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連載

#1 #令和の専業主婦

私は諦めた、のか? 専業主婦を選んだ女性がマンガに込めた本音

「主婦を名乗るのが恥ずかしい」「中途半端」…続く葛藤。

あさのゆきこさんの「幼稚園と保育園」
あさのゆきこさんの「幼稚園と保育園」 出典: あさのゆきこさんのツイッターより

目次

幼稚園に通う子どもの姿を通して、「専業主婦」である自分の存在を問い直す創作マンガが話題です。葛藤を抱える専業主婦の一面を描いた、作者のあさのゆきこさん(@YUKIKOASANO)に話を聞きました。
 
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保育園に通うめいに「…かわいそ」、本心は

あさのさんが描いた漫画の主人公は、幼稚園に通う娘を抱える専業主婦です。

娘には「登園渋り」があり「もっと小さい頃から保育園へ入れていたら一体どうなっていたことやら」「本当に幼稚園でよかった」と考えています。

ただ、葛藤も抱えているようで――。

ある日、主人公の妹から届いたメッセージには、歩き始めたばかりの子の写真と、フルタイムで復帰することが綴られていました。
妹の復職に「チクン」とする気持ちと、「子どもこんなに小さいのに…」という二つの思いが重なります。そして、出た言葉は「…かわいそ」。そして、「私の選択は間違っていない」。
このシーンについてあさのさんは「本当にかわいそうと思っているわけではなく、嫉妬している自分の気持ちを立て直すために言っているんだろう」と話します。

あさのゆきこさんの「幼稚園と保育園」より
あさのゆきこさんの「幼稚園と保育園」より 出典:あさのゆきこさんのツイッター

「ほんとは辞めたくない」復帰を断念した過去

そこから、主人公の「仮定の人生」が思い巡らされます。

「もし仕事をやめないで続けていたら」
「夫は私のことを対等に扱ってくれるだろう」
「なにを買うにもいちいちお伺いだてしなくていいんだ」

ただ、仕事を続けた場合の人生では、娘は幼稚園に通うことができないと主人公は考えます。

「この子は幼稚園が合っているんだ」
「保育園じゃ習い事へ送迎する時間なんてないんだから」

いったん、気持ちは落ち着くかと思いきや、さらに主人公の心は揺れます。

思い出すのは、仕事を辞めたときのこと。
泣き続ける乳児だった頃の娘の横で、保育園探しのための手続きが難しく、復帰を断念する旨を電話で会社に伝える主人公。
会社からは慰留されたものの「そんなにたくさんの人に迷惑をかけてまで続けるものじゃないというか」という思いがよぎり、「がんばれませんでした」と電話を切ります。

でも、子どもとふたりきりになった部屋の中で駆け巡る、「ほんとは嫌だ」「やめたくない」という思い。

一方、給料や家事の問題など、仕事を続けられない理由も浮かんできます。

「私はきっと耐えられない。だから諦めた」

あさのゆきこさんの「幼稚園と保育園」より
あさのゆきこさんの「幼稚園と保育園」より 出典:あさのゆきこさんのツイッター

さらに続くモヤモヤ「いいの?私は?これで?」


そう思っているのに、主人公は働く母親の声をみかけると、どうしてもモヤモヤとした気持ちがとまらなくなります。

「いいの?私は?これで?」

「ずっと家にいれて楽だね」「私は無理だなあ、働いていないと価値がないっていうか…やっぱり自分の力でさ~。あっ私はね!」という周囲の声、そして夫からの「復職?いや~無理でしょ」という言葉に、本当は言い返したかった。

それを断ち切るかのように、「いや!」「だってこの子は幼稚園がいいんだもん」「しょうがないよ。幼稚園がよかったんだからしょうがない」と主人公は考えます。

このときの主人公の気持ちを、あさのさんはこう代弁します。
「子どもはやはりいちばん大事な存在なので、自分のやってみたいことを通せない理由として十分。不自由の悔しさ半分、言い訳ができてホッとしている気持ちが半分なのではないかなあと思います」

あさのさんがこのマンガをツイッターで公開すると、共感や反論など、多くの感想が寄せられました。

あさのさんは「私自身は保育園でも幼稚園でもどちらでもいいと思っています」とした上で、このマンガでは「過剰に幼稚園(保育園)がいい!とアピールする人は何か無意識に本心を隠しているのではないかと感じてそれを表現したくて描きました」と話します。

あさのゆきこさんの「幼稚園と保育園」より
あさのゆきこさんの「幼稚園と保育園」より 出典:あさのゆきこさんのツイッター

自分を投影「劣等感を感じる反面…」

子どもが小学生にあがるまでの間、一般的には親の就業形態によって、保育園や幼稚園などの選択肢から子どもの日中の居場所を選択する場合が多いです。

あさのさんがこのマンガで自身を投影した部分は「仕事をやめたくない、でも乳児と離れたくない」という気持ちの部分です。

あさのさん自身は現在、主婦をしながらウェブでマンガを発表していますが、出産前まではアシスタントから漫画家を数年続け、出産後もしばらく続けていました。
そのまま続ける選択肢もあったのですが、「育児との両立があまりにもしんどくて、休ませてもらいました」。そしていまはそのただ中。

「いまでもご活躍されている漫画家さんを見るにつけ、劣等感を感じる反面、それでもしんどかったのだから仕方ない」と感じているそう。

「子どもと仕事、どっちに舵を切るのか選択できていない」

家事や、子どもと遊ぶことが苦手だというあさのさんは、「ちゃんとこなしているお母さん方に比べて、私はまだまだ。主婦を名乗るのが恥ずかしい」という気持ちに加え、「仕事でも成果を出せていなくて、中途半端」という思いが重なり、「子どもと仕事、どっちに舵を切るのか選択できていなくてずっとモヤモヤしています」。

出産、育児、子育て、仕事…。
男性の育児も当たり前になる機運が高まっている昨今、育児と仕事の両立は男性も経験することではありますが、それでも現状は出産前後を含め、女性には特有のライフステージの変化があります。

あさのさんは、働きながら子育てをする知人から「ずっと葛藤している。終わらない」という言葉を聞き、「私もその通りだと感じています」と話します。
「どちらを選んでも後悔が残る。後悔しながらもその場その場で対応していくしかないのかなと思います」

葛藤を抱えながら、日々の生活を成り立たせています。

社会を変えるヒント、探したい

私があさのさんのマンガと出会ったのは、「子育てなどに専念することを選んだり、選ばざるを得なかった現代の主婦」について考えていた時でした。

マンガで描かれる専業主婦である主人公が、やり場のないモヤモヤの中を行ったり来たりする様に共感。さっそく連絡を取り、直接話を聞きました。
子育てという「ライフステージの変化」で生じる葛藤を、あくまで等身大で描こうとしていたあさのさん。彼女の言葉を通して、「ライフステージの変化」に対応するために選択した生き方に、完全に納得しているわけではない女性もいるというメッセージを伝えたいと思いました。

専業主婦として家庭内のケア労働を精いっぱいしているのに劣等感があったり、「諦めた」なんていう気持ちにさせたりするのは誰なのか? そんな社会を変えていくためのヒントを探したい。どうすればいいか、一緒に考えてみませんか?
みなさんの体験談、声を募集しています。

【募集フォームはこちら】https://forms.gle/3TheaW9cQxR7gamcA
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