連載
#74 #小山コータローの4コマ劇場
迷子センターに珍客「あら、迷子」と思いきや 「あなた三年前の!」
蹴りを付けたい自分、みせるマンガ
迷子の思い出と言えば、そうですね…小学校低学年の時、家族で初めて遊園地に行ったことを思い出します。
まず、ついて早々に母が「ジェットコースターにのりた〜い!」とウキウキで言い出しましたが、父も姉も僕も絶叫系がダメだったので(そもそも身長制限でダメだったとは思うけど)そんな態度に腹を立てた母が「もういい!一人で乗ってくる!」とジェットコースターに向かって走りだしました。
感情の起伏がすでにジェットコースターでした。
もちろんだれも追いかけず、一人でジェットコースターに乗る母を下から3人で眺めるという遊園地デビュー。
その後、安全が確保された乗り物だけを乗り回した僕らはフラフラと遊園地内を歩いていました。
僕は、今もそうですが地面を見ながら歩く癖があり、気がつくと既に家族の姿がありません。
「神隠しだ!」 そう思いましたが、大人二人を含む3人が神隠しなんてあまり聞かないなと思い「僕が迷子なのでは?」と発想の転換をしました。
すると急激な不安が押し寄せてきます。
元々内向的な少年だったのでどうしていいかわかりませんでしたが、しばらくウロウロして、もうダメだと思い勇気をだして前方から歩いてくる見知らぬ男女カップルに声をかけました。
「…すいません、あの、僕、今迷子になっちゃって」 と言い終わる寸前にそのカップルの向こう側に我が家族を発見してしまいました。なので結果的には「…すいません、あの、僕、今迷子になっちゃってるんですけどあそこに家族がいます」と無理矢理和訳したかのような家族紹介アットホームボーイを披露してしまいました。
文法迷子だったのかもしれませんね。
<こやま・こーたろー>
漫画家。「違和感」を作風とし、漫画家のSNS「コミチ」やTwitterで毎日4コマ漫画を発信中。前後関係を無視したセリフや、突拍子もない理不尽な展開が得意。初の書籍「デリシャス・サンド・ウィッチーズ」(扶桑社)発売中。Twitterアカウントは@MG_kotaro。
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