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連載

#38 「きょうも回してる?」

お弁当の〝ぬいぐるみ〟ガチャに「絶対に売れない」と言われても作る

今年4月に発売したクオリアの「お弁当のぬいぐるみ」=いずれも筆者撮影
今年4月に発売したクオリアの「お弁当のぬいぐるみ」=いずれも筆者撮影

目次

ぬいぐるみをガチャガチャにする試みは、流通やコスト面からオリジナル商品は特に敬遠されてきました。それにここ数年、挑戦しているメーカーがあり、ヒット作も生まれています。発売に踏み切った背景を、ガチャガチャ評論家のおまつさん(@gashaponmani)が取材しました。
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ガチャガチャ評論家おまつの「きょうも回してる?」

利益度外視でも貫く思い

ガチャガチャ専門店はここ2~3年の間で、ショッピングモールなどに100店舗以上出店しています。ガチャガチャが好きな人だけではなく、興味がなかった人まで専門店に目がいくようになり、ガチャガチャが日常生活に浸透するようになってきました。

毎月250アイテムの新商品が発売されるなか、オリジナル商品では5万個売れればヒット、10万個売れれば大ヒット商品と言われています。そのなかで、異例の大ヒットとなった商品が、オリジナル商品を作り続けるクオリアの「ネコのペンおき」です。シリーズ累計の販売数は120万個となり、多くのメディアから注目を浴びました。

大ヒットを飛ばしたクオリアが、次に挑戦したのはぬいぐるみです。

今まで、アニメやマンガなどのキャラクターをぬいぐるみにしたガチャガチャは他社からありました。しかし、オリジナルのぬいぐるみは珍しいです。

なぜなら、わざわざ商品にしなくても、ぬいぐるみは動物園や水族館などの売り場で販売しているほか、アミューズメントパークでも置いてあるからです。また200~300円での販売は、生地、縫製、サイズなどを考慮するとコスト面からなかなか難しい面もありました。

クオリアが当初、ぬいぐるみの企画を立てた時に、ある人から「ぬいぐるみは水族館など、あらゆるところで物販を中心に売っているから、絶対に売れないよ」と言われたそうです。

「確かにぬいぐるみは利益率が高くないです」と語るのはクオリア代表の小川勇矢さんです。しかし小川さんは「良い商品を作ると販売数が多くなると信じています。そして、続けていくことで、お客様からクオリアは良い商品を作っているメーカーだと認知してもらえます」と続け、ぬいぐるみの商品化を決めた理由を語ってくれました。

クオリア代表の小川勇矢さん
クオリア代表の小川勇矢さん

クオリアのぬいぐるみは一からデザインを起こし、生地や縫製まで徹底的にこだわります。そのこだわりから誕生したのが、2019年8月に発売したぬいぐるみシリーズ第1弾「サメのぬいぐるみ」です。実際、発売したら、思った以上に評判が良く、サメのぬいぐるみはシリーズ3まで発売しています。さらに、「マジカルユニコーンマスコット」「野鳥が生まれるたまごのぬいぐるみ」「ふわふわぬいぐるみ~海のいきもの~」など、生きものにフォーカスしたぬいぐるみを次々に販売していきました。

その結果、良い商品を作り続けていくと、お客様がついてくると小川さんが言った通りに、9月時点でぬいぐるみシリーズは累計販売数が120万個となり、クオリアの看板商品となりました。

シリーズ3まで発売している「サメのぬいぐるみ」
シリーズ3まで発売している「サメのぬいぐるみ」

サイズ感と刺繡にこだわり

生きもののぬいぐるみシリーズから新たなジャンルに挑戦したのが、今回紹介する「お弁当のぬいぐるみ」です。

ぬいぐるみシリーズのなかでも、お弁当のぬいぐるみは累計販売数約20万個となり、断トツの人気商品です。今年4月の発売ですが、事前情報を発表すると、「どこに置いてあるのですか」という問い合わせが約200件もあったほど、注目が集まりました。

