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公明党ってどんな政党? 創価学会との関係は…山口代表に聞いてみた

「バックボーンある方が信頼される」

会見で衆院選の重点政策を発表する公明党の山口那津男代表=2021年10月7日午後3時33分、国会内、上田幸一撮影
会見で衆院選の重点政策を発表する公明党の山口那津男代表=2021年10月7日午後3時33分、国会内、上田幸一撮影

目次

衆議院議員選挙を控え、各政党は若者政策についてどう考えているのか。公明党の山口那津男代表に、創価学会との関係、政教分離、連立政権、岸田内閣の印象など、YouTubeたかまつななチャンネルで迫りました。

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社会のひずみで苦しむ人のための党

――まず公明党とはどういうことを理念にした政党ですか。

名前のとおりクリーンガバメント。きれいな政治、清潔な政治を目指そうというイメージがあります。政策の中身としては、生命、生活、生存を最大に尊重する人間主義という理念を掲げています。

例えば、私たちは個々の人間ですから一つの生命体です。でも家族や社会になると、もう少し広い概念になって生活を中心に考えます。また、人類が生きるこの地球規模の問題、国際社会になると生存を重視する。それらが最大に安定して満たされた世の中をつくっていこうというのが公明党の理念です。


――福祉と平和の党というイメージと、庶民の党みたいなイメージがあるんですけれども。

そうですね。庶民の党というのは、公明党の立党精神に受け継がれたものがあります。「大衆とともに」。ちょっと古臭い言葉に聞こえるかもしれませんが、民主主義とは、そもそも国民、民衆、人々と一緒に歩む。一緒に語り合う。皆さんの声を政策にしていく。これが公明党のスタイルですね。


――支持層はどういった人が多いんですか。婦人部が強いイメージがありますが、他の党に比べてこういう階層の人が多いとか、その辺はいかがですか。

公明党が誕生した時代は、高度成長期が始まった頃です。都市部に地方からいろんな人が出てきました。そうした中で政治は、経営者や支配層を中心にした自民党と、働く人の労働組合を中心にした社会党に二分されていたころでした。

けれども、都市に集まってきた人たちはそのどこにも当てはまらない方々が大勢いらっしゃった。高度成長で社会のひずみが急に広がりましたから、そういう人の声や政治に参加しにくい女性の声を受ける。ですから、女性とか中小企業で働く人、自営業の人などが支持層で多かったです。今も中心的だと思います。

お正月を前に、夜行列車で熟睡する帰省客たち。新幹線がない時代、ふるさとへ向かう人たちの足だった。高度経済成長を迎えた1960年代、集団就職や出稼ぎの人たちが懸命に働き、日本の発展を支えた=1963年12月20日
お正月を前に、夜行列車で熟睡する帰省客たち。新幹線がない時代、ふるさとへ向かう人たちの足だった。高度経済成長を迎えた1960年代、集団就職や出稼ぎの人たちが懸命に働き、日本の発展を支えた=1963年12月20日 出典: 朝日新聞

創価学会と全国ネットワークが最大の強み

――公明党は選挙に強いイメージがあります。候補者の人が全員当選するというのがすごいと思うんですけれども、選挙に強いのは創価学会があるからですか。

公明党の支持母体といわれますよね。公明党をつくったのは創価学会の会長、今の名誉会長である池田大作名誉会長でいらっしゃいます。ですから、当然創価学会の皆さんが熱心に応援していただくわけですけれども、それだけではもちろんないわけです。今は企業や団体、民間のNPOに至るまで、とても幅広くなりました。支持層も社会の中の一部の階層ではなくて、縦にも横にも広がっています。


――私もいろいろ調べましたが、宗教団体が特定の政党を応援することは憲法上は問題ないわけですよね。政党が宗教側を応援することは許されないけど、宗教団体が政党を応援することは、現行の日本のルールだと大丈夫だと。

日本じゃなくて、世界のルールです。政府、権力を持つ側が特定の宗教を応援したり攻撃したりしてはいけないというのが政教分離の基本原則です。これはヨーロッパで生まれたルールで全世界に広がってるわけで、共産主義の国は別ですけれども、日本でも宗教団体の側、あるいは宗教を信仰する人が政治や政治家、政党を応援するというのは全く自由です。


