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お金と仕事

エハラマサヒロさん、顔出しNGせず子育て発信 炎上より大事なこと

「炎上は、ある意味慣れました」

SNSの活用を「家族のための発信」と語るお笑い芸人のエハラマサヒロさん
SNSの活用を「家族のための発信」と語るお笑い芸人のエハラマサヒロさん

目次

3女2男、5人の子どもがいるお笑い芸人のエハラマサヒロさん。7人家族のドタバタの日常を記録するYouTubeが人気を集めたり、子どもと一緒にバラエティー番組に出演したり……。昨年11月には、家族の様子を描いたエッセイマンガ「エハラんち 芸人7人大家族 ドタバタ奮闘記」(集英社)を出版し、「漫画家」デビューも果たしました。

多くのメディアで「子育て」を発信するエハラさんですが、ときにはその発信が「炎上」することも。さまざまな「リスク」を理由に、SNSやメディアでは子どもの顔出しをNGにしている人も多い中、それでも積極的に発信し続ける理由を尋ねると……。

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「炎上は、ある意味慣れた」

――YouTubeなどのSNS、そしてテレビでも、お子さんの顔や名前、日常生活を発信していますね。顔出し、迷いはありませんでしたか?

そうですね、それはまったくありませんでした。

顔を出すことはNGという風潮もあるのも理解していますし、外からは「子どもをダシにして……」といわれたりしているかもしれないですが。

――そうした反応、気になりませんか?

炎上は、これまでにたくさん経験してきたので、ある意味慣れました。

何をしても、「言いたい人は言う」。そんなスタンスです。

何より、YouTubeでの「エハラ家チャンネル」の撮影は子どもが楽しんでいるし、撮影しているのも本当に家族の日常の一コマ。僕がこういう仕事だということもあるけれど、こんなに子どもたちといい時間を過ごせるのは、今のうちだけだなぁなんていう思いもあります。
「エハラんち 芸人7人大家族 ドタバタ奮闘記」より
「エハラんち 芸人7人大家族 ドタバタ奮闘記」より

批判コメントを分析

――批判的な意見などには、もともと強いのですか?

僕も、最初はめっちゃ凹みましたよ。

一番印象に残っているのは、2009年にR1グランプリに出て準優勝したとき。

自分でいうのもあれですが、僕はまったく「行けるぞ」っていう目では見られていなかったんです。

そんな僕が、初出場で決勝に進出し、先輩方より急に上に行ってしまった。

その日は、ブログのコメントもいつもと桁違いでしたね。違う意味で……。

――コメントが、お祝いではなかった?

そうです。

僕は、高揚感もあったし、「やってやった!」「みんなが注目してくれている!」なんて浮かれていたんですが、開いてみたら、それはもう(笑)。

「○○(先輩芸人の名前)の方がおもしろかった」
「でてくんな!」

そんなコメントの嵐でした。

――ものすごい数のコメント、怖くなりませんでしたか?

もちろん、最初はしばらく凹んだし、外に出られなくなりました。

でも、時間が経っていろいろと考えて分析してみると、コメントにもいろいろ種類があるなぁっていうのにも気付いたんです。

「ただ僕を攻撃したい人」「ネタに対して意見を言ってくれる人」……。

批判的なコメントの中には、「確かにそうだな」というような、僕が気付かないような視点をくれるものもあって、そういうのはきちんと受け止めて反省します。

一方的な攻撃の類いは、「あ、これそうだな」とだんだん分かってくるので、それは……ね。

――すべてを「見ない」とするわけではなく、冷静に分析しているとは。

仕事は、すべて分析です(笑)
インタビューに答えるエハラさん
インタビューに答えるエハラさん

リスクとは別の考えも

――では、SNSの子どもの顔出しも、葛藤はなかったですか?

あまりありませんでしたね。

特にうちは上3人が女の子なので、「危ないんじゃない?」とか、「誘拐されちゃうかも」というお声は多いかもしれないです。

でも、「顔を出すのがすべてリスクになるのか」という視点で考えたとき、僕はまた別の考え方があるんです。

――別の考え方、とは?

たとえば、道ばたで知らない子どもがけんかをしていたりしたら、どうします?

――うーん。たぶん、気付かないふりをしてしまうことになるのが正直なところかも。

そうだと思います。

でも、その子どもの1人が知っている子だったら、反応が違ってくると思いませんか?

――確かに……!