お弁当のぬいぐるみは、おにぎり、卵焼き、ブロッコリー、タコさんウインナー、エビフライ、リンゴの6種類
お弁当のぬいぐるみは、おにぎり、卵焼き、ブロッコリー、タコさんウインナー、エビフライ、リンゴの6種類

特徴はカプセルから飛び出てくるほどのボリューム感です。カプセルサイズは一番大きいと言われる75㎜になっています。お弁当の具がカプセルにギューギューに詰めこまれている姿は愛おしく、カプセルを開ける前から楽しさがあふれています。

そして、ガチャガチャを回してカプセルから取り出した時のボリューム感には驚きを隠せません。

小川さんは「売り場のDP(ディスプレイポップ)のイメージよりも、お客様は『300円でこんなにでっかいんだ!』と喜んでもらえるように、サイズ感を大事にしています」と教えてくれました。

カプセルにギューギューに詰めこまれた、お弁当のぬいぐるみ
カプセルにギューギューに詰めこまれた、お弁当のぬいぐるみ

また、目や模様の刺繡はプリントでなく、ちゃんと縫われています。生地もモコモコふわふわな肌ざわりを追求していて、良い商品を作りたいというクオリアの想いが詰まっています。

ラインナップを決める際に、カラーバリエーションも重視していると小川さんは言います。全体的な色のバランスを大事にしたうえで「可愛く、かつ集めたくなるものを考えたときに、1個1個お弁当の具を連想できるようにラインナップを決めました」(小川さん)。

このお弁当のぬいぐるみの見どころは、なんとも言えない可愛い表情と形状をうまく表現している点です。実は、最初の試作は「むちゃくちゃ可愛くなかったんです(笑)」と小川さん。ぬいぐるみの修正は形状的にフィギュアより難易度が上がるのですが、何度も修正を重ねて、今の可愛らしい顔と形になったそうです。

何度も修正を重ねてできあがった
何度も修正を重ねてできあがった

アレンジできる楽しさ

お弁当のぬいぐるみは、買ってから独自の表現ができるところも魅力です。SNSでは、購入したときに卵焼きが三つかぶったことで、「すげー、私だけ栄養素が偏っている!」といったコメントがあったそうです。それだけ、アレンジできる楽しさがお弁当のぬいぐるみにはあります。

小川さんが、ぬいぐるみシリーズで大切にしていることは「シンプルさ」です。説明が入らずに、見ただけでわかることを大事にしています。

ぬいぐるみシリーズが成功した理由を尋ねると、「あの商品が売れているから、うちも作るというやり方はあまり好きではありません。やりたいことをやる。それが形になってきました。その一つがぬいぐるみシリーズです。他のメーカーがやらないことをクオリアがやっていきたい。利益目的によりも、お客様に喜んでもらえれば、後から利益がついてきます」と笑って話してくれました。

クオリアのぬいぐるみシリーズをきっかけに、売り場ではオリジナルのぬいぐるみを販売するメーカーが増え始めてきました。まさにクオリアは、ガチャガチャ市場にオリジナルのぬいぐるみという新しいジャンルを築きあげたと言えます。

     ◇

お弁当のぬいぐるみは、おにぎり、卵焼き、ブロッコリー、タコさんウインナー、エビフライ、リンゴの6種類。1回は300円。

ガチャガチャ評論家おまつの「きょうも回してる?」
この連載は、20年以上業界を取材しトレンドをチェックしているおまつさんが注目するガチャガチャを毎週金曜日(原則)に紹介していきます。

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ガチャガチャ評論家・おまつ(@gashaponmani
ガチャガチャ業界や商品などをSNSで発信中。著書に「ガチャポンのアイディアノートーなんでこれつくったの?ー」(オークラ出版)。テレビやラジオなどのメディアへの出演や素材提供も多数ある。
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