕事

ダンプ松本「私は“パチンコ病”だった」新人時代の壮絶ないじめ

伝えたい「逃げることは負けじゃない」

悪役レスラーとして有名なダンプ松本さん。2003年より現役復帰を果たした
悪役レスラーとして有名なダンプ松本さん。2003年より現役復帰を果たした

目次

1980年にプロレスラーとしてデビューし、タレント活動、引退を経て2003年より現役復帰を果たしたダンプ松本さん。その裏では、先輩からのいじめや世間からの誹謗中傷、長年にわたるパチンコ依存症がありました。その壮絶な体験について、YouTubeたかまつななチャンネルで話を聞きました。

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「100発投げ」よくやられていた

――ダンプさんは、新人時代にいじめにあっていたそうですね。

自分の場合は学校でのいじめではなく、プロレスラーとしての”しごき”。100発投げ(10人の先輩選手の技を10発ずつ立て続けに受けること)などをよくやられていました。

あとは先輩たちの暇つぶしもありました。先輩におもちゃのお金を持たされて「ガソリンスタンドで饅頭を買ってこい」って言われて、ガソリンスタンドの人に「あるわけないだろ!」と怒られるのを笑われる、なんていう流れもよくあった。


――周りの人は助けてくれないのですか?

助けない!助けない!助けない! 下は先輩には逆らえないからね。先輩たちも止める人はいない。

誰かに相談もできなかったけど、同期(55年度組)で文句や悪口を言ってストレス解消することができたのは救われたかな。

いつかリングの上でぶっ飛ばしてやるって思いながら、毎日泣いてましたよ。バスで泣いてると「バスで泣くな」って怒鳴られて、外で泣いたら「外で泣くな」って言われて。それで、トイレに行ったら「トイレで泣くな」って言われた。どこで泣けばいいんだと思って、辛かったですよ。

「お母さんのため」耐え続ける

――よく辞めませんでしたね。

プロレスが好きだからだね。あと、お金持ちになりたかったからかな、うち貧乏だったんで。お母さんが1人で自分たち姉妹2人のために一生懸命働いていたから、お母さんにおいしいものを食べさせてあげたい、洋服を買ってあげたい、って思って。

それに、ジャッキー佐藤さんに憧れていたし、プロレス自体にも魅力を感じてたし、それが全部重なったっていう感じかな。


――入ってみて、どうでした?

ファンの時は夢の世界のように見えていたのね。お給料もいいし、地方遠征で楽しそうだなって。でも、全っ然違ったね。楽しさの”た”の字もないくらい大変だった。

最後まで頑張ろうと思えたのは、とにかくお母さんのためにという一心だった。

ヒール役にぶつけられた誹謗中傷

――ヒール役(悪役)になってから、日本中から誹謗中傷が来たとお聞きしました。何故、ヒールになることを選んだんですか?

ベビーフェイス(ヒールの逆で試合ストーリー上の善玉)って、身長が高くて、すらっと細くて、かわいかったりかっこよかったりしないと人気者にはなれないのね。でも、自分はそうではなかったから、ヒールとして実力で上にあがっていくことを、はじめから選んでいた。


――誹謗中傷はどのようなものがありましたか?

実家に石を投げ入れられたり、泥棒に入られたり、車やバイクを壊されたり……。でも、当時は嫌われることが仕事だと思っていたから、「お前なんか死ね」なんて言われるのは、それだけ自分が頑張った証拠。嫌われれば嫌われるほど嬉しかった。


――ご家族は大変だったのでは。

うん、親はかわいそうだったよね、周りからね、そういうふうに言われてるとね。でも、辞めてほしいと言われたことは全然ない。でも、近所の人が家に「サインください」って来ても、ヒールとして色紙を「ふざけんな!家まで来るな」って投げ飛ばさなくちゃなんないのは、嫌だったみたい。「家に帰ってまでそんなことしなくたっていいじゃない」って。

でも、自分としては「リングを下りたらダンプは優しいんだ」って思われたら困るから、「いつでもどこでもダンプは怖い」って思われるために、人の前に出るときは、常に”ダンプ松本”でいた。かわいそうだと思ったけどね。ヒール役だから、仕方ないことだからね。

「逃げることは負けじゃない」

――最近ではSNSでの誹謗中傷が問題になっています。そういう声からはどうやって身を守ればいいのでしょうか。

見なきゃいいけど、気になっちゃうんだよね。いくら声かけてあげても、本人には届かないかもしれない。だけど、「頑張らなくていいから」と思う。今悩んでる子も、今ここ何年か辛いかもしんないけど、もしかしたら、来年になったら笑えるかもしれないでしょ?それに、どっか行ったからって、逃げたからって、私はいじめられたから逃げたからダメだとは、絶対あり得ないと思うからね。


――プロレスラーの木村花さんのニュースを見たときはどう思ったんですか?

