IT・科学
減り続けた体重は34キロに、いよいよ「入院治療」でハッと気づいた
コロナ禍で摂食障害に…親子の苦闘

コロナ禍でさまざまなストレスが重なり、だんだんと食事がとれなくなってしまった10代の女の子。口にできるのはサラダくらいで、160センチの身体は一時34キロまでやせてしまいました。摂食障害から回復していく過程で、体型にコンプレックスがあり、友人たちから何げなく体型をからかわれた言葉に傷ついていたと気づいたそうです。コロナ流行後、心身に起きた変化を女の子とその母に聞きました。
休校で気持ちがふさいで…
しかし4月、緊急事態宣言で中学校は休校に。友人と話すことも遊ぶこともできなくなり、だんだんと気持ちがふさいでいったといいます。
同じ頃、同居する祖父の体調が悪化。1日おきに点滴するなど自宅で療養していました。
女の子は「おじいちゃんは食べられないのに、自分は食べていいのかな」という思いが心によぎったといいます。
介護で忙しそうな母にはそんな気持ちを打ち明けられず、ひたすら受験勉強に取り組んでいました。
「重い」肉や揚げ物、口に運べない
最終的には大好きだった白米も受けつけず、肉類や揚げ物といった「重い」ものが口に運べなくなり、サラダばかりを食べていました。

女の子の母親は「様子がおかしいので色々と調べましたが、『まさか摂食障害なんて』と信じたくない気持ちもありました」と振り返ります。
摂食障害の治療、3カ月待ちの病院も
夏休みに受診したクリニックでは医師から「低体重と低血圧だから、勉強もスポーツもしてはいけない」と厳しく責められ、女の子はパニックになってしまいました。受験勉強に励むことが気持ちの支えになっていたからです。

とはいえ、周囲から「太った?」などと言われるのは耐えられない。体重を増やすのも減らすのも、食事するのも病院に行くのも怖く、親子ともに気がおかしくなるような気持ちだったそうです。
34キロで勧められた入院治療
「私、食べる」
そう宣言し、親子でスーパーやコンビニを巡って「何か食べられるものがないか」探したといいます。
「ジャングル」のようなコンビニ
糖質を控えた表示のパンを見つけ「これなら食べられるかも」と試したところ、そのおいしさに驚きました。
母親は「これがきっかけになって、食べる抵抗感や怖さが減っていったようです。店員さんも明るく声をかけてくださったのがありがたく、毎日のように通いました」と話します。
冬に体重を増やし、個別登校や個別指導の塾にも通いながら、勉強に励みました。努力が実って高校に合格したときは親子で喜んだといいます。

普通に食べることがどれほど幸せか
体重へのこだわりも減ってきて、怖かった「重い」食べ物も少しずつ口にできるようになってきました。母親は「少しずつ心身を回復させて、充電しているところ」と言います。

出典: ※画像はイメージです GettyImages
こうして普通に食べることがどれほど幸せなことか、気づいたといいます。
こころの回復、見守ってほしい
母親は「勉強でも何でも完璧にやろうと頑張る娘も、『休むのは甘えじゃないか』と自分を責めてしまっていました。でも『やせていた方がいい』という社会の価値観のなかで、重症度はあれど誰でもなりえる病気だと思いました」と言います。
「それなのに摂食障害になってしまっても、病院選びすら手探り。本人だけじゃなく親も孤独になりがちです。幸い、我が家は学校や周囲の理解があって助かりました。こころの回復はなかなか目に見えませんが、社会の認知度が上がり、あたたかく見守ってもらえるようになるといいなぁと思います」
コロナ禍を経て、「太るのが嫌で食べるのが怖くなった」「食事量が減った」など、子どもの「食べる」にまつわる変化はありましたか。ご意見や体験談をこちら(https://forms.gle/LzT2fKs6wzgxdrMP9)までお寄せ下さい。