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就活面接「白鵬と勝負して…」あるあるな質問、“斜め上”回答の結末

この障害により、「人が変わった」ようになったパートナーとの生活を描く漫画『私、なんで別れられないんだろう 〜脳が壊れた彼との日々〜』がネット上で話題を集めています。コロナ禍で就職活動に挑戦中の寝太郎さん、“体育会系”とネット上に気になる書き込みがあった企業の面接で、想定外の質問をされ……?
「プロレスラーしりとり!!」


関西人のいのうえさんらしく「カンペ持って待機しようか? ADさんっぽく」「文節は短く 簡潔に!」とふざけ、寝太郎さんに「絶対いらない」といなされる、平和な日常が繰り広げられます。
そんないのうえさんに「正直言うと受かりたくない」と明かす寝太郎さん。どうやら転職の口コミサイトに「すっごく体育会系」な社風を示すさまざまな書き込みがあったようです。受ける前から「どう断ればいいか悩むよね…」と真剣にぼやく寝太郎さんには「悩むポイントそこじゃない」とバッサリ。



あえて正解のない質問をして対応力をみる面接の「あるある」ですが、高次脳機能障害のある「寝太郎には無理ゲーすぎる」とヤキモキ。そんないのうえさんの心配をよそに、しばらく考えた寝太郎さんが発した回答は「プロレスラーしりとり!!」でした。
思わず表情をなくすいのうえさん。一方、面接官は回答に乗っかり、「……じゃあプロレスの『ス』!」としりとりを始めます。「ス……ス……」としばらく悩み、寝太郎さんが思いついたのは「『スタン・ハンセン』!」そして「あっ!」。そう、「ん」で終わってしまいました。
そこからまた「『スーパー・ストロング・マシン』!」「あああっ、また『ん』がっっっ」とドツボにはまる寝太郎さん。聞き耳を立てるいのうえさんも「なんだこの面接…」と呆れてしまいました。しかし、面接官は「『向き不向きではなく前向き』かどうかを大事にしているんです!」とのこと。


いつものように、ちょっとズレている寝太郎さん。一応、「いったん土俵に上がったからには無気力相撲は取りたくないでしょ!」「そんで、勝った上で懸賞金辞退!」と、なんだかんだ受かるつもりだったよう。しかし後日、届いたのは「お祈りメール」、やはり不合格だったとのことです。
無理に前向きにならなくても…
もともとこの作品は、寝太郎さんが高次脳機能障害だとわかる前にスタートしたもの。「当時は本当にただの『困った人』となぜ別れないのか、という男女の問題を描こうとしていたんです」といのうえさん。
「だから、連載開始直後の寝太郎はすごくイヤな人に見えてしまっていたかもしれない。そこは実は、後から描き直しました」
事情を知ったことによって、印象も変わった、と振り返ります。そして、「こういうことって、他の人にもあるかもしれない、とも思うようになりました」と言います。
「誰だって身の回りに『困った人』ってきっと一人や二人はいるけれど、それぞれ何か事情を抱えているかもしれない。もちろん、自分が迷惑をかけられたらたまったもんじゃないですが、そう想像してみることで心が軽くなることもあるんじゃないか、と思います」
いのうえさんは「とはいえ『むっちゃ腹立つな寝太郎』って思うこと、今でもたくさんありますけどね」と笑います。今回はほのぼの(?)したエピソードでしたが、次回はどんなトラブルが起きるのでしょうか……?
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withnewsでは、いのうえさきこさんの漫画『私、なんで別れられないんだろう 〜脳が壊れた彼との日々〜』を配信していきます。
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