○○さんの家のあの子だ!ってなったら、きっと何かしら声をかけてくれるんじゃないかな、と。僕はそう思っているんです。

エハラさんちの、と、そんな風に言ってもらえるかもしれない。むしろ、僕たちの知らないところで味方が増えていることもあるんじゃないかなとか。

SNSで子どものことを発信することで、「親戚のおばちゃんみたいな存在がふえてくれたらいいな」って思っているんです。
――その視点はありませんでした。

どちらがいいかは、もちろん個人差があることだし、絶対に僕の考えが正解、不正解という話ではないとも思います。

でも、いまは個人でなんでもできる時代です。

インターネットが発達したことで、僕も、吉本芸人としての仕事だけではなく、いろいろな発信チャンネルを持つ個人としてどう発信力・影響力を与えられるか。これが勝負になっていくと思うんですよね。

――なるほど。戦略的に、ですね。

そうです。僕の発信は子どもたちにとっての「アドバンテージ」になることもあるんじゃないか。そんな思いもあります。

もとから名前が少し知られているって、すごいラッキーなことだと思いませんか?
インタビューに答えるエハラさん
インタビューに答えるエハラさん
――確かに、SNSのフォロワーも、私なんかはサボっているし全然増えませんが、エハラさんちの……となれば、話は変わりますね!

2世タレントというのもたたかれやすい枕詞だけど、それであっても、「強みの一つ」にもなっているんじゃないかなと。

これまでの考え方では、SNSからは子どもの写真は遠ざける、というのが常識だったけど、そのリスクとされる行為と、その行動で得られるメリットは、しっかり天秤にかけたほうがいいんじゃないかな、と思います。

――SNSは、「家族のためでもある」ということですね。

はい。もちろん経済的なプラスもありますよ。でも、あくまで僕はSNSは「仕事のための発信」ではなく、「家族のための発信」にしたいと思っています。

いつやめてもいいと思っているし、いくら再生数やPVを稼げそうなものを思いついても、子どもたちが喜ばないことはしません。まあ、「日常の垂れ流し」、ですね。

YouTubeでも、奇をてらった動画を狙うのではなく、純粋に「家族で楽しいこと」を発信している。これからも、その方向性だけはぶれないようにしたいなと思っていますね。
エハラんち 芸人7人大家族 ドタバタ奮闘記(集英社)

子育てって楽しい

子どもがたくさんいる、という点でも注目が集まっているエハラさん。最後に,こんなことも聞いてみた。

――いま、日本は少子化が国難だともいわれています。子だくさんの当事者として、「子どもを持ちたいと思う社会」にするために必要なことなど、考えを聞かせてください。

僕は、たまたま5人授かることができて、それはとても幸せなことだと思っています。

でも、やっぱり、金銭的なこととか、社会の雰囲気とか、「子どもって大変」と思うこともあります。

そんなことの一つ一つがクリアになって、「子育てって楽しい!」という思いがたくさんの人に広まるといいんじゃないかと。

あと、よく「5人も大変ね」といわれますが、実は「子だくさん」って大変なんじゃなくて、だんだん楽になってくるんですよ。

僕も、1人目はなにも分からないし、2人目は手が足りないし……とてんやわんやでした。でも、3人目ともなると、子どもがお世話の戦力にもなってくれるし、一緒に遊んでくれる。4人目、5人目は、本当に余裕も出てきて、可愛くて仕方ない、という感じです。

僕のYouTubeなどを見て、「子だくさん」っていいなぁと思ってもらえると、それも少子化に貢献できるんじゃないでしょうか。みんな本当に楽しそうに映ってますよ!ぜひ、見てくださいね!笑
「『子育てって楽しい!』という思いがたくさんの人に広まれば」と語るエハラさん
「『子育てって楽しい!』という思いがたくさんの人に広まれば」と語るエハラさん

取材を終えて

「子どもをダシにして稼ごうとしている」「顔出しをたくさんするのは、ひどい親なんじゃないか」。エハラマサヒロさんに限らず、著名人がSNSで子どもの顔出しをすると、必ずと言っていいほどこうしたコメントを目にしてきました。

その意味で、エハラさんがテレビでもYouTubeでも子どもの顔や名前を隠さない方針でいることは、「目立つなぁ」「すごいなぁ」と思っていました。

ただ、今回の取材で印象的だったのが、「発信力を子どもの強みにしてあげたい」というエハラさんのSNSでの顔出しにおける「戦略的」ともいえる考え方です。SNSの中傷に悩んだ当事者としての経験もあるからこそ、「全部がダメ」という画一的な線引きはせず、「何がダメなのか」を突き詰めている姿に、これまでのイメージが一変しました。

いまは、どこにいても、個人の発信力を生かして仕事を得たり、周囲に影響を与えたりすることができる時代になりました。自分が子どもだったころとは比較にならないくらいのスピードで、社会の「当たり前」が変化しています。

そんなこれからの時代を生きていく子どもたちに、親として何を伝え、何を残していくのか……。そんなことを考える、強い親心を垣間見た気がしました。

私自身も、子どもとSNSの関わり方について、何をリスクとして教えるべきか、いま一度考えるきっかけになっています。

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