お母さんの響子とは戦ってるし、一緒に地方行ったりしてよく知ってる。花ちゃんもデビュー前から知ってた。だから余計びっくりしちゃった。

嫌だったら逃げて、辞めちゃえばよかったのかなと思う。花ちゃんが自分の命を絶ったことで、「負けたんじゃん」って思う人がいることが、悔しい。

逃げることは負けじゃない。いじめに頑張って耐えて、耐えて、耐えて、それで逃げたからって”負け”になるっていうことは絶対にありえない。あとで笑えたら勝ちなんだから。

自分は偉そうにアドバイスなんて言えないけど、自分自身が笑顔でいよう、元気でいようというのは心がけてる。


――いじめや誹謗中傷で苦しむ子どもたちは多いと思います。どうすれば良いでしょうか。

1人でいいから友達ができればいいんだけどね。何人も作らなくてもいいから、1人だけ話せる友達がいたら楽だと思うんだけどね。私も、プロレスの先輩からいじめられた時、同期の仲間に言って楽になった。誰もいないと沈んじゃうよね。みんなで笑って、ストレス解消をしたから乗り越えられた。

「パチンコがないと生きていられなかった」

――ダンプさんは、パチンコ依存症だったことも公表されていますよ。そもそも、パチンコを始めたきっかけは何だったのですか?

自分の周りはみんなパチンコ大好きで、ストレス解消によく行ってたの。

最初は新人の19歳の時。のめり込むようになったきっかけは、ある暑い日に事務所の周りをマラソンしていて、涼みにパチンコ屋さんにいったときかな。午前中はジュースが飲み放題だからって行ったんだけど、そこで300円くらい打ったら、9000円くらいになったんだよね。「え、これすごい!」ってなっちゃって。


――のめり込んで、どうなったんですか?

お金がなくなるよね。もう、寝ても覚めてもパチンコ。時間さえあれば行ってた。目をつぶればパチンコの映像がちらつくし、耳にはパチンコの音楽がいつも流れてた。

総額で何百万、何千万って使っていると思う。1年で100万円くらいは余裕で負けているから。


――パチンコをしていたときは、嫌なことも忘れられる?

忘れられてたね。試合のこととか、先輩のこととか、人間関係とか、いろいろあって疲れるじゃない。パチンコに行けば、余計なことを考えないで、一人で打っていればいいわけだから。
でも、今思えば悪魔の道でしたよ。


――悪魔の道?

だって、玉が出ないからって自殺をしたり、パチンコ台を壊したりするお客さんがいるんですよ。パチンコに子どもを連れてきて誘拐されたりとか、真夏の車の中で赤ちゃんを寝かせたままにして死なせてしまったニュースもあるでしょう。パチンコはいろんなものを忘れさせてしまう。大事なことさえも。

私も病気だったんだと思う。パチンコがないと生きていけないパチンコ病。


――当時から依存症だという自覚はあった?

なかった。パチンコは30年以上やってたんだけど、気づいたのは今から10年くらい前。人に当時の話をしたら「そういうのは依存症って言うんですよ」って言われて、初めて。当時はその言葉すら知らなかった。周りがみんなそうだったから。ずっと、ただの”パチンコ好き”だと思ってた。

「絶対にもうかりません!」

――その状態から、どうやって辞められたんですか?

ストレス解消で行ってたのに、あまりにも玉が出ないから、「お金を使ってイライラしに来てるんじゃ、時間の無駄だ」って思うようになって。パチンコだと1000円で1分ももたないけど、後輩たちと食事に行くのはそこまでお金はかからないし、何より楽しい。同じお金をかけるにしても「こっちの方が全然いいや。ストレス解消になるし」って思うようになってから、パッと辞められた。


――どうしたら、もっと早く辞められていたと思いますか?

自分が気付かないと駄目だよね。人に言われて治るものじゃない。周りに「損するだけだよ」ってさんざん言われても、本人は儲けたくて行っているんだから。当時は私も「いや、そんなことはない。今日は勝てるかも」って思ってた。


――当時、「依存症ですよ」と言われていたら?

「だから何?」って感じだったと思うよ。絶対に病気だと受け取らずに「そうでーす。パチンコ大好きでーす。依存症でーす」って笑ってたと思う。


――今でもやりたいと思うことはあるんですか?

ない、ない。依存症のときは、パチンコ屋さんの前を通るだけで「あ、呼ばれてる」って気になったんだけど、今は全然。


――最後に、パチンコの依存症に苦しむ人や、周囲の人にメッセージをお願いします。

パチンコは、勝てません!絶対にもうかりません!やめましょう。趣味ぐらいにしておきましょう。


――今日はありがとうございました。

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