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覚えやすい名前にもほどがある 商品名の限界に挑戦、何のメーカー?
ユーザーからは「また変なの出してきた」
ソロソウルウォウウォウ、ヌノイチ、ハイパームテキポール、ヨクミルヤーツ。名前だけ見たらなんのことかわかりませんが、これ全部、キャンプ用品です。コロナ禍でキャンプ人気が高まる中、「よく覚えてもらえるように」と、自社製品にユニークな名前をつけるアウトドア用品ブランド「DOD(ディーオーディー)」。そのネーミングセンスについて、ツイッターでも話題になっています。狙いを聞きました。
キャンプに興味がある人もない人も、ここの商品を見てクスッとして欲しい。https://t.co/8B5lk3HDg5 pic.twitter.com/wvLXS03rV8
— ひのきの森 (@Hinoki1nforest) November 3, 2020
「DOD」は、東大阪市に本社を構えるビーズ株式会社のアウトドア用品ブランドです。
DODでは、2016年に「カマボコテント」がヒットしたことをきっかけに、「よくあるキャンプ用品っぽい名前ではなく、覚えやすい名前にしよう」と、ユニークネーミング路線に大きく舵を切りました。
タケノコテント、エイテント、チマキテント、レンコンテントなど、見た目をそのまま名前にしたものもありますが、「ヨクミルヤーツ」(道具を保管するボックス)や、「スゴイッス」(チェア)など、名前からはちょっと想像しにくくても、商品を見ると「ああ、確かに!」となるような、遊び心あふれたネーミングを展開しています。
広報担当の辻未鷹(みお)さんによると、新製品に名前を付けるときは、商品の企画担当者が「こんな名前でどうでしょうか?」とSlackを使って社内に投げかけます。すると、他の社員たちから次々に「こんなのどうですか?」と案が投げかけられ、ぴたっとはまるものが採用されるのだといいます。「チャットが大喜利のよに展開することもあり、社員1人につき1製品ぐらいは、自分が名付けた商品が存在するような状況です」と辻さんは話します。
さらに、「最近は独特な名前の商品を意識的に多めに出していることもあり、(ユーザーからは)『また変なの出してきた』と反応をもらうこともあります」と苦笑します。
「キャンプ用品はSNSと相性がいい」(広報担当)ということもあり、ここ数年は特にSNS施策に力を入れています。
今年夏、高まるソロキャンプ人気を狙って発売した「ソロソウルウォウウォウ」(ソロキャンプ用シェルター)は、発売前に「SNSでのコミュニケーション」を意識したキャンペーンを展開。
製品発表前に「ソロソウルウォウウォウ」という名前だけを公表し、どんな商品なのかをユーザーに当ててもらうという試みをしました。ユーザーからは、焚き火台やランタンを予想する声が上がり、SNSでも盛り上がりを見せました。
ちなみに、「ソロソウルウォウウォウ」の名付け親は商品の企画担当者。社内でも「それはどうなんだ」と心配する声が上がりましたが、企画担当者が「ソロキャンプの喜びを表現できるのは『ウォウウォウ』しかない」と押し通したそうです。
ただ、そんなユニークなネーミングも「あくまでブランドや製品を知ってもらい、愛着を持ってもらうきっかけ」と辻さん。
「ソロソウルウォウウォウも、従来よりも広い空間を確保した作りで『何も我慢しない、わがままなソロキャンプを楽しんでもらいたい』、火の粉に強い生地にしたことで『焚き火を満喫してもらいたい』といった想いをこめて企画した製品です」
「名前だけでなく機能にもこだわった製品を通して、多くのお客様にキャンプの魅力を伝えられたらと考えています」と話します。
そんな辻さんのお気に入りの名前がつけられた製品は、耐熱グローブの「アツイノイケルシランケド」。
大阪の人がよく使う「知らんけど」が名前に入っているところにユーモアを感じますが、常識的な範囲で使用すれば、もちろん性能に問題はありません。
「500℃に最大15秒耐えられる機能が備わっています。ネーミング、デザインともに関西人ならではの遊び心がつまっています」と辻さん。
今年に入ってからは、「三密を避けられる」と、コロナ禍のレジャーとして注目されているキャンプ。DOD商品も右肩上がりで売り上げを伸ばしているそうです。
「注目が高まる中で、初心者も多い。覚えてもらいやすい名前で商品を売り出すことにメリットを感じている」と辻さんは話しています。
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