作者のいのうえさきこさんはこの漫画について「無理に前向きにならなくていい」と思いを語ります。その思いが込められているのが“自分にとって大事なほうを向いていればそれがきっと前向きだ”というモノローグです。
もともとこの作品は、寝太郎さんが高次脳機能障害だとわかる前にスタートしたもの。「当時は本当にただの『困った人』となぜ別れないのか、という男女の問題を描こうとしていたんです」といのうえさん。
「だから、連載開始直後の寝太郎はすごくイヤな人に見えてしまっていたかもしれない。そこは実は、後から描き直しました」
事情を知ったことによって、印象も変わった、と振り返ります。そして、「こういうことって、他の人にもあるかもしれない、とも思うようになりました」と言います。
「誰だって身の回りに『困った人』ってきっと一人や二人はいるけれど、それぞれ何か事情を抱えているかもしれない。もちろん、自分が迷惑をかけられたらたまったもんじゃないですが、そう想像してみることで心が軽くなることもあるんじゃないか、と思います」
いのうえさんは「とはいえ『むっちゃ腹立つな寝太郎』って思うこと、今でもたくさんありますけどね」と笑います。今回はほのぼの(?)したエピソードでしたが、次回はどんなトラブルが起きるのでしょうか……?
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withnewsでは、いのうえさきこさんの漫画『私、なんで別れられないんだろう 〜脳が壊れた彼との日々〜』を配信していきます。
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