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もしも、私が立憲の代表だったらしたいこと 68億円の交付金の使い道

今度こそ、揚げ足とりではない批判を

時事YouTuberとして政治や教育現場を中心に取材してきた、たかまつななさん
時事YouTuberとして政治や教育現場を中心に取材してきた、たかまつななさん

目次

若者に立憲民主党は知られていない。「NHKをぶっ壊す」の方がはるかに認知されている。公文書改ざんや政治とカネの問題など、長期政権による弊害は国民も知っている。それなのに野党第1党の立憲の支持率は上がらない。「立憲は頼りない」。この一言につきる。そして、「反対ばかりしている」というイメージがつきまとう。私も、批判ばかりするコメンテーターではなく、提案をしていきたい。だから考えてみた。もしも、私が立憲民主党の代表だったら。(時事YouTuber・たかまつなな)

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たかまつなな
時事YouTuber、「笑下村塾」代表取締役。1993年横浜市生まれ。時事YouTuberとして、政治や教育現場を中心に取材し、若者に社会問題を分かりやすく伝える。18歳選挙権をきっかけに、株式会社笑下村塾を設立し、出張授業「笑える!政治教育ショー」「笑って学ぶ SDGs」を全国の学校や企業、自治体に届ける。著書に『政治の絵本』(弘文堂)『お笑い芸人と学ぶ13歳からのSDGs』(くもん出版)がある。
 

メディア批判ではなく、メディアを作ろう

枝野幸男さんと対談させてもらったときに、「メディアは立憲が批判しているところを切り取る」というメディア批判を繰り返した。

でも、野党合同ヒアリングで官僚をつるしあげ、(切り札がそれしかないとはいえ)審議拒否をし、予算委員会で追及型の議員が質問する場面が続いたら、それは、そこを取り上げられるのは当然だろう。

メディアにもダメなところがたくさんある。だけど、誰もがメディアを持てる時代に、メディア批判をするのは、私はナンセンスだと思う。

メディアを作るべきだ。

私はNHKにいたが、NHKで限界を感じ、時事YouTuberになった。今は、チャンネル登録者数が12万人いる。会社の常勤は2人、副業メンバー10名ほどと、クラウドファンディングで集めた600万円をもとにやっている。かなりコストをおさえても、たくさんの人にリーチができる。それが今のメディアの一つの形である。

立憲民主党のYouTubeチャンネルは2万人ほど。YouTubeを一番うまく駆使している「れいわ新選組」は21万人、自民党、公明党は12万人、共産党は9万人、日本の維新の会は2万人ほどだ。

自分たちが伝えたいメッセージは何かを考え、番組をつくれる時代。野党第1党なのだから、私の個人チャンネルのようにちまちまやるのではなく、もっと大きくメディアを作れるはずだ。

YouTube戦略がうまかったのは東京都知事の小池百合子だ。コロナの感染状況を東京動画で伝えた。NHKなどでも、この動画を切り取り、報道番組で活用していた。野党第1党が動いても大きなニュースにはならないかもしれないが、大手マスコミには担当記者がいて、それをウォッチしている。自らニュースバリューを生み出せるよう、自分のメディアを使いながら、メディアミックスしていくべきだ。

今回、私のYouTubeチャンネル「たかまつななチャンネル」では、立憲民主党の代表選挙で、各陣営の応援議員にでてもらい、代理討論会を催した。

立憲には、青柳陽一郎さんや大西健介さんのような、政策についても真摯に話し、具体的な提案もたくさんして、若者の感覚を意識している人材がいる。それなのに、メディア露出を意識していないように感じてしまうことは問題だと感じた。

党幹部からすれば個々の議員のメディア露出をおさえた方がコントロールしやすいと思うかもしれない。野党がバラバラになることをおそれる気持ちはわからなくもないが、政権交代をしても大臣できる人がたくさんいますよと安心感を与えられる、攻めの姿勢であるべきだ。

党内の会議なども、どんどん公開して、若手中堅議員の名前を覚えてもらうことはメディアをもっていればできる。

大手メディアのジャーナリストや演出家、ディレクターなどを引き抜いて中身まで磨いていく。党や議員の姿勢さえあれば、手弁当でも動きたいと思っている報道関係者はたくさんいる。

政党交付金でシンクタンクを作ろう

令和3年度、立憲民主党は政党交付金は68億円もらえる。このお金で政策立案能力を高めてほしい。

議員が陳情を受け、選挙に勝つために地元に帰り、メディアに出演し、政策立案と勉強もするのは、正直かなり厳しい。

立憲民主党の代表戦では、大きなビジョンや政策についての論争が起きなかった。自民党では、河野太郎さんが掲げた年金制度改革について、他の候補者が突っ込むことで、4候補の違いが浮かび上がった。ビジョンを掲げ、実行するためのロードマップがあれば、信頼される。それを議員だけで対応するのはほぼ不可能だ。

立憲民主党のだした公約を専門家に見てもらうと「実現が乏しい」「的外れだ」という意見がしばしばぶつけられた。野党は時間がある。だからこそ、政策立案に時間をかけられる。今、政策立案するなら、自民党や公明党に持っていった方が得だ。そう思わせないためにも、シンクタンクを作るべきではないだろうか。

