連載
#3 #ゆるテック
「校歌の歌詞」を分析してみたら… 群馬に頻出する「赤城山」の理由
最多は「赤城」 上毛かるたや運動会でもおなじみ…
塚田さんは「校歌は世代を超えて地域で歌い継がれているもの。これらの山がどのような言葉とともに表現されているか分析することで、山岳に対する住民の共通した印象を導き出せるのではないかと考えた」と話します。
大学卒業後、前橋市役所で都市計画に携わってきた塚田さん。公園の設計と計画を行う中で、市民に利用される公園と利用されない公園があることに疑問を抱き、「その理由を定量的、構造的に明らかにしたい」と32歳の時に前橋工科大学大学院の修士課程に入学しました。以来、公園緑地を主な研究対象として、働きながら研究を続けています。
中学校の校歌を研究対象としたのは、住民が群馬県に持つ「景観のイメージ」を可視化するためでした。都市計画を進める上で、住民と守るべき景観を明確にし、共有していくことが重要だからです。しかし、山のような広い範囲の景観イメージの分析はあまり行われていませんでした。
また、個人の中で地域の景観のイメージが形づくられていくのは、幼少期や思春期とされています。塚田さんは、景観の描写が多く含まれていること、またその地域の多くの人が接することから、「校歌」にそのヒントを得ようとしたのです。
「地域への愛着やノスタルジーを感じるだけではなく、校歌の歌詞は都市計画のひとつの情報として役立っているのです」
塚田さんが調査した公立中学校は171校でしたが、2019年5月時点で群馬県内の公立中学校は161校(うち分校1校)。少子化による統廃合などで、減少の一途を辿っています。また富岡市は中学校6校を2校に、小学校11校を4校に再編する計画も検討されています。
学校と対となって存在してきた校歌にも、変化が起こっています。例えば、2011年に前橋市立第二中学校と第四中学校を統合して開校され、谷川俊太郎さんが作詞したみずき中学校の校歌は、地名にまつわる語や中学校の名が登場しません。一方で、「世界」や「宇宙」など更に視野を広げた言葉が盛り込まれています。
1/6枚