――若い世代の感覚からすると、公明党は平和で福祉をうたっていて素敵だなと思う一方で、宗教に対するアレルギーのような、「創価学会がバックにあるとちょっと……」みたいな考えがどうしてもあると思うんです。そこはどうアピールしていこうとお考えですか。

率直に公明党がどういう声を聴いて、何を実現して、国会や政治の場でどういう振る舞いをしているか、これをありのままに見ていただくのが大事だと思います。皆さんにきちんと知っていただく努力を地道に続けていきたいです。


――逆に宗教の法人が応援してくれることのメリットはどんなところにありますか。

直接的なメリットというよりも、やはり価値観、理念を持っている、そこが政治家を通じて反映されていくのは悪いことではないと思います。

例えば、ヨーロッパやアメリカの政治ですと、むしろ宗教的バックボーンを持っている人のほうが信頼される。どういうバックボーンかということが一つの判断の基準になるというのが当たり前の世界です。日本でも、宗教の持つ価値観、例えば平和とか福祉とか、教育に力を入れるとか、環境を重んじるとか、そういう普遍的な、どの人々にもどの世界にも通用する理念を政治の中でどう実践していくかを尊重して見ていくことが大事だと思います。


――全国の組織がしっかりしていることも、小さな声を聴く上ではよいことですよね。

創価学会も全国ネットの組織ですから、公明党の議員がまさに全国津々浦々にいらっしゃるわけですね。地方議員、市区町村の議員、都道府県のレベルでもいます。国会議員は、衆議院、参議院にもいるわけです。この議員全体のネットワークが公明党の特徴です。

例えば、教育を無償にすることは国だけではできないんですね。自治体がそれぞれ取り組まなければいけない。それを一体としてできるのが強みです。市会議員さんが聴いたこともすぐに国会議員に伝わってくる。また、国会議員が地方でやってもらいたいこともすぐお伝えして、連動して動いていく。ここが最大の強みだと思います。

公明党東京都本部=東京都新宿区南元町、朝日新聞社ヘリから、迫和義撮影
公明党東京都本部=東京都新宿区南元町、朝日新聞社ヘリから、迫和義撮影 出典: 朝日新聞

若い世代への資源配分を増やしていく

――ここからは、若者政策についてお伺いします。どの政党も子どもや若者を大事にすると言っていますが、公明党は他党と比べてここが違うという点はどこでしょうか。

取り組み全体の視点が違うかもしれません。子どもをしっかり大事にすることを社会全体で取り組んでいく。そこが将来の日本社会の基盤を強くすることにつながるという基本的な考え方があります。

例えば、公明党は「子どもマニフェスト」というのをずいぶん前からずっと作っている。これを一貫してやっているのはたぶん公明党だけではないかと思います。主権者をしっかり育てていく。そこに具体的な児童手当を重ねながら、教育の無償化をしていこう。教育に負担がかからなければ子どもを産み育てやすい。そういうことが全体の社会保障の基盤を整えることにもつながっていくわけです。そうした大きな視点で取り組んでいるところが違うと思います。


――今のお言葉を聞いて、すごく心強いなと思いました。私はいま28歳で結婚や出産を考える年齢ですが、今の子育て環境を見ると相当お金がかかるなと思って、今はまだ不安で産めないと感じてしまいます。政治が高齢者の世代や上の世代ではなくて、子どもたちや未来の子どもに向くためにはどうすればいいと思いますか。

政府の保険や税制を通じて入ってきたものをどれだけどの世代に振り分けていくかという大きい視点でいうと、今まではどちらかというと高齢者向けの政策が多かったわけですね。公明党は社会保障と税の一体改革の議論をしたときに、子育てを社会保障の柱として位置づけるべきだと強く訴えました。ここが一つの柱として確立したわけです。ですから、大きな方向性としては、若い世代に対する資源配分をこれから増やしていくということだと思います。


