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連載

#96 ○○の世論

都議選が突きつけた自公の限界 選挙協力うまくいったのは…どこ?

共産との連携、試される立憲の本気度

小池百合子東京都知事が載っている都民ファーストの会のポスター=2021年7月4日
小池百合子東京都知事が載っている都民ファーストの会のポスター=2021年7月4日 出典: 朝日新聞

目次

秋までに行われる衆院選の前哨戦として注目された7月の東京都議選。自民党と公明党は選挙協力を復活させ、立憲民主党と共産党は候補者のすみ分けをしてのぞみました。与野党ともに、次の戦いへの展望は開けたのでしょうか。出口調査の結果を分析しました。(朝日新聞記者・磯部佳孝)

自公の選挙協力 効果と限界

自民は、都議会第1党の座を都民ファーストの会から奪い返しました。しかし、自公が獲得した議席は告示前の48から56に増やしたものの、目標としていた都議会の過半数64には届きませんでした。

前回、4年前の都議選では公明はそれまでの自民との選挙協力を解消して、小池百合子都知事率いる都民ファーストの会と連携して選挙を戦いました。今回は、政策協定を結んで徹底した自公の選挙協力の効果はどうだったのでしょうか。

朝日新聞社は、共同通信社、日本経済新聞社、東京MXテレビと合同で出口調査を行いました。全42選挙区のうち、無投票となった小平市選挙区を除く41選挙区の計543の投票所で、投票を終えた有権者を対象に調査し、2万1185人から有効回答を得ました。

公明候補が不在の20選挙区について、公明支持層がどの政党の候補に投票したかを前回と比べてみると、公明支持層の「自民回帰」が鮮明になりました。

 

今回、公明支持層の投票先は自民が82%でした。都民ファは11%にとどまりました。

一方、前回は、公明候補がいない21選挙区で公明支持層の投票先は、都民ファが68%で、自民は17%でしたので逆転しています。

公明候補不在の20選挙区では、11人の自民候補が当選しました。同じ20選挙区で前回の自民候補の当選者は6人でしたので、倍増しました。自民候補の得票率は20選挙区すべてで前回より増えました。公明支持層が自民候補に票を集めた結果と言えそうです。

自民と公明は1999年に連立政権を組んで以来、都議選を含むさまざまな選挙で協力してきました。衆院選の小選挙区では、公明支持層の7割前後が自民候補に投票する一方、自民候補に「比例区は公明」と連呼させることで公明の比例票を積み増す、といった選挙協力を続けています。

今回の都議選では、自公の選挙協力の効果を改めて見せた半面、その限界も垣間見えました。

公明候補不在の20選挙区のうち、自民候補が敗れたのは9選挙区。このうち、1人区の武蔵野市、小金井市、2人区の文京区、渋谷区、日野市、三鷹市、の計6選挙区は、立憲と共産が候補者調整を行い、野党候補が一本化した選挙区です。残りの3選挙区(いずれも1人区)は、都民ファの候補に敗れました。

自公の選挙協力によって、お互いの支持層を固めるだけでは勝ちきれない現状がうかがえます。

立共の共闘 支持層に温度差

一方の立憲と共産は、21の選挙区(無投票の小平市はのぞく)で、候補者を一本化しました。結果は12勝9敗でした。

内訳は、立憲の候補者に絞った7選挙区は5勝2敗。5勝はすべてトップ当選でした。

共産に絞った12選挙区は5勝7敗。うち2つの選挙区でトップ当選でした。

そのほか、立憲などが推薦した無所属と東京・生活者ネットの候補がそれぞれ当選しました。

議席数は、立憲が告示前の8から15に、共産も18から19に増やしました。

今回の共闘は、一定の成果をあげたといえます。裏を返すと、共闘をしていなければ、共倒れになっていた選挙区が増えていたともいえるでしょう。

立憲候補が不在だった12選挙区で立憲支持層がどの政党の候補に票を入れたのか。また、共産候補が不在だった7選挙区で共産支持層がどの政党の候補に投票したのか。出口調査の結果を分析してみます。

 

立憲候補不在の12選挙区をみると、立憲支持層で、共産候補に投票したのは51%でした。残りは、都民ファ23%、無所属15%に流れました。選挙区別にみると、府中市(定数2)では、共産候補よりも無所属候補に多くの票が集まりました。墨田区(定数3)では、共産候補よりも都民ファ候補に投票したと答えた人が多い結果でした。

 

一方、共産候補不在の7選挙区をみると、共産支持層で、立憲候補に投票したのは77%にのぼりました。次いで都民ファの15%でした。7選挙区すべてで、共産支持層が最も多く投票したのは、立憲の候補者でした。

立憲支持層は、共産支持層とくらべると野党共闘に熱心ではない――。今回の調査からはそんな温度差が垣間見えました。とくに、府中市のように、かつての都議選で民主党(当時)の候補が議席を守っていた選挙区では、共産候補に投票したと答えた立憲支持層は少なめでした。

与野党に重たい宿題

自公と立憲・共産それぞれにとって、今回の都議選は、選挙協力の効果と限界が見えた選挙となりました。

自公にとっては、長年の選挙協力による強みを再確認できた一方で、支持層以外の取り込みの必要性を感じさせる結果でした。とくに特定の支持する政党をもたない無党派層の票をどう獲得するかが課題です。

今回の調査で、無党派層がどの政党の候補者に投票したかをみると、都民ファが25%でトップでした。自民は15%で、立憲15%、共産16%とほぼ並んでいます。無党派層の菅内閣の支持率は24%にとどまり、不支持率は73%に達しています。今後、新型コロナウイルスや東京五輪・パラリンピックをめぐる対応で無党派層の支持を得られるかが試金石となりそうです。

立憲・共産にとっては、共闘効果で議席を上積みできたものの、お互いの支持層に共闘への温度差があることがわかりました。次の衆院選に向けて、立憲と共産は現在、約70の小選挙区で候補者が競合しており、候補者調整は都議選以上に難題となるでしょう。とはいえ、立憲の支持団体である連合内に共産との共闘に根強い異論があるなかでも、都議選では共産候補に一本化した選挙区で、立憲支持層の2人に1人が共産候補に投票しました。この重みをどう考えるか。政権交代をめざす立憲の本気度が問われています。

直後の国政選挙の先行指標といわれる都議選。迫る政治決戦を前に、与野党双方に重たい宿題を出したといえそうです。

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