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「にゃんこ先生がいないこの世にいても…」東大教授が語るペットロス
猫の魅力知りたくて調査実習まで開始、その結果は?
今年はスペシャル「猫の日」。2022年2月22日で、たくさんの2(ニャン)が並びます。人はなぜこんなに猫に魅了されるのか。社会学者、赤川学・東京大学教授(54)は、自身が飼っていた猫を看取った時には「愛猫のいないこの世にいても……」と思うまで落ち込んだと言います。そして、猫の魅力を知るため調査実習までしてしまいました。「人間は尽くすだけ」。それなのに猫を飼う理由について、赤川教授に聞きました。
愛猫の写真、お待ちしています
「猫のために引っ越しをした」「猫のために生きているようなもの」。猫の日を前に、猫を愛する人たちから取材班にそんな声が寄せられました。
「猫のために引っ越しする人がいるのも不思議ではありません」と語る赤川教授。その理由について、次のように説きます。
「人間はあくまで猫に『お世話をさせて頂く』存在。猫は思い通りにならないので、猫に見返りを求めても期待もしてはいけないんです」
尽くす一方なのになぜ猫を飼うのでしょう?
「期待していないのに時々すり寄られたり布団にもぐられたりすると、その貴重さに身が震える。生きるのが楽しくなりますよ」
一般社団法人ペットフード協会の調べでは、2021年の犬の推計飼育頭数は710万6千頭なのに対し、猫は894万6千頭。犬の飼育頭数は減少傾向が続いていますが、猫は緩やかに増加しています。
「犬は散歩やトイレなどの世話が必要で、長時間家にいて面倒を見てくれる存在が必要なケースが多い。それに比べて猫は完全室内飼いが推奨されており、単身者や夫婦共働きでも飼いやすい。だから猫を飼う人が増えているのではないでしょうか」と赤川さんは推測します。
犬も猫もそれぞれ性格はありますが、赤川教授によると「猫は初対面の人を警戒し、家族にだけ見せる表情があるケースが多い」といいます。
そんな表情をしていると、ついスマホを向けて写真や動画を撮りたくなるもの。
「猫を飼う人が増え、SNSに投稿される愛らしい写真が増えると更に猫の人気が高まる。そんな相乗効果もありそうです」
そう話す赤川教授も3匹の愛猫と暮らしています。これまでに看取った猫は2匹。「最初に飼った猫は『にゃんこ先生』というのですが、旅立たれた時は『にゃんこ先生がいないこの世にいても仕方ない』と思うほど深刻なペットロスに落ち込みました」
なぜそこまで落ち込んでしまうのでしょう。
「犬にも共通するかもしれませんが、猫は小さい時は自分の子ども、成長すると親友だったり恋人だったり、関係が変わる。晩年は自分の老親をみとるような気持ちになります。寿命が人間より短いだけに、その一生が濃いのです」
赤川教授は、今年度から大学のゼミで「猫調査実習」を始めました。
ゼミ生たちが猫と関わる人に、猫のどういうところがかわいいのか、猫はあなたにとってどんな存在かを尋ね、研究結果としてまとめるとのこと。
「約42人を対象にゼミ生たちがインタビューしたところ、複数の人が猫の存在を『癒やし』と回答しました。猫の存在は人生を豊かにしてくれるんです」
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