――どうしたらできると思いますか。

社会全体がそういう理解を持つことがまず大事ですね。高齢者の皆さんを支えているのは、若い現役世代の方。その現役世代が少子化によってどんどん細くなっている。これでは自分たちも未来が危ういわけですね。だから自分たちの最低の保障を確保した上で、未来の若い世代、子どもたちを応援しようという理解を持っていただくことがまず大事です。

公明党は若い世代に向けた具体的な政策をいろいろとやってきました。例えば幼児教育の無償化は最近実現しましたね。それから不妊治療の公費助成、保険適用も目途がつきました。いま盛んに訴えたいのは未来応援給付ということで、0歳から高校3年生ぐらいまでの世代に、一律1人10万円を差し上げよう。これは所得制限なしで、親の所得で分断しない形でやりましょう。

そうすると、高齢者の方は自分たちはもらえないのかとおっしゃるわけですね。だけど、国債を発行してそれをどう使うかという考え方に立つと、将来返すのは誰か。誰が負担するのかということを考えると、未来の人たちを直接応援して、自分たちは他の保障があるから控えておこうと。そういう理解の下に若い人たちを応援する給付をやろうという国民全体のコンセンサスをつくりたいと思っています。

公明党の斉藤鉄夫氏(左)から「緊急経済対策に関する提言」の申し入れを受ける安倍晋三氏。対策には「1人10万円」の現金給付も盛り込まれた。右は同党の石田祝稔政調会長=2020年3月31日午後2時27分、首相官邸、福留庸友撮影
公明党の斉藤鉄夫氏(左)から「緊急経済対策に関する提言」の申し入れを受ける安倍晋三氏。対策には「1人10万円」の現金給付も盛り込まれた。右は同党の石田祝稔政調会長=2020年3月31日午後2時27分、首相官邸、福留庸友撮影 出典: 朝日新聞

山口代表はいつ辞めるのか

――すぐに実行してほしいです。一方で政治の意思決定者に若い人がいないことも問題だと思っています。すごく失礼な質問ですけれども、山口さん自身はいつ代表を辞められるとか、そういうことは決めていらっしゃいますか?

いつ辞めると決めても、そのとおりになるとは限りませんから、心の中でいろいろ思うことはありますけど、次を担う人をちゃんと育てていく、上手にバトンタッチできる環境を整えていく、これは日頃から努力しているつもりです。


――若者が政治家にアプローチしたいとき、どんな方法があるか教えていただけますか。

公明党の議員は、いつも開かれた形で市民相談に乗っています。特定の場で相談を受けることもありますし、電話や連絡先を公開して「相談いつでもどうぞ」という場合もあります。隣近所の公明党の支持者を通じて紹介されて、具体的な悩みや相談事を聴く場合もあります。SNSを使って双方向で声を届けることが可能なやり方をしている人もいます。そういう場を通じてアプローチしていただけるとありがたいですね。


――選挙が近いですけれども、衆議院選挙で若い人は公明党に入れたほうがいいでしょうか。

絶対に入れてもらいたいと思います。公明党は、若い人の生の声を実際に聴いて、政策にして訴えている政党です。頭で考えた、あるいは学者さんや評論家に聞いたことを掲げる政党ではないんです。そういう意味でリアルさがあると思います。

また、公明党は与党ですから政策実現力があります。そして説得力、ここが大事なんですね。自民党と交渉する、あるいは政府と交渉する。そこも現場の声という根拠をしっかりした上で、財源も配慮して訴えていく。ここが与党として長年の経験から得たノウハウなんです。

公明党の山口那津男代表(左)と連立合意のサインを交わす自民党の岸田文雄総裁=2021年10月1日午後3時24分、国会内、上田幸一撮影
公明党の山口那津男代表(左)と連立合意のサインを交わす自民党の岸田文雄総裁=2021年10月1日午後3時24分、国会内、上田幸一撮影 出典: 朝日新聞

岸田内閣とはどう付き合う?

