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去りゆく英大使、39「日本♥」ツイートが話題 込めた思いは
「日本への感謝の気持ちを込めて、これから帰国まで、私が特に愛す日本♥の39(thank you)の事柄についてツイートしていこうと思います」。2月末に日本を去る英国のポール・マデン大使(61)がこだわりのツイートを連投中です。その思いを尋ねました。(朝日新聞編集委員・藤田直央)
マデン大使はかつてロンドン大学で学んだ日本語を生かし、ツイッターに自分で書いたり、動画で話したりする投稿をしてきました。2017年からの赴任中に47都道府県を訪ねる目標を昨年11月に達成した際には、訪問先にピンを刺した日本地図を前に「やった!」と喜びました。
ついに日本全国47都道府県を制覇しました。 pic.twitter.com/gtsOndQyxl
— Paul Madden (@PaulMaddenUK) December 4, 2020
そして離任を翌月に控えた今年1月中旬、「日本♥の39」点をツイートすると宣言。印象深い訪問先を一カ所ずつ紹介するのかと思いきや、マデン大使のこだわりはその上を行っていました。
2021年2月末をもって、4年間の大使の任期を終え英国に帰国します。日本への感謝の気持ちを込めて、これから帰国まで、私が特に愛す#日本♥️の39 (thank you)の事柄についてツィートしていこうと思います。皆さんは私のチョイスに賛成ですか?
— Paul Madden (@PaulMaddenUK) January 14, 2021
「城郭」「池」「鐘」といった大くくりのテーマで、写真や日本語の文章で複数を紹介。場所ではなく「お米」「漢字」「相撲」といったツイートもあります。thank youに合わせて39ひねり出すというより、どう39にまで絞り込むかという悩ましさがうかがえます。
#二本の39♥️ #9鐘。寺院の鐘の音を、聞くのも打つのも好きです。山で聞く熊よけの鈴の音色も、耳に心地良いです。 pic.twitter.com/MfwW9tm4hk
— Paul Madden (@PaulMaddenUK) January 21, 2021
そのあたりをマデン大使にメールで尋ねると、1月下旬に返事がありました。
「愛する日本の39点を見つけることは全く難しくなく、もっと挙げられたでしょう。39点は過去30年の私の日本への関わりの表れです。若き外交官だった1988年から92年と、大使としての2017年から21年の二度日本に住んでいます」
ただ、日本では昨春から新型コロナウイルスの感染が拡大。その中心の東京で駐日大使はふだん過ごします。各地への訪問に支障はなかったのでしょうか。
「コロナ禍で日本各地を旅することはかなり難しくなりました。私の旅はほとんど(コロナ禍の前の)大使としての最初の3年間に行いましたが、(その後)緊急事態宣言が出ていない時にできたものもありました」
マデン大使は「橋」のツイートで「外交官は国と国との架け橋になれるよう努力しています」と述べていますが、実際その任期中には日本人が英国を意識する大きな出来事が続きました。
2019年に日本で行われたラグビーW杯では本場英国から強いチームと多くのファンが訪れました。また、英国は混乱の末に昨年に欧州連合(EU)を離脱する一方で、経済や安全保障でも日本との連携を強めています。
今週、晴海埠頭に、@HMSMontrose 英国# RoyalNavy 軍艦を見に行きました。今、海上自衛隊との共同演習に参加しています pic.twitter.com/nSetsxfvMZ
— Paul Madden (@PaulMaddenUK) March 15, 2019
そんな中で、英国の駐日大使が「架け橋」として発信すべきことは山ほどありました。大使自身、その手段としてツイッターを重視しており、「現在ツイッターは重要な外交コミュニケーションの一つです。様々な人々とつながれます。英国政府の政策や、日英関係についての情報を伝えています」と述べています。
ただ、そのツイートにはお仕事以上のオープンさとユーモアが感じられます。大使館ではなく個人のアカウントを持ち、日本語で最後まで話す動画も時折投稿。中には、大使館の敷地内にある公邸から歩いて「10秒」での出勤や、スコーンに先につけるのはクリームかジャムかという英国での「大きな紛争」を、妻の手作りをほおばりながら紹介するものもあります。
クリームが先か、ジャムが先か。
— Paul Madden (@PaulMaddenUK) June 26, 2020
それが問題だ。 pic.twitter.com/WBUqPC4z8r
こうしたマデン大使のツイートには日本語でのリプライも多く、47都道府県を行脚中には次の訪問先のお勧めも相次ぎました。フォロワーは2万に達し、いま連投中の「日本♥の39」にも賛意とともに離任を惜しむ声が寄せられています。
日英ともコロナ禍に苦しむ中で、いまどんな思いを込めてツイートをしているのでしょうか。大使からはこんなメッセージでした。
「この困難な時に、フォロワーの皆さんが私と同じように、日本の自然と文化の美しさを見つめ直すことができるように望みます。その美しさは、コロナが滅びた後もずっと残るものです」
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