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「私、他界しました」死後に自動ツイート、開発者の〝前向きな動機〟

「悔いなく生きたい」19歳製作者の思い

日常的に隠されがちな「死」。その概念を、あえて取り扱ったツイッター向けのサービスが、注目を集めています
日常的に隠されがちな「死」。その概念を、あえて取り扱ったツイッター向けのサービスが、注目を集めています 出典: desubotのウェブサイト

目次

ツイッターを使っていて、アカウント主の関係者による「死亡報告」が目に入ることはないでしょうか。自らの死後、ネット上の知人たちに、どうやって最期について知らせるか。SNSが日常に溶け込んだ現代、避けては通れない課題かもしれません。そんな悩みに効くサービスが開発され、話題です。「死と向き合うことで、悔いがない生き方につながるかもしれない」。そう語る、19歳の製作者を取材しました。(withnews編集部・神戸郁人)

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「生存確認」後に遺言を投稿

注目を集めているのは、ツイッター向けのサービス「desubot(デスボット)」です。システムの挙動により、自動的にツイートを投稿する「bot」と呼ばれる機能を活用しています。

最大の特長が、万が一のときに備え、あらかじめツイッター上で流す「遺言」を残せること。自分のアカウント情報を登録すると、140字以内でメッセージを書き込めるのです。

入力画面を見ると、デフォルトで、こんな文言が表示されています。

私、(アカウント名)は他界しました。
長い間お付き合いいただき、誠にありがとうございました!
(@desubotdesu より送信)
desubotのウェブサイト

メッセージは、アカウント主の「生存確認」を経て投稿されます。

スパンは1ヶ月・3ヶ月・6ヶ月・1年のいずれかに設定でき、期間中にツイートと「いいね」の数が更新されないと、botが状況確認のDM(ダイレクトメッセージ)をアカウント主に送信。反応がない場合、遺言が公開される仕組みです。

サービスの完成がツイッター上で報告されるや、話題が沸騰しました。「すごくいいアイデア」「こういうの、ずっと待ってた」などのコメントが、投稿に殺到。27日時点で25万近い「いいね」がつき、8万回以上リツイートされています。

死後に備え、事前に「遺言」となるメッセージを書き、予約投稿することができる(画像を一部加工しています)
死後に備え、事前に「遺言」となるメッセージを書き、予約投稿することができる(画像を一部加工しています) 出典:desubotのウェブサイト

死が自分事になった高校時代

暮らしの中から排除されているようにも思える、「死」という概念に、なぜあえて着目したのか? サービスの開発経緯について、制作者のnwsa / のーささん(@hrqsn)に聞きました。

のーささんは、埼玉県出身の19歳。幼少期からのLEGO好きがきっかけで、もの作りに興味を持ち、プログラミングの技術を独学しました。現在は都内の情報系大学に通いつつ、ゲーム内に、東京ディズニーランドの景観を再現するプロジェクトなどを進めています。

desubotをつくったきっかけの一つが、高校時代の経験です。2年生の頃、パニック障害を発症し、日常生活に困難を感じるようになりました。「このまま死んでしまうのではないか」という不安感を覚え、死を自分事として捉えざるを得なくなった、といいます。

「治療を続ける中で『不安を取り除くのではなく、その裏にある、よりよく生きたいという願いを大切に生きよう』と思えるようになったんです」

「死と向き合うことで、悔いなく、自分らしく生きられるかもしれない。そんな思いから、desubotの制作を決意しました」

ツイッターのアカウントは、持ち主が死亡すると、基本的にそのまま放置されてしまいます。「自らの意思で、アカウントを『土に還(かえ)せる』ような仕組みが必要ではないか」。そう考え、生存確認機能を織り込んだ仕様を発案したそうです。

今年2月26日、のーささんは半日ほどかけ、サービスのプロトタイプを完成させます。そして改良を加え、3月5日に更新版となるベータ版をリリースしました。当初2千人程度だったユーザーは、5月下旬時点で、6千人弱にまで増えたといいます。

あらかじめ設定した期間内に、ツイートや「いいね」の数が更新されないと、botから「生存確認」のメッセージが届く。これに反応がない場合、遺言メッセージがツイートされる
あらかじめ設定した期間内に、ツイートや「いいね」の数が更新されないと、botから「生存確認」のメッセージが届く。これに反応がない場合、遺言メッセージがツイートされる 出典:nwsa / のーささんのツイート(@hrqsn)

「死後のアカウントのお守りに」

ちなみに、死を意味する英単語のつづりは本来”death”ですが、サービスのタイトルでは”desu”ともじっています。これには、取っつきづらい印象をなくしたい、フレンドリーなbotにしたい、という思いをこめているそうです。

そうした心配りもあってか、ユーザーからは「人生について考えるきっかけになった」といった感想が届くことも。「父にプロトタイプを見せたら『やめてくれよ』と言われたので、ニーズがないと思っていたのですが……」と、のーささんは笑います。

システムに関する要望を受ける機会もあり、その都度、機能に反映してきました。「スレッド機能」は、代表例の一つです。長文を流したいとき、ツイートを4本まで連ねて投稿予約できるというもので、好評を博しているといいます。

ツイッターに親しむ人々の、意外な需要を掘り起こしたdesubot。サービスについて、のーささんは、次のように語りました。

「desubotは、他界した本人に代わって、遺言を投稿してくれます。従来は親族や友人に委ねる必要がありましたが、アカウントを引き継ぐことなく、ご自身の言葉で別れを伝えることができます」

「もちろん、メッセージの内容は自由に決めて頂いて構いません。人生について考える一つのきっかけとして、死後のアカウントのお守りとして、お使い頂ければと思います」

【関連リンク】desubotのウェブサイト
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