連載
#89 #父親のモヤモヤ
ためらいやおそれは今も……仕事と家庭の葛藤、発信続けて見えたこと
イベントは、11月1日に開催。職場や子育てで出くわす「なぜ男が育休を取るの?」「男の子は青。女の子はピンクでしょ」といったジェンダー規範について、取材経験や私自身の体験をもとに、『「男女格差後進国」の衝撃』(小学館新書)を刊行した治部さんと話し合いました。
私は共働きの妻と4歳の娘との3人暮らしです。「#父親のモヤモヤ」企画を始めたのは、昨年6月。私や同僚の葛藤が原点です。イベントでは、この点もやりとりさせて頂きました。
1年半「#父親のモヤモヤ」という企画を続け、メールだけで500本ほどのご意見を頂いています。励ましも共感もある一方で、女性が負う社会全体の「負担の偏重」を訴える声も少なくありません。返す刀の矛先が記事の登場人物に向かうこともあります。
個別のケースを見ていくことも大切だと思います。ただ、そうした気持ちが湧き起こることは否定しません。むしろ、当然の反応だと思います。社会的に女性が負う困難と個別ケースで男性が抱えるモヤモヤとの間で、「父親の葛藤は語ることを許されるのか」という「おそれ」にも似た問いが、常に生じています。そうした感情は生々しく、治部さんに評価頂いたことで、刺激されて湧いたのだと思います。
父親のモヤモヤの中には、経済力いわば「稼得責任」を負うことに由来するものも散見されます。これは、男性が求められがちとされているものです。繰り返しになりますが、しかし、個人が「男らしさ」ゆえの葛藤を吐露した時に、社会的な男女格差の問題の中で、聞き入れてもらえるだろうか、言えなくなってしまうケースもあるのではないか、という問題意識は、企画当初から持ち続けています。
「ためらい」や「おそれ」は変わらずあります。それでも、現時点で思うことは『妻に言えない夫の本音』の「はじめに」でも触れました。この思いを持って、引き続き書いていきたいと思います。
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