専門のスタッフに加え、シンポジウムや勉強会などをたくさん開き、普段から公約を作り、その精度をアップしていく。「一番専門的な話が聞けるのは立憲のシンポジウム」。そう思わせられるような最先端の話ができれば、バリューがあがるだろう。

アメリカやイギリスには政党ごとにシンクタンク機能がある。イギリスの場合は、それが税金でまかなわれており、野党にも払われているから、質の高い政策論争が繰り広げられるのだ。その流れをリードしてほしい。

「こんな政府はダメだよね」じゃなくて、「こんなルールがあったらワクワクするよね」、「こんな街づくり一緒にしない?」。こんな社会にしようという未来を語るスタイルをシンクタンクでつくってほしい。

立憲民主党代表選立候補者の討論会に臨む(右から)西村智奈美氏、泉健太氏、小川淳也氏、逢坂誠二氏=2021年11月22日午後1時26分、東京都千代田区、長島一浩撮影
立憲民主党代表選立候補者の討論会に臨む(右から)西村智奈美氏、泉健太氏、小川淳也氏、逢坂誠二氏=2021年11月22日午後1時26分、東京都千代田区、長島一浩撮影 出典: 朝日新聞

いい批判をしよう

批判をするのは悪いことではない。野党の役割の大きな一つに批判がある。桜をみる会や学術会議は、共産党の機関紙である赤旗がスクープした。志位和夫さんに、なぜそれができるのか聞いたら、「批判精神からだ」と言っていた。

ちょっと調べただけだと、やはりいい批判は難しく、パフォーマンスになってしまう。だからこそ、自前の強いシンクタンクやメディアが必要なのだ。

強い地方組織を作ろう

自民への批判票が集まればある程度の議席は取れる、労働組合の支持があれば当選できる。共産党の票があれば安心だ。でも、共産党や連合との連携は、多くの国民にとっては置いてきぼりの議論になっていないだろうか。

立憲自体の交渉力を強めるためにも、地方組織をももっと強化するべきだ。地方組織が強くなると、国会議員も政策に集中できる。

首長選挙の相乗りやめよう

国政選挙だけが勝負ではない。地方議会では、首長選挙の際に、相乗りと呼ばれるなれ合いが行われていることがある。現職の市長などを与野党みんなで支持し、市長選挙に圧勝することだ。

せっかく存在感がしめせる首長選挙を相乗りしてしまうのはもったいない。

陳情のプラットフォームを作ろう

現在はSNSなどを活発にし、リプライなどで意見交換をする活動を議員個人の努力に頼ってしまっている。

陳情をわかりやすく見せる。ここに連絡すればいいというプラットフォームを作る。分野ごとに詳しい議員のリストや連絡先を掲載したサイトを1ページつくるだけで、かなり違う。

官僚を味方につけよう

立憲は官僚を敵だと思っているのではないかとよく思う。

政権をとったら、官僚との連携は不可欠だ。どこが政権にとっての穴であるかなど官僚だってわかっている。それを利用するべきだろう。

でも、今の野党合同ヒアリングは正反対の方向だ。自分たちが考えた公約がどのくらい実現可能性があるのか。実現するための壁はなにか。その壁はどうやったら乗り越えられるのか。官僚の本音を知り知恵を借りた方が、自分たちの目指す社会の実現は近いだろう。

「感染実態解明 野党合同ヒアリング」で、内閣官房と厚労省の担当者ら(手前)の説明を聞く野党議員ら(奥)=2020年7月29日午後、国会内、岩下毅撮影
「感染実態解明 野党合同ヒアリング」で、内閣官房と厚労省の担当者ら(手前)の説明を聞く野党議員ら(奥)=2020年7月29日午後、国会内、岩下毅撮影 出典: 朝日新聞

若者議員を当選させよう

若手議員や女性議員をどこまで本気で当選させようと考えているのか。小沢一郎さんが比例で復活するなんて、自民党よりも、古さを感じた。

年齢が若い人を比例の名簿の上にする。女性も上にする。若い人や女性がいるだけで当事者は親近感を感じる。

今の国会にはジェンダーとジェネレーションの多様性がない。何がなんでも、若手議員を当選させるような仕組みを作ってほしい。

落選した人を育成し、次の選挙で勝たせるために支える体制を作るべきだ。シンクタンクや議員秘書として裏方にまわるなど、党全体の人事やスタッフの質をあげていくことも両立して考えなければいけない。

若者が5人増えただけでも印象が違う。メディアバリューもある。せっかく、世代交代を感じられる空気が醸成されたのだから、このまま高めてほしい。

「本当にできる」強い野党に

若者の投票率を向上するためには、強い野党が必要だ。政権交代が起きる緊張感が大切だ。だから、今までの古い政治、どぶ板選挙のようなところから抜け出してほしい。

「立憲民主党には政策立案能力もそれを担当できる人材も豊富にいる。口だけではなく本当にできる」
「批判も日本を前にすすめるための批判で、揚げ足とりではない」


そんな野党第1党を目指してほしい。

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