連載
#129 ○○の世論
自営業者が怒っている コロナ重点措置延長で「支持しない」38%に
世論調査、首相の指導力にも不満集まる
1月、岸田政権になって初めて、新型コロナウイルスの感染防止対策としての「まん延防止等重点措置」が適用されました。2月には東京や大阪などへの延長が決まりました。重点措置が長引けば、営業時間の短縮などが求められている飲食店への打撃は大きくなります。朝日新聞が2月19~20日に実施した全国世論調査では、「自営業者」の不満がにじみ出ていました。(朝日新聞記者・北見英城)
「自営業者」には飲食店関係者らが含まれていると思われます。
2月に東京、大阪を含めた全国の30ほどの都道府県で、政府が重点措置の延長を決めたことについて尋ねました。
すると、全体では「よかった」と答えた人が69%、「よくなかった」の21%を大きく上回りました。
ただ、「自営業者層」では「よかった」が59%と6割を下回り、「よくなかった」は33%で、その差は縮まっていました。
こうした不満は、岸田政権への評価に直結しています。
岸田内閣を支持するか聞いたところ、全体では「支持する」が45%、「支持しない」が30%だったのに対し、自営業者層は「支持する」が34%、「支持しない」が38%でした。
今回の調査では、岸田政権発足後、初めて不支持が全体で3割台に乗りましたが、職業別でその割合が最も高かったのが自営業者層です。
それでは、自営業者層の政権に対する評価は、これまでどのように推移していたのでしょうか。ここでは新型コロナウイルス対策に対しての「指導力」を問うた質問で比べてみました。
安倍晋三首相について2020年5月に、菅義偉首相について20年10月と12月、21年1月に、そして岸田首相については今年1月と2月に聞いています。
これまで最も全体と差が開いたのは最初の緊急事態宣言が出ていた20年5月、安倍首相に対する評価でした。
指導力を「発揮している」と答えた人は全体が30%に対し、自営業者層は17%にとどまったのです。
今回はそれ以来の差が開き、全体では34%が「発揮している」と答えたのに対して、自営業者層では21%にとどまりました。
こうした流れは今夏の参院選の票の行方にも影響を与えるかもしれません。
比例区で投票したい政党を聞いたところ、自民党と答えた人は全体34%に対し、自営業者層は23%にとどまりました。
受け皿となっているとみられるのが日本維新の会で、全体で16%だったのに対して21%と、自民党に迫る勢いでした。
ちなみに野党第1党である立憲民主党は9%でした。昨年10月の衆院選告示に合わせて行った調査で、衆院選比例区で投票したい政党を聞いたところ、自営業者層の支持は立憲13%、維新9%でした。議席を減らした衆院選の後も、立憲は苦しい状態が続いています。
3月6日が期限だった今回の重点措置ですが、政府は再び東京、大阪を含めた18都道府県について21日まで延長することを決めました。この決断が自営業者層の支持にどのような影響を与えるか、引き続きみていきたいと思います。
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