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#88 #父親のモヤモヤ

「風穴開けたい」と育休取った男性……担当替えでドクターストップに

残業を求める会社の上司と、家庭への関わりを期待する妻との板挟みになった男性。いま「育休」に何を思う?(写真はイメージです)=PIXTA
残業を求める会社の上司と、家庭への関わりを期待する妻との板挟みになった男性。いま「育休」に何を思う?(写真はイメージです)=PIXTA

目次

#父親のモヤモヤ
※クリックすると特集ページ(朝日新聞デジタル)に移ります。

「育休」を取った後、定時に帰宅する生活で家庭に関わるはずが、残業を求める会社の上司と、家庭への関わりを期待する妻との板挟みになって……。そんな生活が続いた西日本の40代男性を待っていたのは「ドクターストップ」でした。いま「育休」に何を思う?
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「風穴開けたい」“社内初”の取得

男性は、共働きの妻と保育園児の子どもの3人暮らしです。子どもが生まれた当時、従業員100人未満の企業に勤めていました。

2週間の育児休業を取得しました。「産後を助けてくれた義理の母親が帰るタイミングでした。会社の男性で育休を取った人はいないと聞いていて、風穴を開けたい気持ちもありました」

復帰後、しばらくは定時で退社する生活を続けられました。仕事と家庭のバランスが保てていたそうです。

担当替えで環境が一変

ところが、子どもが1歳になる頃、業務の担当が変わりました。

「負荷の大きな担当だったので、残業も増えました」。男性は、次第に帰宅時間が遅くなりました。共働きの妻の家事や育児負担は大きくなり、「なるべく残業せずに帰ってきてほしい」と求められました。そこで妻と話し合い「残業は1時間まで」と約束。上司にもそう宣言しました。早く出勤することで、業務が滞らないようにしたそうです。

それでも、元々業務量の多い担当です。次第に工期に遅れが見え始めました。

上司のプレッシャーが強まります。「これで間に合うのか?」「仕事に力を入れてくれ」。毎日、進み具合を確認してきたそうです。人の手当ても十分ではありませんでした。

「残業は1時間まで」という約束を守れなくなりました。残業時間はさらに延び、深夜や明け方に帰宅するように。朝食を用意して、家族が寝ている間に出勤という生活になってしまいました。「徹夜をしたり、自腹で会社近くのビジネスホテルに泊まったりすることもありました」

仕事と家庭のバランスが保てていた環境が、業務の担当替えとともに、変わったと振り返る男性(写真はイメージです)=PIXTA
仕事と家庭のバランスが保てていた環境が、業務の担当替えとともに、変わったと振り返る男性(写真はイメージです)=PIXTA

減る育児、妻からは不満

一方で、妻の不満は高まっていったと言います。男性は平日夜に子どものお風呂を担当していましたが、まったく担えなくなりました。休日出勤も増え、子どもと遊ぶこともままならなかったそうです。妻は「ワンオペ」の状態でした。

妻からのLINEには、ののしるような文言が目立ち始めました。妻は、こうしたことも口にします。「これ以上約束を破るなら、離婚する」

ドクターストップ、そして退職

「自分では体調の変化に気がつきませんでした」。会社と家庭との板挟みが苦しかったのは覚えているそうです。「駅のホームに立つと、電車に……」。そんな頃、妻が心療内科の受診を勧めました。結果は「ドクターストップ」。医師に従い、すぐに休職したそうです。

会社規定の休職期間を過ぎても体調はすぐれませんでした。育休取得時、賞与査定は8分の1になった――。そんな会社への不信感もあって、退職を決めました。

経営側の意識改革を

男性は自宅療養を続け、現在は体調が戻ったそうです。

資格を生かして立ち上げた個人事業所と設計会社の契約社員と二足のわらじです。家計を安定させるためです。

「気持ちはラクになりました。残業もありません。ただ収入は3分の1ほどに減りました。物足りなさも感じています」

そう話す男性に、「育休」についての思いを聞いてみました。男性の「産休」制度創設が議論されるなど、育休に関心が高まる一方、中小企業の7割が「義務化」に反対という調査もあります。

「経営者側の意識改革が必要です。中小企業は、限られた人材で回しています。このままでは人材が潤沢な大企業により、よい人材が集中します。会社の継続性からも早急な改善が必要です」

「育休を義務化しても、仕事の量や、やり方を見直さないと結局、復帰後は元通りになってしまう。私のように、板挟みになる人も出てきてしまいます」

父親のリアルな声、お寄せください

記事の感想や体験談を募ります。いずれも連絡先を明記のうえ、メール(seikatsu@asahi.com)で、朝日新聞文化くらし報道部「父親のモヤモヤ」係へお寄せください。
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「威厳を示さないと」「弱音を吐くのは恥ずかしい」--。何げない感覚に「男だから」という意識がひそんでいるかもしれません。子どもと接するときも、性別で判断していることはないでしょうか。
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共働き世帯が増え、家事や育児を分かち合うようになり、「父親」もまた、モヤモヤすることがあります。それらを語り、変えようとすることは、誰にとっても生きやすい社会づくりにつながると思い、この企画は始まりました。あなたのモヤモヤ、聞かせてください。
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