連載
#80 ○○の世論
ワクチンで支持率上昇? 「すぐに受けたい」が示す世論の変化
コロナ対策への評価に表れた「大きな差」

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#80 ○○の世論
コロナ対策への評価に表れた「大きな差」
新型コロナウイルスのワクチンは、4月にいよいよ高齢者への接種が始まります。「すぐに受けたい」という人は、3月20、21日に実施した全国世論調査(電話)で39%に増え、高齢者では「しばらく様子をみたい」という人を上回りました。菅内閣の支持率は2月の34%から3月は40%に回復しましたが、背景には、このワクチン接種への期待が込められているようです。(朝日新聞記者・磯田和昭)
「新型コロナウイルスのワクチンが無料で接種できるようになったら、あなたは、どうしたいですか」
この質問に「すぐに受けたい」と答えた人は、1月は21%にとどまっていました。それが医療関係者への先行接種が始まった2月には29%に。3月調査では39%に上がりました。
1月に70%もいた「しばらく様子を見たい」は、2月62%→3月53%と少しずつ減っています。まだ様子見の人が半数を占めるとも言えます。医療関係者以外の接種は始まっていませんので、身の回りに接種経験者がほとんどいないからかもしれません。
一方、「受けたくない」という人は7~8%いて、この3カ月でほとんど変化していません。
3月調査の結果を、細かくみてみます。
男女別にみると、
「すぐに」は男性が44%と女性の34%より多く、「様子見」は、男性47%に対して女性58%と、女性の方が接種に慎重な姿勢がうかがえます。
年代別では、若年層ほど「様子見」が多く、高齢層では「すぐに」が多い傾向がはっきりでました。「すぐに」は18~29歳は2割、30代~40代は3割、50代は4割、60歳以上は5割と年代が上がるごとに増えています。
高齢者は重症化リスクが高いとされ、4月には先行接種が始まる予定ですので、より現実的にとらえているのかもしれません。
また、感染再拡大(リバウンド)を「大いに心配している」という人(全体の50%)では、「すぐに受けたい」が42%と全体より多めでした。
一方、低迷していた菅内閣の支持率は3月調査で回復の兆しを見せました。
1月、2月は支持率が30%台前半に落ち込み、不支持率を下回っていたのが、3月は支持率40%、不支持率39%と拮抗するまで持ち直しました。
年代別にみると、とりわけ、70歳以上の支持率が2月の33%から3月43%と、大きく上がりました。ワクチンへの期待が支持率押し上げにつながっているようです。
3月調査で「新型コロナウイルスのワクチン接種に関する政府の取り組みをどの程度評価しますか」と聞くと、「大いに評価する」7%、「ある程度評価する」62%、「あまり評価しない」23%、「全く評価しない」6%でした。
「大いに」「ある程度」を合わせて69%が「評価する」と答えています。
そして「評価する」人の内閣支持率は49%と高めで、「評価しない」人の支持率19%と、大きな差が出ました。
調査では、ワクチンに限らず、「新型コロナウイルスを巡るこれまでの政府の対応を評価しますか」という質問もしています。「評価する」は1月25%→2月31%→3月35%と、新規感染者の減少とともに、持ち直しつつあります。やはり「評価する」人の内閣支持率は70%と非常に高く、一方で「評価しない」人は22%にとどまりました。
ワクチンへの期待が期待で終わらず、混乱なく国民に行き渡らせることができるか。そして、リバウンドを防いで、コロナを押さえ込むことができるか。今後の内閣支持の行方がかかっているといえそうです。
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