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「自己顕示欲」高めのカイカムリ 「自分の名前」背負う人間味ある姿

「他にも貝あるのにずるくない?」

種名板を背負う「3代目」=ニフレル提供
種名板を背負う「3代目」=ニフレル提供

目次

外敵から身を守るために貝などを背負うことで知られるカイカムリですが、あえて「自分の名」を選ぶ姿の展示が、話題を集めています。他にも選択肢はあるのに、なぜ、わざわざ、そのチョイスに? 水族館に〝謎の習性〟について聞きました。

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「人間並みの自己顕示欲」

話題になったのは、大阪府吹田市のエキスポシティにある「生きているミュージアム NIFREL(ニフレル)」で飼育している、「カイカムリ」です。

全長10センチぐらいに成長するカニの仲間で、後ろの4本の足で、ホヤやカイメンなどを背負う「技」を持ちます。

外敵から見つかりにくくするためのカムフラージュだと言われています。

ところが、ニフレルに展示されているカイカムリは、一風変わっています。水槽内には背負えそうな色とりどりの貝殻が置いてあるのに、このカイカムリが背負うのは自分の名前が書かれた「種名板」。

体をすっぽりと覆うような大きさの種名板には、こう書かれています。

背負います 貝・ホヤ・海綿 種名板

カイカムリ 
英名:Japanese sponge crab
学名:Lauridromia dehaani

ツイッターでは「他にも貝あるのに、それ背負うのはずるくない?」「看板を背負って立つとはまさにこのこと」「自己紹介を積極的にしてる」「人間並みの自己顕示欲」と注目が集まっています。

後ろの足を使って種名板を背負うカイカムリ=ニフレル提供
後ろの足を使って種名板を背負うカイカムリ=ニフレル提供

気分に合わせて

どうして看板を背負っているのか、ニフレル広報担当、西前綾子さんに聞きました。

ニフレルでは2015年11月の開館当初から、カイカムリを展示しています。

砂に隠れたり、水を噴いたりといった、「技」を持つ生き物を紹介するコーナーの一角にカイカムリの水槽を設置し、カイカムリの背負う技を見てもらえるように、いくつも貝殻を入れてありました。

しかし、カイカムリは「種名板」に目をつけました。種名板はどの水槽にも入っているもので、カイカムリに背負わせるために置いた物ではないそうです。

「種名板を背負っている姿は、職員の間でも『ユニークだね』と話題になっていました。ずっと背負っているわけではなく、時間帯によって、種名板だったり、貝殻だったり。気分にあわせて変えているようです」

ほかにも、背負える貝があるものの、提供用の画像を撮影に行ったこのときも、背負っていたのは「種名板」だった=ニフレル提供
ほかにも、背負える貝があるものの、提供用の画像を撮影に行ったこのときも、背負っていたのは「種名板」だった=ニフレル提供

母の背中を見て

ニフレルで飼育しているカイカムリは代々、この「種名板」をなぜか気に入って背負ってきました。

現在、展示されているのは、まもなく1歳を迎える「3代目」のカイカムリ。昨年の7月28日にニフレルで生まれたオスです。種名板を背負う母の「背中」を見て育ちました。

脱皮を繰り返して、種名板を背負えるまでの大きさに成長した3代目は、やはり、種名板を背負い始めたそうです。

「種名板」を3代目が背負う瞬間の様子を、先日、初めて撮影することにも成功しました。「背負って歩いている所はたびたび見ていましたが、背負う瞬間を見るのは待望のことでした」

日本の沿岸に生息しているカイカムリは、身近な生き物です。しかし、水族館では目立つ生き物の影に隠れて、スポットが当たることはあまりありません。

小さな生き物のユニークな生態も見てもらいたいと、ニフレルでは趣向を凝らしており、今年のお正月には干支の「丑」のプレートも入れてみたところ、背負ってくれたそうです。

反響について、西前さんは「生態を知ってもらえるきっかけになったのはうれしいです」と話しています。

今年の正月には「丑(うし)」のプレートも背負ってくれた=ニフレル提供
今年の正月には「丑(うし)」のプレートも背負ってくれた=ニフレル提供

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