――自民党との関係性も気になるところです。こういうことがあったら連立を解消するとか、決めていらっしゃるポイントはありますか。

解消するつもりでやってませんから、決めてません。連立を組んだのは、公明党から見て政策実現しやすいからという実利的なことだけではないんです。日本の政治が安定して、国民の求める政策を実現していくにはどうするか。連立の組み合わせは何がふさわしいか。いろいろ検討してたどり着いたわけです。


――自民党とは多少考え方が違ってきたとしても、政治がねじれてたりすると何も決まらないから、安定のためにやるという感じですか。

安定がなければ、国民の皆さんが不幸になる。いつどうなるか分からないと信頼できない。将来の設計ができない。外国から見ても日本の政権はいつ変わるか分からないから交渉なんかできない。それで日本の政治は随分損したんですね。だから安定は大事です。けれど、連立ありきではないです。その基は国民の皆さんの信頼、ここが一番大事です。


――自民党だと、誰に電話するんですか?一番は総理ですか?

私の立場からすると総理が多くなると思います。時々電話しますよ。党の代表の立場で違うポジションの人に言うと、どうして来たのかとびっくりされる場合もあるかもしれませんので。折に触れて、ここは確かめておかなきゃいけない、ここは聞いておきたい、あるいはこっちから伝えたい、そういう電話はします。


――自民党に選択的夫婦別姓を説得してほしいです。

公明党は一貫して選択的夫婦別姓を主張してきました。でも自民党は、最初は日本の家族観とは相入れないということで、真っ向から反対でした。でも、長年粘り強く訴えてきましたから、だんだん変わってきましたね。自民党の中にも認めるべきだという人も出てきました。

私は最近こう申し上げてるんです。国際化が進んで日本で暮らす外国人も増えました。1人の人がいろいろな名前を名乗ることも当たり前になってきました。夫婦別姓の国から来て、そういう暮らしをしている人も多いです。

もう一つは、日本は一人っ子が増えましたね。一人っ子同士で結婚する場合もあります。由緒正しい歴史のある名前を持っている人がいますね。この名前を残したい、この氏を残したい、でも1つしか選べない。そうすると困るわけですよ。ですから、そこは話し合ってどちらかを選択できる、あるいはいずれも選択できる、そういう時代が来ているということを自民党の人に申し上げるんです。そうすると、お堅い人たちもだんだん考え方が変わりつつある。


――岸田内閣が誕生しましたが、どう見ていらっしゃいますか。

岸田さんは自民党の派閥、政策集団の中では宏池会というグループ、伝統的なグループですね。特に官僚出身の方が多かった。官僚の世界の人たちは、堅い部分もあるけれども、いろいろバランスを取ってものを見るという部分もありますから、また一味違うものがあるだろうと思います。

特に今訴えられていることの中で見ると、例えば核兵器禁止条約については、もう少し柔軟に、核兵器のない世界をつくるという心を受け止めて推進したいというお考えをお持ちでしょうから、われわれとも合うと思います。

それから成長と分配、新しい経済政策といってますね。資本主義なので成長も大事なんです。これがなければ分配できません。けれど、成長した分が本当に分配に適切に回っているか。分配が弱いと次の成長のエネルギーになりきれないところがある。

だから、好ましい循環をつくることが大事。分配にもう少し配慮したほうがいいというのが岸田さんのお考えです。公明党も近い思考ですので、特に子育てや若い世代への分配を重視して力を合わせていきたいと思っています。


――最後に、私は有権者として、自民党の政治と金の問題が一番気になります。甘利明さんが本当に幹事長としてふさわしい人物だとしたら、お金のことをちゃんと説明してほしいです。それは公明党から強く言ってもらいたい。何とかしていただきたいです。

政治家は問われたことにはきちんと説明する姿勢が大事だと思います。甘利さんには甘利さんの言い分があると思いますが、それが国民にちゃんと伝わるようにお話ししていく、対応していくことが大切だと思います。

ただ、政治全体は一つの個別の政策ではなくて、国全体や国際社会との関わりなどいろいろな要素がありますから、総合力がとても大切だと。それから、意見は違うけれどもまとまっていく求心力も大事だと思います。そういう点でも公明党が自民党と連立政権を組みながら、アクセルもブレーキも使い分けながら正しい方向に向けていきたいと思ってます。

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