【大賞】だれかの卒業(みりこ著)
顔も名前も知らない「だれか」と、教室の机の落書きだけで重ねたやりとり。返事を楽しみにしていたけれど、ある日、机をのぞき込むと「最後の授業でした 楽しかったよ」というさよならの言葉が……。
きゅんとして、甘酸っぱくて。思わず自分の学生時代を振り返ってしまうような読後感でした。
もしかしたら最後にふたりが会えるんじゃないか……そんな淡い期待をして読み進めてしまいましたが、会えなかったからこそ、主人公の心に強く刻まれたのかもしれません。
オンライン授業では難しい偶然の出会いと、青春の1ページ。かけがえのないものなんだと改めて感じた作品でした。(選評:水野梓)
【入賞】かつてうちにいた小学生(桜木きぬ著)
「私に絵心があればな…」
そう思わずにはいられない作品ばかりでした。私も0歳と5歳を育てる母ですが、日常の全てがファンタスティック。そのどれをも切り取って残したいものばかりです。
それを、作者の桜木きぬさんは、数年後に読み返したら思わず目に涙を浮かべてしまいそうな思い出として優しくユーモラスに記録しています。
卒業はうれしくてめでたくて…寂しい!!!!(選評:金澤ひかり)
【入賞】卒「業」(moimoi著)
眠らないビルとタイトルから始まる一枚目にもうやられました。
PCディスプレイのふせん、床に置かれたペットボトルなどのディテールが「眠れない」という悩みに一層の親近感を持たせてくれています。それでいて、ギンギンの目を作業用チェアにあしらったり、ファンシーな小物が部屋のあちこちにあったり、主人公のビジュアルも含め、moimoiさんの好きなもの、やりたいことがしっかり反映されていると感じます。
縦読みに最適なコマ割りで、絵はもちろん、話の展開もとても上手だと思いました。「ほらまた明日検索すればいいようなことを」という自分へのツッコミは読者として同調しやすく、「今、何時ですか?」という呼びかけにはハッと、学校ネタなど関係ない要素もいいバランスでクスッとさせてくれます。「宵っ張り」って言葉、私も今ひさしぶりに打った気がしますが、なんかいいですね。
次の作品もぜひ読みたいです。(選評:朽木誠一郎)
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3月のお題は「#わたしのスカッとした話」です。締め切りは3月28日です。