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「木で彫った水滴」どうやって作った?作者の「超絶技巧」に驚きの声

「よく見たらヒェッ」作者の超絶技巧に驚きの声、さらに「主役は別にいるんです…」

木の板に水滴がたれているようにしか見えないけれど…
木の板に水滴がたれているようにしか見えないけれど… 出典: 福田亨さん提供

目次

「木で水滴を彫りました」。こんな不思議な言葉とともにツイートされた写真が話題を呼んでいます。水滴を見事に表現した木工作品に「よく見たらヒェッ」「いやこれ本当にすっごい」と驚きの声が寄せられています。ところが、実はこの作品、まだ未完成なのだそう。いったいどういうこと? 作者に話を聞きました。

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「よく見たらヒェッ……ってなった」

水滴を作ったのは北海道の音威子府村(おといねっぷむら)に住む木工作家、福田亨さん(26)です。

板の上に水滴がたれているように見える木工作品の写真とともに、「木で水滴を彫りました」とツイートしました。

この投稿は、SNS上でまたたく間に反響を呼びました。

「俺の頭が悪いから理解出来てないのか」
「レベルが高すぎて頭がついていけない」
「最初は何いってるか分からんかったけど、よく見たらヒェッ……ってなった」
「理解するまでに15分かかりました」
「いやこれ本当にすっごい」

作品のリアルさと、目を引く言葉遣いに、福田さんのツイートには13万件を超す「いいね」がつきました。

いったい、どうやって作ったのか――。福田さんが取材に応じてくれました。

1.5ミリの水滴部分を残して木材を削る

作品は長さ23センチ、幅10センチの黒檀(こくたん)。堅く、磨くとツヤが出る特徴がある素材です。身近なところでは仏壇などで使われているそうです。

木材の厚さは1センチ余り。「水滴」にする部分を残し、ノミで他の部分を1.5ミリ削り、平らにします。そこが「地面」になり、1.5ミリの高さの「水滴」の原型が現れてきます。

作業中の作品。「水滴」はまだ角張っています
作業中の作品。「水滴」はまだ角張っています 出典: 福田亨さん提供

水滴部分は丸みが帯びるよう彫刻し、紙やすりで丁寧に磨いていきます。最後は「ろう引き仕上げ」。ワックスの要領で、ろうをすりつけた布で水滴部分をこすり、ツヤを出しました。

SNS上の反響に、福田さんは「びっくりした。こんなに反応があったのは初めて」と語ります。これまでの投稿で「いいね」が1万件を超えたことはまれでした。

ところが福田さんは、この作品について「まだ完成していません。途中なんです。主役は別にいるんですよ」と言います。

本当の主役と「透明」へのこだわり

福田さんは虫が大好きです。色や素材の異なる木片をはめ込む木象嵌(もくぞうがん)の手法で、本物そっくりのチョウやバッタを作ってきました。

木の本来の色で表現することにこだわり、着色はしていません。ガの羽の青い部分などは、貝殻をはめているそうです。

話題となった水滴は、「水を飲むチョウ」を作成するための台座でした。主役はチョウ。当初は器に入った水を想定していましたが、シンプルにしずくを表現した方が魅力的ではないかと考え直したといいます。

福田さんは「透明」をいかに表現できるかに心を砕いてきました。今回の台座は、「木目がつながっているので、想像よりも透けている感じが出た」と振り返ります。

制作活動をする福田亨さん
制作活動をする福田亨さん 出典: 本人提供

もともと、家具の製造会社で働いたという福田さん。「家具づくりも好きだが、自分の持っている技術で納得できるものを作りたい」と20歳で作家の道を選びました。「自分しか作れないものを作り、それを望んでくれる人がいたらありがたい」と考えています。

今回、SNS上で思わぬ話題を呼んだことを受け、「私はやっぱり虫が好きなので、水滴ばかり作る気はありません。けれど、水滴へのアプローチは、自分でもしっくり来た感じがあります」と話しました。さて、チョウを乗せた「完成品」、そして「次なる水滴」の出来栄えは――。

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