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「超高級ガチャガチャ」大ヒットの中身は…生産パンクを救った助っ人

「小さいの女の子が、お父さんの手を引いてガチャを回してもらっていた」

「あこや真珠ガチャ」には確かに「1000円」の文字が
「あこや真珠ガチャ」には確かに「1000円」の文字が

目次

「1千円のガチャガチャは、なかなかないですね」。2日に1回はガチャガチャを回しているというガチャポン・ガチャガチャ評論家に、そう言わしめたガチャガチャが全国に広がっています。中身はなんと真珠。ガチャガチャとしては高額だけど、真珠としては安価という、珍しいガチャガチャを取材しました。

500円玉2枚を投入

1千円のガチャガチャ「あこや真珠ガチャ」を全国に設置しているのは、愛媛県宇和島市で真珠の卸・加工をしている会社「宇和海真珠」です。ガチャガチャの中には、イヤリングやネックレスなど、真珠のアクセサリーが入っています。ガチャガチャを回すときは、500円玉2枚を投入します。

同社によると、小売店などでの真珠の購買層は主に60歳以上。
ただ、若年層を中心とした「いままで真珠を身近に感じてこなかった人たち」にもアプローチしたいと考え、高級品という印象の強い真珠を1千円という値段で、通販サイトで販売していました。

生活圏内での販売で「身近に」

その門戸をさらに広げようと、昨年10月から始めたのが、ガチャガチャでの販売です。

「近所のスーパー、集客力のある道の駅やサービスエリアなど、生活圏内で真珠が販売されていることが、真珠がより身近なものとなる方法だと思いました。そこで思いついたのが、ガチャでした」と話すのは、営業担当の一宮嘉仁さんです。

街中に設置しているガチャガチャであれば、宝石店などに足を運ぶことなく、真珠との偶発的な出会いを生み出すことができます。「小さいの女の子が、お父さんの手を引いてガチャを回してもらうという光景も目にしました」と一宮さん。通販サイトよりも、ガチャガチャの方が「断然売れる」そうです。

「『1千円』と『ガチャ』の相性がいいなと思った」という一宮さん。「『1千円のガチャ』というと話題性が出ます。さらに、真珠が1千円なら『安い』という反応にも結びつくのではないかと思った」と話します。

東京・吉祥寺では雑貨店の店頭に設置
東京・吉祥寺では雑貨店の店頭に設置

ただ、真珠を1千円で販売するとなると、宇和海真珠が赤字になることはないのでしょうか。
「実は、真珠は100とれたとしても、市場に出るのは50なんです」と一宮さん。傷がつくなどした「規格外」の真珠は、これまでは捨てたり保管したままにしたりして、お金になっていなかったといいます。「ものとしては悪くなく、出してはだめなものではない。ただ、こちら側が出してこなかったというだけのものがあった」

ガチャの中に入っている商品。ネックレス、リング、チョーカーなど。ピアスとイヤリングで、ガチャガチャの台は異なる
ガチャの中に入っている商品。ネックレス、リング、チョーカーなど。ピアスとイヤリングで、ガチャガチャの台は異なる 出典:あこや真珠ガチャのHPより

生産間に合わず、声をかけたのは

そんな思いで始めたガチャガチャ。設置すると反響が大きく、生産が間に合わず、設置してもらっている店舗などに一時休止してもらうという事態も発生しました。

「社内で加工を担当する従業員は数人しかおらず、小売店向けにアクセサリーを作るのが本業の人たちです。ただ、ガチャガチャの反響も大きい中で、手の空いている人を探していた」と当時を振り返る一宮さん。

そんなとき、加工の担い手を探す中で相談したのが、愛媛県の水福連携事業でした。障害者の就労機会の拡充と、水産業の人手不足を解消するためのこの事業で県内の福祉施設とつながることができ、現在は8箇所の施設に加工を依頼しています。

「最初は手の空いている人を探していただけで、福祉施設のためになろうと思って始めた事業ではない」とあくまでフラットな視線で連携が始まりました。現在は月2千~3千ほど生産できる状況が整い、一宮さんは「この仕事が、障がいのある方たちの金銭的な自立の助けになれば」と話します。

加工を受託している施設の一つ、愛媛県内子町の就労継続支援B型「おいでや内子」では、精神障害のある27歳の女性がネックレスの加工をしています。
担当者によると、女性は細かい作業が得意で、100個の発注をを2日で仕上げてしまうほどだといいます。
女性は、「ガチャガチャは、なにが出るか楽しみにしてやるものなので、カプセルをあけたときに、『わー!』と喜んでもらえるようにしたい」と話しているそうです。

ガチャガチャから出てきたイヤリング
ガチャガチャから出てきたイヤリング

評論家も驚きの1千円、でも「相性がいい」

2日に1回はガチャガチャを回すという、ガチャポン・ガチャガチャ評論家のおまつさんにも話を聞きました。

宇和海真珠のガチャガチャの存在は、すでにおまつさんの耳にも入っているとのことで、「ビジネスの展開として有効だと思います」と話します。全国でもすでにおもちゃ業界以外の業種によるビジネスツールとしてガチャガチャが使われているといい、「福岡県では博多人形、石川県では九谷焼のガチャガチャが500円で設置されています」。

他業種によるビジネスツールとしてのガチャガチャが成功する理由の一つとして、大人向けのガチャガチャの割合が市場全体の中で増えていることを挙げます。「小さい頃からガチャガチャに親しんでいた世代は、いまもガチャガチャを回すことに抵抗感がありません。小さい子向けに特化したものではなくなっている以上、大人向けのビジネスに活用したとしても、大人が買うので相性がいいです」とおまつさん。

300円~500円のガチャガチャが主流となっているガチャガチャ業界ですが、SNSウケを意識するなどしたアート的なガチャガチャは、500円の「大人向け」価格で設定されることも多く、これまでに、寺山修司の言葉を缶バッヂにしたものや、彫刻家・はしもとみおの彫刻をモチーフにした置物などもありました。

ただ、おまつさんによると、大人向けガチャガチャが増えている中でも、「1千円のガチャガチャは、なかなかないです」とのことでした。

     ◇
昨年10月、宇和島市の道の駅「きさいや広場」に初めて設置された宇和海真珠のガチャガチャですが、その後、宇和島市の姉妹都市である長野県千曲市の千曲市総合観光会館や、大阪市の愛媛県大阪事務所、東京・吉祥寺のセレクトショップ「マジェルカ」など全国10箇所以上に設置されています。
詳しい設置場所については、「あこや真珠ガチャ」のホームページまで。
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