• マヌルネコで「救いになるコンテンツを」
• ストレスをかけないよう撮影
• 楽しんで制作したおマヌり新MV

YouTubeやTwitterで300万回超も再生された那須どうぶつ王国の「マヌルネコのうた」。あのクセになるリズミカルな歌がリミックスされ、地元ダンサーたちがかっこいいダンスを踊る新ミュージックビデオ（MV）として公開されました。制作したクリエイターの富永省吾さんは「マヌルネコが大好きな人たちで制作した集大成です。お祭りならぬ『おマヌり』でした」と話します。制作の経緯を聞きました。

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マヌルネコ：イランやモンゴルなど、中央アジア周辺に生息。体長50～60センチ・ネコ科の動物の中では最古の種。生息地は砂漠や樹木のない岩石地で、夏は酷暑で冬は氷点下という過酷な環境。生息数が減り、絶滅の危険性が高いと指摘されています

マヌルネコのうた：マヌルネコの魅力を知ってもらおうと那須どうぶつ王国（栃木県那須町）が制作、東京在住のクリエイター富永省吾さんが企画・監督・作詞。「種の保存」という動物園の使命への思いも込めました。
飼育下の繁殖が非常に難しいマヌルネコですが、那須どうぶつ王国では2019年にボルとポリーからエルとアズが誕生。エルは名古屋市東山動植物園、アズは神戸どうぶつ王国で飼育されています

本気の地方創生コンテンツ

新しいMVは、DJ Seihoが「マヌルネコのうた」をリミックスした楽曲を使用。原曲のMVはTwitterに埋め込めるように2分20秒で制作しましたが、物足りない人のために4分の長さになっています。

ダンスパートは、那須ガーデンアウトレットで収録。地元・那須のダンススタジオによる作り下ろしのダンスが盛り込まれています。

富永さんは「地元と東京のクリエイターがコラボして、那須の魅力が詰まった本気の地方創生のコンテンツになったと思います」と話します。

マヌルネコ保全の集大成

新MVは、出演者がクラウドファンディングのリターンであるマヌルネコTシャツを着ていたり、「マヌルネコのうた　踊ってみた」をYouTubeにアップしていた動画が盛り込まれていたり。これまでのマヌルネコへの取り組みや「愛」が詰まった内容になっています。

マヌルネコTシャツを着て踊るダンサーも。オーディションで選ばれました 出典：那須どうぶつ王国のYouTubeより

富永さんは「これまでMVの『マヌルネコのうた』で『見る・聞く』保全、グッズのTシャツで『着る』保全といった取り組みをしてきました。じゃあ保全の取り組みの集大成は『踊る』にしようかなと思いました」と笑います。

DJ Seihoさんのリミックスがすばらしく、制作を決めたといいます。ボルとポリーの秘蔵カットを出す機会にもしたかったそうです 出典：那須どうぶつ王国のYouTubeより

マヌルネコで「救いになるコンテンツを」

富永さんがマヌルネコにハマったのはコロナ禍がきっかけでした。ステイホームで猫や動物の動画を見ていたところ、那須どうぶつ王国のマヌルネコYouTube配信で、その魅力にとりつかれたといいます。

2019年に那須どうぶつ王国で、ボルとポリーから生まれたエルとアズ 出典： 那須どうぶつ王国のYouTubeより

今でこそ認知度が上がりましたが、当時はマイナーだったマヌルネコ。「こんなにポテンシャルのある生き物なのに、みんなが知らないのはもったいない」と感じました。

「ふさぎ込んでいる人が多いなか、誰かの救いになるコンテンツが作れるんじゃないかなって」

ストレスをかけないよう撮影

那須どうぶつ王国を訪れたのは初めてでしたが、広々とした展示スペースで、動物たちがみんな幸せそうにみえたといいます。

そこで、「マヌルネコのうた」だけでなく、ほかの動物たちも撮影し、ブランド動画も制作しました。

きょうは #生物多様性の日 です。

地球はいきものでできている。@UN #IBDday pic.twitter.com/HMbZpH0vak

— 那須どうぶつ王国 (@nakprstaff) May 21, 2021

一方で、ストレスをかけないように腐心したマヌルネコの撮影は大変だったそうです。

照明をたいたり猫じゃらしを使うなどボルとポリーの気を引いたりはせず、じっと展示ガラス越しにカメラを構え、微動だにせず自然な2匹のようすを狙いました。東京から何度か通って、4～5日張り込んだといいます。

富永さんは「やっぱりマヌルネコ、なかでもポリーが特別です。前回はポリーの動画が多かったので、今回はボルを多めにしようと思ったんですが……やっぱりポリーが多めになりました」と話します 出典：那須どうぶつ王国YouTubeより

踊ったりして愛でて

どっしり構えたオスのボル。一方、メスのポリーはガラス越しの飼育員さんを威嚇するなど激しめの性格です。

富永さんは「怒っていても人間から見たらかわいいんですよね。かわいく見えて、飼いたくなる思いは自然なことです。でもやっぱり『飼えません』と伝えることは大事だなと思います」と話します。

「おうちで飼うことはできません」と呼びかける注意書き。説教くさくならないように気を配ったといいます 出典：那須どうぶつ王国YouTubeより

今回のMVにも、「眺めたり、うたったり、踊ったりして愛でましょう」と注意書きを挿入しました。

楽しんで制作したおマヌり新MV

難易度の高いダンスをばっちり踊りきってもらったり、アニメーションを入れたりCGを作ったり……豪華に制作された今回の新MVを「お祭（マヌ）り」と表現する富永さん。

「マヌルネコを称えるみんなで楽しんで制作したおマヌりです。個人的には二次創作は大歓迎なので、YouTubeやTikTokなど、ぜひこの曲で自由に踊ってほしいです」と話します。

今年10月末に撮ったダンスパート。前日のロケハン時の悪天候とはうってかわって奇跡的にあったかく晴れた日だったそうです 出典：那須どうぶつ王国YouTubeより

那須どうぶつ王国総支配人の鈴木和也さんは、「保全の輪が那須から全国にさらに広がる予感がします」と語ります。

「最初から『踊る保全』は那須の仲間と一緒に制作したいと考えていました。撮影地は那須エリアの玄関口である那須ガーデンアウトレットさん、ダンスは地元のドリームトレジャーさんの組み合わせしかないと思いました」と振り返ります。

きれっきれのダンスを披露したメンバーには、8年前の那須どうぶつ王国のCMに起用された小学生ダンスグループのひとりもいるそうです。鈴木さんは「富永さんがオーディションで選んだメンバーなのでさらにうれしかったですね」。 出典：那須どうぶつ王国YouTubeより

「マヌルネコのうた」の楽曲はSpotifyやApple Musicといったサブスクでも聞くことができ、インストゥルメンタルもあります。

富永さんは「歌っても踊ってもいい。ぜひそれぞれに合わせて、原曲もリミックスも楽しんでいただきたいです。これからもマヌルネコの魅力を伝えていきたいですね」と話しています。

【新作】マヌルネコのうた Seiho @seiho777 ver.のガチMVを作ったよ!!! 新カット&秘蔵カットだらけ!!! さぁ、お祭(マヌ)りの始まりだ!!! pic.twitter.com/JE47DiwVWW

— 富永省吾🐾マヌルネコのうた (@shogo_tominaga) December 18, 2021

名前はヌルヌル、動きはカクカク…最古なネコを「踊って愛でよう」

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