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「アニーのくれた笑顔、胸に生きる」 台湾列車事故、友人たちの決意

「たとえ平凡でも、笑顔を忘れず、一日一日を大切に生きていきたい」

早稲田大学のダンスサークルで活動していたアニー・チェンさん(左端)とサークル仲間。早稲田祭での発表に合わせ、ボリウッドダンスの衣装を着た
早稲田大学のダンスサークルで活動していたアニー・チェンさん(左端)とサークル仲間。早稲田祭での発表に合わせ、ボリウッドダンスの衣装を着た 出典: 大学の同期提供

目次

台湾の列車脱線事故で命を落とした早稲田大学4年の台湾人留学生、陳品君(アニー・チェン)さん(22)。アメリカ留学をしたり、五輪関連のインターンシップに応募したり、新しい世界へ恐れず飛び込み続けました。大学卒業がひかえる世界各地の友人たちは、癒えぬ悲しみの中、アニーさんの生き方を心に刻み、将来を思い描いています。(withnews編集部・小川尭洋)

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「アニーは大空で見てくれている」

事故から2日後の4月4日深夜。facebookに、アニーさんの写真が、家族によってアップされると、200を超えるリアクションやコメントが寄せられました。「いつも優しくしてくれてありがとう」「どうか安らかに」

反応したのは、台湾だけでなく、日本、アメリカ、韓国など世界各地の友人たち。日本だけでなく、アメリカやイギリスにも留学したアニーさんの友情の輪は、世界中に広がっていました。

アニーさんは、中高時代、台北の女子校で過ごしました。

高校のクラスメートで、現在はアメリカの航空大学に通う楊恩雅さん(22)。高校卒業後、アメリカと日本で離ればなれになりましたが、それぞれの夢を追い、互いに励まし合ってきました。

この秋、念願だった旅客機のパイロットとして就職する予定です。最近は、アニーさんとのツーショットを、パスケースに入れて持ち歩くようになりました。訓練前などにパスケースを取り出し、決意を新たにしています。

「一生懸命学んで、優秀なパイロットになる。きっと、アニーは大空で見てくれているはずだから」

アニーさんの高校の元クラスメート、楊恩雅さんは、事故後、2人の写真をパスケースに入れて持ち歩くようになった
アニーさんの高校の元クラスメート、楊恩雅さんは、事故後、2人の写真をパスケースに入れて持ち歩くようになった 出典: 楊恩雅さん提供

アニーさんは、高校2年に上がる直前の2014年夏、1年間休学し、アメリカ・ミシガン州の高校に留学しました。

台北市内の高校生を対象とする留学プログラムで、選抜された約20人がアメリカ各地の高校へ派遣されました。同じプログラムだった大学4年の林怡恩さん(22)は、出発前に一緒に英語の授業を受けました。

渡米後も、近況を報告し合っており、アニーさんがバスケットボール部に入ったことを聞きました。「勉強だけでも大変なのに、行動力がすごい。身長差にも負けず、チームの一員になろうと努力していたんだと思います」

高校卒業後も、連絡を取り合い、食事に行っていました。近況を聞く度に、刺激を受けていたそうです。

林さん自身は、将来の夢ははっきりと決まっていませんが、アニーさんの朗らかな表情を思い浮かべながら、心に誓います。「たとえ平凡でも、笑顔を忘れず、一日一日を大切に生きていきたい」

留学先アメリカの高校バスケ部で活動していたアニーさん(右から5人目)
留学先アメリカの高校バスケ部で活動していたアニーさん(右から5人目) 出典: 林怡恩さん提供

「私も、周りを笑顔にできる人に」

アニーさんが入学してから2年間過ごした学生寮も、かけがえのない日々が眠る場所です。

アニーさんのルームメイトだった早稲田大の台湾人留学生、謝旻恩さん(22)。入学当初、アニーさんから、化粧品や美容器具の使い方を教えてもらったそうです。スマホには、ヘアアイロンで謝さんの髪をまくアニーさんの写真があります。「私を優しさで包んでくれた。私も周りを笑顔にできる人でありたい」。

日本人の母とインド人の父を持つ、メヘタ真珠(パール)さん(21)も、同じ学生寮でした。この秋、イギリスの大学院に進み、メディア学などについて学ぶ予定です。「アニーは、アクティブで、色々なことに挑戦していた。私も負けないくらい、人生を楽しみたい」。

アニーさんは、コロナ禍で一時帰国する直前まで、ダンスの国際交流サークル「Waseda International Festival(WIF)」に所属していました。インドのボリウッドダンスを熱心に練習。持ち前の明るさでチームを引っ張り、2019年秋の早稲田祭の舞台を成功させました。

学生寮のルームメイト、謝旻恩さんの髪にヘアアイロンを当てるアニーさん(左)。美容のことに詳しく、友人によくアドバイスをしていたという
学生寮のルームメイト、謝旻恩さんの髪にヘアアイロンを当てるアニーさん(左)。美容のことに詳しく、友人によくアドバイスをしていたという 出典: 謝旻恩さん提供

筆者が、アニーさんのことを耳にしたのは、事故から3日後のこと。すでに日本国内の脱線事故の報道は、減り始めていました。「事故という表面的な事実だけでなく、犠牲になった人や周囲の人の思いも報道できれば」と考え、取材を始めました。

筆者自身は、アニーさんと会ったことはありませんが、友人たちへの取材を通して、アニーさんの交友関係の広さと深さに驚きました。

そして、何より、1人1人の心に、アニーさんの生き方は、深く刻まれていました。

「人が困っている時は、自分のことのように考え、助ける」
「チャンスに貪欲になり、人生を全力で楽しむ」

一瞬一瞬を大切に生きたアニーさんは、今も、私たちに多くのことを教えてくれています。

お別れの会のメッセージをお寄せください

アニーさんのご家族と友人たちは、5月23日にお別れの会を開きます。アニーさんにメッセージを送りたい方がいらっしゃいましたら、以下の宛先までお寄せください。ご家族の了承のもと、お別れの会で、メッセージを中国語で伝える予定です。

メールアドレス:ogawa-t9@asahi.com
ツイッター:@ogawat0802 のDM
小川尭洋(朝日新聞記者)

学生寮の友人の誕生日を祝うアニーさん(左から2人目)たち
学生寮の友人の誕生日を祝うアニーさん(左から2人目)たち 出典: 大学の同期提供
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