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「修正対象」と思わされた体型、マリアナさんがNIKEモデルになるまで
不健康、運動ができない…「体型への偏見をぶち破りたい」

やせればきれいなのに――。プラスサイズモデルのMariana(マリアナ)さんは、親族や友人からそんな風に言われ続け、体型にコンプレックスを抱えていました。しかし「ボディポジティブ」の考え方に出会ったことでモデル活動をスタートし、ナイキジャパン(NIKE)のフィットネスウェアのモデルにも選ばれました。「私の体型はダイエット前のBeforeの体型ではなく、すでに素敵な完成形。ぽっちゃりでも幸せに生きる証しになる」と訴えるマリアナさんに、話を聞きました。
「やせなきゃ」と思い詰めていた
マリアナさんは物心ついたときから、親族にそう言われ、自分の体型に自信がなかったそうです。
「日本って家族や親族からボディシェイミング(人の見た目をあざけること)を受けることが多いんです。私も自分の体は他の子と違っていやだなと思っていました」

永遠に終わらない「やせろ注文」
「もうこれでまわりも黙るだろう」と〝ドヤ顔で〟報告。しかし、「次は太ももだね」と指摘されたそうです。
「自分の中にも『やせれば幸せになれるんだ』というファンタジーがあったんです。でも、このとき何かがプツッと切れました。周りにあわせてやせようとしていると、永遠に『やせろ注文』は終わらないなって」
体を動かす楽しさ
ダンスやヨガのスタジオでは、インストラクターが「やせる」を目標にするのではなく、「時間いっぱい最後まで頑張ろう」「頑張ってくれた自分の身体に感謝しよう」と言ってくれたことが大きかったそうです。

「人より大きな体型かもしれないけれど、ヨガで体を伸ばしたりトランポリンエクササイズで跳ねまくったりする身体能力はある。『やせるにフォーカスしなくたっていい』と、目からうろこの気づきでした」
日本でもボディポジティブを広めたい
桃果さんにあこがれ、事務所のオーディションに応募して合格。3年前から会社員と二足のわらじで活動を始めました。
豊富なカラーリングとデザインで毎日を彩る、新しいナイキ ヨガ コレクションが登場🧘♀️ワークアウト中はもちろん、マットから離れてリラックスする時も、身体と心に優しくフィット。
— Nike Japan (@nikejapan) May 24, 2021
「ファッション業界にはプラスサイズの概念が広まってきていますが、それをフィットネス界にも広めたいと思っていたんです」
やせるだけが運動じゃない
「やせるだけが成功基準だったら、思ったような成果が出なくて運動習慣をなくしてしまう人もいるかも。それってもったいないですよね」
デブ?
— Mariana @GlaPocha | プラスサイズモデル | Nike Japan広告登場中 (@Mariana_lysxo) May 26, 2021
見苦しい体?
運動しろ?
あらそう、それではトレーニングさせていただくので、そのお口をパンチングボール代わりに、おかりできるかしら?
ちょうどボクシングジム以外でできるパンチングボール探してたのよね〜 😇#ボディポジティブ #ボディシェイミング #ぽっちゃりだって運動好き pic.twitter.com/1So39ensWn
「身をもって経験したからこそ、『やせるだけが運動じゃないよ』と伝えたかった。だから名門フィットネスブランドからこんな風に声をかけてもらえるなんてびっくり。ひとつ夢が叶いました」
すでに「運動をし続けるNowの体型」
それに対して、マリアナさんは
私の体型は、「これから痩せるように頑張る」という修正対象のBeforeの体型ではなく、
— Mariana @GlaPocha | プラスサイズモデル | Nike様に起用されたぽっちゃりです (@Mariana_lysxo) May 30, 2021
「これまでも、これからも、運動や他の好きなことをし続ける」というNowとFutureの体型で、既に素敵な完成形です。
そこをお間違いのないよう、宜しくお願い申し上げます😘#bodypositive #ボディポジティブ
とつぶやきました。
「修正対象の体型」ではない
しかし「写真1枚だけで、健康かどうかなんて分かりませんよね」と指摘します。
「多いときは週3~4回、ボクシングジムへ行って汗を流し、時間があるときにはマーメイドスイムやスタンダップパドルもやります。そんなアクティブで生き生きとした自分は、自信を持って健康だといえます」
「隠さず、好きに着ていいんだよ」
自分に合う洋服のサイズがなくて悩んでいる、日本に住む外国人からもポジティブな反響があったといいます。
「隠さずに、かわいいウェアを好きに着ていいんだよと伝わったらうれしいです」
偏見をぶち破る存在になる
運動ができない、やぼったくみえる、おしゃれができない……そんな偏見を、マリアナさんは「ぶち破っていく存在になりたい」と話します。
「ぽっちゃりでもプラスサイズでも、運動やファッションを思いきり楽しんで、こんな風にアクティブに生きていけるという証しになります」
「顔が丸く見える・歯茎が見えるから、大きく笑わない方がいい。」
— Mariana @GlaPocha | プラスサイズモデル | Nike Japan広告登場中 (@Mariana_lysxo) February 26, 2021
「顎ラインがシャープに見えるよう、微笑むくらいが丁度良い」
昔は他人にこんな事を言われ、満面の笑顔をするのを躊躇してた時があった。
今は、何か嬉しい事、幸せな事があって笑いたくなったら、思う存分笑うが一番だと思ってます pic.twitter.com/XKlWoAli0X
「例えばお化粧をするときも『自分の目は小さいから大きくしよう』と否定せず、『この目が素敵だから強調させよう』と自分を肯定する声をかけていってほしい」
特に、同世代に「親」となる人が増えてきたからこそ、自分の子どもに対して「見た目を否定するようなことを言わないでほしい」と伝えていきたいと考えています。
「海外のトレンド」にとどまらずに
親近感を持てるアジア人の「ロールモデル」がおらず、「海外でのトレンド」にとどまっていたからではないかと今は振り返っています。

英語が堪能なマリアナさんは、韓国のプラスサイズモデルとも交流があり、日本語・英語の両方で「ボディポジティブ」を発信しています。
「日本と韓国社会の〝美〟の基準が似ていて、アジア人としても共感し合えるところがあります。日本国内のつながりも大事だけど、さまざまな国やいろいろな文化を知っている人と手をつないで、一丸となって活動できればいいですね」